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動画編集のスキルアップは営業コスト削減|同じ1件でも労力は倍違う

公開日: 2026年9月16日 最終更新: 2026年10月8日 執筆: 山田一真(カズマル)|株式会社ブイスト代表
スキルが上がると 営業が半分で済む

はじめまして。この記事を書いた人です

山田一真(カズマル)動画編集スクール「ブイプロ」代表/株式会社ブイスト

  • 2019年12月、報酬500円の動画編集案件から個人で仕事を始める
  • 個人受注から法人・代理店の案件へ広げ、2022年に株式会社ブイストを設立
  • 2025年8月、同社の株式を株式会社エフ・コード(東証グロース・9211)へ譲渡。現在も福岡を拠点に運営を継続
  • 受講生から寄せられた成果報告 延べ555件・実人数380名を自社で集計し、内容を公開している

この記事を書ける理由:この記事は、2023年5月24日に僕が受けた個別相談の内容をもとに書いています。編集スキルを上げることが営業のコストを下げるという関係を、同じ1件を取るのにかかる労力の差として、僕がそのとき説明した言葉のまま書きます。

この記事でわかること

  • 編集スキルを上げる理由を「作品の質」ではなく「営業の労力」で説明する考え方
  • 僕が個別相談で使った「3000社と6000社」の例え話が、何を否定するために出てきたのか
  • 営業の労力を工程ごとに分解して、スキルがどの数字に効くのかを見分ける方法
  • 先にスキルを上げるか、先に営業量を増やすかを判断するための材料
  • 自分の営業効率を記録して、次の一手を選ぶ手順

「どっちも1件取れてるんだけども」の先にある話

動画編集を始めた人の多くは、スキルアップと営業をまったく別のタスクとして管理しています。カレンダーの上でも、頭の中でも、「今日は編集の練習」「今日は営業メール」と分かれている。どちらも大事だとは思っているけれど、両者がどう関係しているかまでは説明できない、という状態です。

2023年5月24日に受けた個別相談で、僕は編集スキルを上げる理由を、作品の出来そのものではなく、営業に必要な労力の話として説明しました。そのとき言ったのはこういう言葉です。

「営業も3000社で営業して1件取れるのと6000社に営業して1件取れるのかってどっちも1件取れてるんだけども」

結果だけを見れば、どちらも1件です。受注数という数字の上では並びます。けれど、そこに投じた時間と気力は倍違う。同じ成果を出すために、片方は倍の労力を払っている、という話です。

このとき僕が使ったのは、基礎だけで止まっている状態なら6000社に営業して1件、スキルを高めれば同じ6000社で2件、という比較でした。1件あたりに必要な母数が6000社から3000社に減る、と言い換えてもいいです。スキルアップを、作品の話ではなく、営業の分母を減らす話として置いています。営業しないままでいるとどうなるかは動画編集で営業しない人が損する理由で書いています。

この例えが否定しているのは「スキルと営業は別物」という切り分け

比喩や例え話は、結論だけを切り出すと意味が反転します。この「3000社と6000社」の話も、単体で読むと「とにかくスキルを上げれば営業しなくてよくなる」という意味に読めてしまいますが、そういう話ではありません。

この例えで僕が否定しているのは、「編集スキルは仕事の質の話で、案件が取れるかどうかは営業量の話だ」という切り分けです。この切り分けを持っていると、案件が取れないときの打ち手が「もっと送る」しかなくなります。返信が来ないのは送信数が足りないからだ、という結論に毎回たどり着く。だから件数を増やす。増やすと疲れる。疲れるとやめる。この順番でつまずく人を、僕は何人も見てきました。

僕の中では、営業量と編集スキルは同じ収支計算の中に置いてあります。営業に使う労力を減らしたいなら、送る数を増やすのとは逆方向に、1件あたりに必要な母数そのものを下げるという手がある。スキルアップは、その母数を下げるための投資として扱っているんです。

ここで大事なのは、どちらか一方を選べという話ではないことです。営業をやめてスキルアップに専念しろ、とは僕は言っていません。両方やるのは前提として、なぜスキルアップに時間を割く価値があるのかを、営業の労力という同じ通貨で説明している、という構造です。

