動画編集の営業文で差がつくリサーチ術|業種別の悩み仮説の立て方
営業文で差がつくのは、文章力ではなくリサーチ量です。返信が来る文と来ない文を分けているのは言い回しの上手さではなく、「相手の状況をどれだけ具体的に調べてから書いたか」の一点だけ。この記事では、相手の悩みを仮説として組み立てる手順と、業種別の仮説一覧、そして外したときのリカバリーまでをまとめます。
この記事でわかること
- なぜ「誰に送っても成立する営業文」は返信が来ないのか(金太郎飴の構造)
- 相手の「悩み」を5つの方向に分解して仮説の材料を集める方法
- 業種別・悩み仮説の一覧表(飲食/不動産/士業/EC/BtoB/医療/教育/代理店)
- 相手のHP・SNS・過去動画・競合から何を見るのか、30分でできるリサーチ手順
- 集めた事実を営業文の「一行」に変換する型
- 仮説を外したときのリカバリー手順と、やってはいけない書き方
営業文の差は、書く前に9割ついている
同じラーメン屋が10軒並んだら、客は安い店に入る
動画編集スクール「ブイプロ」を運営する株式会社ブイストの山田一真です。僕が動画編集市場の構造を説明するとき、必ず使う比喩があります。全く同じラーメン屋が、店の名前だけ違って10軒並んでいたら、どの店に入りますか。安い店ですよね。スクールが増えて、同じレベル・同じポートフォリオ・同じ営業文の編集者が大量に生まれた結果、市場は金太郎飴の状態になりました。どこを切っても同じ顔が出てくる。だから発注する側は、比較できる唯一の軸である「価格」で選ぶしかなくなります。
ここで大事なのは、金太郎飴化しているのはスキルだけじゃないということです。営業文もまた金太郎飴になっています。だから僕はテンプレを配るとき、必ず同じ警告を添えています。丸パクリは意味がない。僕が全く同じことをやっているので、僕と真っ向勝負しても勝てない。テンプレを配った本人が、テンプレの使い回しを止めている。ここに答えが出ています。
8割が、同じ場所で同じ文を送っている
営業の対象は、相手の状態で4象限に分けられます。そのうち「悩みが顕在化していて、自分から募集を出している相手(=クラウドソーシングの募集)」に、およそ8割の編集者が集中します。ここは相手が募集要項を公開しているぶん、書くことが全員同じになる。募集要項に答えるだけの文は、構造上どうやっても金太郎飴にしかなりません。
一方で、「案件はあるが募集していない制作会社・代理店」と「今すぐ案件はないが優秀な人を探している企業」には、募集要項が存在しません。要項がないということは、何を書くかを自分で決めなければならないということです。そこで必要になるのが「相手の悩みの仮説」。だから悩みの理解は、営業の第一要素として体系の一番最初に置いています。
金太郎飴の文と、リサーチ済みの文の違い
同じ「営業メール」でも、書く前にやったことの量で中身はここまで変わります。
| 項目 | 金太郎飴の営業文 | リサーチ済みの営業文 |
|---|---|---|
| 書き出し | 「動画編集をしております◯◯と申します」 | 「◯月に公開された△△の動画を拝見しました」 |
| なぜ御社か | 空欄、または「御社の理念に共感し」 | 相手の直近の動き(新サービス・採用・出稿)に紐づいた一行 |
| 提案の単位 | 「動画編集を承ります」(作業名) | 「◯◯という課題に対して、△△という形で」(用途名) |
| 証拠の見せ方 | 汎用ポートフォリオのURLを1本 | 相手のジャンルに寄せたサンプル、または制作イメージ画像1枚 |
| 依頼(CTA) | 「ぜひ一度ご検討ください」 | 「15分だけ、現状のお困りごとを伺えませんか」+日程3候補 |
| 受け取る側の印象 | 一斉送信の1通 | 自分のために書かれた1通 |
| 1通あたりの準備時間 | 3分(コピペ) | 20〜40分 |
| 送れる件数 | 1日100件 | 1日5〜10件 |
件数だけ見れば前者の圧勝です。でも返信率の目安は、新規のばらまきで0.5〜1%、狙い撃ちで3〜20%と桁が変わります。100通送って0〜1件と、10通送って1件。後者のほうが労力あたりの結果は読めます。しかも後者には、返信が来なかったときに仮説のどこが外れたかを検証できるという利点がある。金太郎飴の文は、来なくても原因が分からないので改善しようがないんですよね。
「悩み」を5つの方向に分解する
相手の悩み、と言われても漠然としています。ブイプロの営業講義では、悩みを5つの方向に整理しています。この5つが、仮説を立てるときの引き出しになります。
| 悩みの種類 | 相手の頭の中にある言葉 | どこで拾えるか | 営業文での触れ方 |
|---|---|---|---|
| ①担当者レベルの悩み | 「上司にYouTubeを任されたが、何から手をつければいいか分からない」 | 担当者個人のSNS、求人票の職務内容、チャンネルの更新の乱れ | 進め方の設計まで巻き取れることを示す |
| ②会社レベルの悩み | 「売上を上げたいが方法が分からない」「人が採れない」 | HPの事業内容、プレスリリース、採用ページ | 動画の用途を経営課題に接続する |
| ③数字の悩み | 「クリック率が低い」「途中で離脱される」「本数が出せない」 | 公開されている再生数・投稿頻度・サムネイル | 観測できる事実だけを挙げ、断定を避ける |
| ④感覚的な悩み | 「依頼の仕方が分からない」「外注はなんとなく不安」 | これまで外注実績がない、動画が内製っぽい | スケジュールと進行の流れを先に描いて見せる |
| ⑤本人も気づいていない潜在的な悩み | (言語化されていない) | ヒアリングで気づいてもらう領域 | メールでは踏み込まず、商談まで温存する |
最初のうちにつまずくのは、いきなり⑤を狙おうとするパターンです。「あなたの本当の課題は◯◯です」という書き出しは、相手からすれば初対面の他人に決めつけられているのと同じで、警戒しか生みません。メールで扱うのは①〜③まで。④と⑤は商談で扱う。役割を分けるのが安全です。
部署が違えば悩みも違う
同じ会社でも、窓口になる部署によって悩みは別物です。誰が窓口なのかで、書く一行を変えてください。
- 人事:採用コストと離職。採用動画で事前に社風を伝えてミスマッチを減らす、研修を動画化して教育を自動化する。
- 広報:目的が曖昧なまま「とりあえずやっている」状態。指標を定めて成果を説明できる形にしたい。予算不足も定番。
- 営業部:商談の前に商品説明動画を見てもらって無駄なアポを減らしたい。トップセールスの進め方を研修動画として残したい。
- 制作部・映像制作会社:単純にリソース不足。「御社の案件の一部をやらせてください」が最も通じる相手。
- 経営層:世代間のコミュニケーションギャップ。理念を動画で伝えて、共感した人だけが入ってくる状態を作りたい。
- 総務・業務効率化:毎回口頭でやっている説明会・オリエンをマニュアル動画にして、キーマンの時間を解放したい。
法人相手の営業の全体像は動画編集の法人営業7ステップにまとめています。この記事は、その7ステップのうち「アプローチの前に何を調べるか」だけを深掘りしたものだと思ってください。
業種別・悩み仮説の一覧表
ここからが実務です。以下は、業種ごとに「よくある課題の仮説」「刺さりやすい切り口」「その仮説の裏をどこで取るか」を並べた表です。そのままコピーして送る表ではありません。仮説の初期値として使い、右端の「裏の取り方」で必ず確認してから文にしてください。裏を取らずに書いたら、それは業種名が変わっただけの金太郎飴です。
| 業種 | よくある課題(仮説) | 刺さりやすい切り口 | 仮説の裏を取る場所 |
|---|---|---|---|
| 飲食・小売 | 人が採れない。店舗の雰囲気が伝わらず応募が来ない | 採用動画・スタッフ紹介。求人媒体より低コストで回せる形 | 採用ページの募集件数、求人媒体への掲載有無、店舗数 |
| 不動産・賃貸管理 | 内見の手間。遠方の顧客に決めさせられない | 物件のルームツアー編集。説明テロップ+個人情報のぼかし込みで1本単位 | 物件ページに動画があるか、撮影素材を自社で持っているか |
| 士業(税理士・社労士など) | 相談のハードルが高い。人柄が伝わらず問い合わせに至らない | セミナー・相談事例の動画化、長尺アーカイブの整音とテロップ | セミナー開催実績、YouTubeの更新が止まっていないか |
| EC・D2C | 広告のクリエイティブが枯れる。商品点数に対して素材が足りない | 短尺広告のバリエーション量産、UGC風の縦動画 | 広告ライブラリでの出稿状況、SNSの投稿頻度と使い回し具合 |