営業の労力を工程で分解する

「1件取るのに何社必要か」は、ひとつの数字に見えて、実際にはいくつもの通過率の掛け算でできています。分解すると、どこが詰まっているのかが見えます。

工程 見る数字 主に効くもの
送る 送信数 作業量・リスト作り
開いてもらう 開封率 件名・送信先の選定
返信をもらう 返信率 提案文の中身・ポートフォリオ
打ち合わせに進む 商談化率 提案の具体性・過去の実績
受注する 受注率 要件の理解・見積の妥当性
次も頼まれる 継続率 編集の品質・納期・やり取り

編集スキルが直接効くのは、この表の下半分です。上半分、つまり送信数や開封率は、どれだけ編集がうまくなっても勝手には上がりません。逆に言えば、送信数だけを増やしている人は、掛け算のうち一箇所しか触っていないことになります。

1件受注するのに必要な母数は、これらの通過率をすべて掛けたものの逆数です。返信率が2倍になれば、必要な送信数はおおよそ半分になります。「3000社と6000社」の差は、この掛け算のどこかが2倍になった、というだけの話です。特別な魔法ではなく、算数なんですよね。

スキルが効くのは「見栄え」より「相手の不安の打ち消し」

ここで誤解が起きやすいのが、スキルアップ=派手なエフェクトが使えるようになること、という理解です。実際に返信率や受注率を動かしているのは、多くの場合そこではありません。

発注する側は、外注に出すときに具体的な不安を抱えています。指示した通りに直してもらえるのか。納期は守られるのか。毎回こちらが細かく説明しないと成立しないのではないか。この不安が消えないと、いくら作品がきれいでも発注には至りません。

そう考えると、営業の数字に効くスキルは次のようなものになります。

  • 相手のチャンネルや商材を見た上で、何をどう変えるかを言葉にできる
  • 「なんか違う」に近い曖昧な指示から、直すべき箇所を切り分けられる
  • テロップの読みやすさ、音量、間の詰め方といった、視聴体験に直結する部分を安定して出せる
  • 同じ品質を、同じ時間で、繰り返し再現できる

これらはポートフォリオの見た目としては地味です。ただ、提案文に書ける材料が増え、打ち合わせで話せる中身が増える。結果として、返信率や商談化率という営業側の数字に返ってきます。スキルアップが営業コストの削減になる、と僕が言っているのはこの経路のことです。ここでいう「通用する水準」の中身は動画編集で案件に通用するレベルとはに8項目で書いています。

それでも先に営業したほうがいいケースがある

ここまでの話を、スキルアップを先送りの言い訳に使ってしまう人がいます。「まだ実力が足りないから営業はもう少し後で」と言い続けて、半年経っても一度も送っていない、という状態です。これは、この考え方の使い方としては逆さまです。

スキルアップが営業の労力を減らすという話は、営業を実際にやっている人の中でだけ意味を持ちます。一度も送っていなければ、1件あたり何社必要かという数字そのものが存在しません。分母を減らそうにも、減らす対象がない。

判断の目安としては、次のように考えると整理しやすいです。

  • まだ一度も送っていない:まず送る。数字を作らないと、どこが詰まっているか判断できない
  • 送っているが返信がほぼない:送り先の選び方と提案文を先に疑う。編集スキル以前の問題であることが多い
  • 返信は来るが受注に至らない:提案の具体性と、見せている作品の中身を見直す段階
  • 受注はできるが単発で終わる:品質・納期・やり取りの再現性、つまり編集まわりのスキルが効いてくる段階

どの段階にいるかで、次に投じるべき時間の行き先が変わります。一律に「スキルを上げてから」でも「とにかく数を打て」でもありません。単価そのものを動かす手順は動画編集の単価の上げ方にまとめています。

自分の数字を記録する

この考え方を使うには、自分の営業がいまどのくらいの効率なのかを知っている必要があります。感覚では判断できません。「けっこう送ったのに全然ダメ」は数字ではないからです。

記録する項目は多くなくて構いません。次の程度で十分に判断材料になります。

  • 送った日付と件数
  • 送り先の種類(法人・YouTubeチャンネル・求人経由など)
  • 返信があった件数と、その内容(断り・条件確認・打ち合わせ希望)
  • 打ち合わせに進んだ件数
  • 受注した件数と、その案件の中身

数週間ぶん溜まると、自分の通過率が見えてきます。返信率が極端に低いのか、返信はあるのに商談で止まるのか、受注はできるが続かないのか。ここが分かってはじめて、スキルアップに投じる時間をどこに使うかを決められます。ポートフォリオを作り直すのか、提案文を書き直すのか、納品品質を上げるのか。同じ「スキルアップ」でも中身がまったく違います。