| BtoBメーカー・製造業 | 製品が難しくて説明が伝わらない。展示会以外の接点がない | 製品説明動画、導入事例インタビュー、展示会用のループ動画 | プレスリリース、展示会の出展情報、製品ページのPDFの重さ |
| クリニック・医療美容 | 初診の不安を消したい。自費診療を選んでもらえない | 症例・施術説明の動画化。薬機法の表現ルールを守れることが価値 | 院長のSNS、既存動画の表現、他院の動画との差 |
| スクール・教育 | 集客の動画を出したいがリソースがない。過去講義が眠っている | 講義アーカイブの切り抜き、説明会動画、既存コンテンツのリニューアル | 過去動画の本数と最終更新日、LPに動画があるか |
| 広告代理店・映像制作会社 | 受注はしたが人がいない。外注に出すと確認の手間が増える | 「御社の案件の一部を」。訴求は安さでなく、修正が少ない・納期を守る | 求人媒体での業務委託募集、制作実績ページの本数と更新頻度 |
| ビジネス系YouTube運営企業 | 広告収益ではなく自社商品への集客が目的。投稿頻度を上げたいがリソースがない | 編集を巻き取り、企画・台本という上流に集中してもらう | 概要欄のリンク先(自社サービスか)、投稿間隔のばらつき |
この表の使い方で一番大事なのは、「業種×動画の用途」で1マスまで絞ることです。「不動産に対応できます」ではまだ広い。「不動産×物件紹介」「歯科×症例」「士業×セミナーアーカイブ」「飲食×求人動画」まで絞ると、相手は自分の話をされていると認識します。
ちなみにブイプロ受講生の成果報告データ(回答485名・延べ1,184件)で案件種類の分布を見ると、YouTube長尺287件、YouTubeショート181件、Instagramリール129件、TikTok103件、サムネイル制作79件、広告動画77件、ディレクション・運用代行65件、企業PR動画48件、セミナー・ウェビナー動画45件、LP用動画15件となっています。長尺・短尺のSNS動画が主戦場である一方、企業PR・セミナー・LP用といった用途が明確な動画も一定量あることが読み取れます。用途が明確な案件ほど、悩みの仮説も立てやすい。
リサーチの具体的な手順:30分で何を見るか
「リサーチしろ」で終わると誰も動けません。1社あたり30分、見る場所と探すものを固定します。
①HP(10分):予算規模と事業構造を読む
見るのはデザインじゃありません。会社概要の設立年・従業員数・資本金・拠点数。この4つで、動画に出せる予算のレンジがだいたい推定できます。さらに事業内容から「何を売って利益を出している会社か」を1文で言えるようにする。ここが言えないと、動画をどの売上に接続する提案なのかが書けません。
それと、大企業は最初の相手として現実的ではないと割り切ってください。従業員規模が大きすぎる会社は決裁経路が長く、個人が入り込む余地がほとんどありません。
②プレスリリース・お知らせ(5分):予算が降りている場所を探す
プレスリリースは「その会社が今、金と人を投じている領域」の公開情報です。新サービスのリリース、新拠点、資金調達、採用強化。どれも動画の用途に直結します。「YouTubeを始めました」というリリースが出ていれば、それは知ってほしいという意思表明で、外部の協力を待っている状態です。
補助金の採択企業一覧のように、公開されているリストもあります。申請理由に動画関連が含まれていれば、案件の存在はほぼ確定です。
③過去の動画・既存クリエイティブ(10分):現物から読み取る
ここが一番情報量の多いパートです。相手の既存動画を見るときのチェック項目を固定しておきます。
- 更新間隔:週1が守れているか、月に1本になっていないか。乱れは「リソースが足りていない」の最も強い証拠です。
- 編集の一貫性:テロップの位置やフォントが動画ごとに違えば、複数人でバラバラに作っている、あるいは内製で手が回っていない可能性。
- 冒頭の作り:最初の5〜10秒に手が入っているか。ここが弱いと、離脱という数字の悩みに接続できます。
- サムネイル:直近と1年前で作りが変わっているか。変わっていなければ改善の手が入っていない。
- 概要欄のリンク先:自社サービスへ誘導していれば、目的は広告収益ではなく集客です。悩みの中身が変わります。
ここまで見ると、「制作イメージ」を作る材料が揃います。相手の現状と、自分が作った改善版を並べたビフォーアフター画像1枚。実績がない段階では、これが一番強い武器になります。任せた後の未来を、先に見せてしまうという発想です。