あわせて、送るのにかかった時間も記録しておくと、労力の話が具体的になります。1件の受注までに何時間使ったか。それが前月と比べてどう変わったか。「3000社か6000社か」という比較を、自分の数字でやることになります。

「先に時間を使う」判断をどう考えるか

スキルを上げるための時間は、その場では収入になりません。営業に回せたはずの時間を、返ってくるかどうか分からないものに使うことになります。ここで迷うのは自然です。

ただ、判断を「得か損か」ではなく「どのくらいの期間で見るか」に置き換えると、考えやすくなります。今月だけを見れば、営業に全部の時間を使ったほうが受注は増えるかもしれません。半年、1年という単位で見ると、1件あたりの労力が下がっている状態と、下がっていない状態とでは、積み上がるものが変わってきます。個別相談で僕が話したのも、この長期側の見方でした。

もちろん、時間を投じれば必ず通過率が上がるとは限りませんし、上がる幅も人によって違います。ここは僕にも保証できる話ではありません。だからこそ、前の章の記録が要ります。投じた時間に対して数字が動いたかどうかを、あとから確認できる状態にしておく。動かなければ、投じ先が間違っていたと判断して変えればいい。

スキルアップを「いつか役に立つもの」ではなく、「営業の分母を下げるための投資」として扱うというのは、つまりそういう検証をする対象にするということです。この記事を書いている2026年9月の時点でも、僕はこの整理の仕方を変えていません。

よくある質問

スキルを上げれば営業しなくても案件は来ますか

来ません。この考え方は、営業をやめる根拠ではなく、営業に必要な労力を減らす話です。表で言えば、送信数や開封率は編集スキルでは動きません。営業をやったうえで、その1件あたりのコストを下げる、という順番になります。

3000社・6000社という数字は、実際に必要な営業件数ですか

違います。これは労力が倍違うことを示すために僕が例えとして出した数字で、実際に何社送れば1件取れるという基準ではありません。必要な母数は、送り先の種類や提案の中身によって大きく変わります。自分の数字は自分の記録から出すものだと考えてください。

どのくらいのレベルになったら営業を始めていいですか

「このレベルなら」という線引きよりも、送ってみて返ってきた反応を材料にするほうが早く進みます。一度も送っていない段階では、何が足りないのかを判断する材料がありません。見せられるものを最低限そろえたら、まず送って、返ってきた内容から次を決めるという回し方が現実的です。

営業の数字が何ヶ月も改善しないときはどうすればいいですか

掛け算のどこで止まっているかを特定するところからやり直します。送信数だけ増やしても、返信率が原因なら変わりません。返信が来ていないのか、来るが商談にならないのか、商談後に断られるのか。止まっている工程が分かれば、直す対象が絞れます。まだ記録を取っていない場合は、まず記録を取るところが最初の一手になります。

営業とスキルアップ、時間配分の目安はありますか

一律の比率はありません。前述の段階分けで自分がどこにいるかを見て、詰まっている工程に時間を寄せるのが基本です。受注ゼロの段階で編集技術ばかり磨いても数字は動きにくく、継続案件が取れない段階で送信数を増やしても解決しにくい、というふうに、段階によって効く場所が変わります。

まとめ

編集スキルを上げる理由を、作品の出来ではなく営業の労力で説明したのが、今回の話の中心でした。2023年5月24日の個別相談で僕が使ったのは「営業も3000社で営業して1件取れるのと6000社に営業して1件取れるのかってどっちも1件取れてるんだけども」という言い方です。結果は同じ1件でも、そこに払った労力は倍違う。

この例えで僕が否定したのは、スキルは仕事の質の話で、案件獲得は営業量の話だ、という切り分けでした。両者を同じ計算の中に置くと、営業がうまくいかないときの打ち手が「もっと送る」以外にも生まれます。

実際に使うときは、営業を工程に分解して、自分がどこで止まっているかを記録から確かめるところからです。そのうえで、詰まっている工程に効くスキルへ時間を寄せる。スキルアップを、いつか役に立つ漠然としたものではなく、あとから数字で検証できる投資として扱う。それがこの考え方の実務的な使い方になります。

免責事項

本記事は、株式会社ブイストが運営する動画編集スクール「ブイプロ」の代表である僕(山田一真)の講義と個別相談の内容をもとに書いています。記載した社数の比較は説明のための例であり、実測された統計値ではありません。特定の収入・成果・案件獲得を保証するものではありません。

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