④担当者個人のSNS(3分):言葉のトーンを合わせる
会社の公式アカウントではなく、担当者や経営者個人の発信を見ます。目的は2つ。ひとつは、その人が今どんな課題を口にしているかを拾うこと。もうひとつは、相手が使っている言葉づかいに文体を寄せることです。
ただ、ここには線があります。プライベートの投稿に触れる、共通の知人を持ち出す。そういう距離の詰め方は、相手を動かすためのテクニックであって信頼にはなりません。仕事に関する公開発信の範囲を超えないのが原則です。
⑤競合(2分):相手が比較されている相手を知る
相手と同業の会社を2〜3社見て、動画の使い方を比べます。「同業は採用動画を出しているのに、この会社はまだ出していない」という差分は、そのまま提案の理由になります。逆に同業がやっていないことを提案するなら、なぜやる価値があるのかを説明する材料が別途必要です。
リサーチ項目チェック表
| 見る場所 | 探すもの | 分かること | 営業文のどこで使うか | 目安 |
|---|---|---|---|---|
| 会社概要 | 設立年・従業員数・資本金・拠点数 | 予算レンジ、決裁の重さ | 提案する金額と規模感 | 5分 |
| 事業内容ページ | 何で利益を出しているか | 動画を接続すべき売上 | 提案の目的の一行 | 5分 |
| プレスリリース/お知らせ | 直近3〜6ヶ月の動き | 今お金が降りている領域 | 「なぜ御社か」の一行 | 5分 |
| 採用ページ・求人媒体 | 募集職種と件数、業務委託の募集 | 人手不足の場所 | 課題仮説の根拠 | 3分 |
| 既存の動画 | 更新間隔・編集の一貫性・冒頭・サムネ | 制作体制の実態 | 制作イメージ/改善提案 | 10分 |
| 概要欄・LPのリンク | 誘導先が自社商品か広告収益か | 動画の目的 | 指標の置き方 | 2分 |
| 担当者個人のSNS | 仕事に関する直近の発信 | 言葉のトーン、関心事 | 文体、アイスブレイク | 3分 |
| 同業2〜3社 | 動画の使い方の差分 | 相手が遅れている/進んでいる点 | 提案の必要性 | 2分 |
調べた事実を「一行」に変換する
リサーチは、集めた量ではなく変換の精度で価値が決まります。調べたことを全部書いたら、ただの長いメールです。使うのは、事実→仮説→問いの3段で作った一行だけ。
| 観測した事実 | 立てる仮説 | 営業文に載せる一行 |
|---|---|---|
| 週1更新だったチャンネルが、3ヶ月前から月1になっている | 担当者の工数が別業務に取られている | 「直近の更新間隔が空いているようにお見受けしました。制作の負荷が課題になっていないでしょうか」 |
| 新サービスのプレスリリースが先月出ている | その領域に予算と人が動いている | 「先月の△△のリリースを拝見しました。サービス説明の動画は制作されるご予定でしょうか」 |
| 採用ページに10職種の募集が並んでいる | 採用が事業上の優先課題になっている | 「採用を強化されている時期かと思い、職場紹介の動画についてご提案があります」 |
| 動画ごとにテロップのフォントが違う | 複数人でバラバラに制作している | 「トンマナを揃えた状態で継続制作する形をご用意できます」 |
| 制作実績ページの更新が活発、業務委託の募集も出ている | 受注に対して制作リソースが足りていない | 「御社の案件の一部を巻き取る形で、ディレクションの手間を減らすご提案です」 |
変換のルールは3つです。
- 観測できる事実しか書かない。「御社は集客に苦戦されていると思います」は観測ではなく決めつけです。更新が止まっている、リリースが出ている、募集が出ている。公開情報で確認できることだけを根拠にします。
- 仮説は疑問形で置く。「〜ではないでしょうか」「〜でお困りではありませんか」。断定は、外れたときに取り返しがつきません。
- 一行に絞る。調べたことを3つも4つも並べると、調査自慢に見えます。強みも同じで、核を1本に絞らないと相手が迷います。
この一行をどこに置くか、メール全体をどう組み立てるかは動画編集の営業メールの型と例文で扱っています。構成そのものはあちらを参照してください。この記事で作るのは、その構成の「なぜ御社か」に入れる中身です。
それと、企業側が動画編集者に何を期待しているのかは企業が動画編集者に求めていることにまとめています。仮説を立てる前に発注側の評価軸を知っておくと、精度が上がります。
仮説を外したときのリカバリー
外れることは事故ではなく前提
先に前提を共有しておきます。営業は失敗してナンボです。僕でも10回中9回は失敗します。仮説を立てる目的は、当てることではなく外れたときに何が違ったのかを特定できる状態にすること。仮説なしで送った文は、当たっても外れても学習になりません。
営業メールの反応は、自分のサービスの姿見でもあります。返信率が極端に低いなら、それは文章の問題ではなく、仮説かサービスそのものが相手にとって魅力的じゃない可能性が高い。返信率という数字は、そこを間接的に教えてくれます。
外し方のパターン別リカバリー
| 外れ方 | 起きていること | その場でやること | 次に直すところ |
|---|---|---|---|
| 商談で「その課題は特にないです」と言われた | 仮説が的外れ。ただし会話は始まっている | 素直に引き、「では現状で一番お困りなのはどのあたりですか」と聞き役に回る | 裏取りの工程を1つ増やす(既存動画を見ていなかった等) |
| 仮説は合っていたが、優先度が低かった | 課題は存在するが、今期の予算がついていない | 「時期が来たら」で終わらせず、次に検討するタイミングを聞く | プレスリリースや期末期首など、時期の読み方 |
| 窓口の部署がずれていた | 悩みの種類が部署とかみ合っていない | 「この件は◯◯のご担当の方でしょうか」と接続先を確認する | 誰宛に送るかの設計。部署別の変換表を使い直す |
| 返信が全く来ない(送信数が十分) | 件名で開かれていない、または仮説が弱い | 2〜3週間後に件名を変えて再送する | 件名のテスト、業種の絞り込み、サービスそのものの見直し |
| 「もう外注先がいます」と言われた | 枠が埋まっている。タイミングの問題 | 断りを受け入れたうえで、繁忙期や急ぎの案件のときの連絡先として残してもらう | 定期接触の設計。既存外注が手一杯になる時期を狙う |
| 決めつけて不快にさせた | 断定形で書いた、または調べた情報を誇示した | 言い訳をせず一言で謝り、要件を短くして引く | 疑問形で置くルールの徹底 |
商談での立て直し方
仮説が外れたと分かった瞬間にやってはいけないのは、用意してきた資料を最初から読み始めることです。商談の冒頭でいきなり資料を開くのではなく、まず20分ヒアリングして、聞いた悩みに対する答えとしてサービスを説明する。この順番なら、仮説が外れても致命傷にはなりません。仮説は、ヒアリングの質問を作るための下ごしらえ。そう考えたほうが実態に合っています。
相手が悩みを話してくれないとき、いきなり予算を聞くのはやめてください。「あくまで仮で構わないのですが」「後で変わっても大丈夫なので」とクッションを置いてから聞く。それでも答えが出ないなら、「仮にこの金額を超えたらNG、といったラインはございますか」と上限だけを確認する形に変える。聞きたいのは予算・ニーズ・開始時期・競合の4つだけです。
そして納品後に、ほとんどの人がやらないことをやってください。「今回の仕上がりは100点中何点でしたか。足りなかった点を教えてください」と聞く。ここで返ってくる答えが、次の仮説の材料になります。
やってはいけない書き方
リサーチを武器にすると決めた時点で、越えてはいけない線もはっきりします。
- 相手を動かすための心理テクニックに寄せない。不安を煽る、期限を偽って急がせる、断りにくい聞き方を仕込む。短期的に反応が取れても、その後の関係が続きません。営業は相手の悩みを解決するためにやることであって、相手を操作することではありません。
- 調べたことを誇示しない。「御社の◯◯も△△も拝見しました」と並べると、監視されているような不快感を与えます。使うのは一行だけです。
- できないことを書かない。実績は「任せて大丈夫そう」と感じてもらうためのものですが、盛った先には実務があります。完コピを名乗って完コピできていないポートフォリオは、技術的にできなかった人だというメッセージを伝えてしまい、逆効果です。
- 成果を約束しない。「再生数が伸びます」「売上が上がります」は、実体験の裏づけがない限り書くべきではありません。書けるのは、工数がどれだけ減るか、何をどこまで巻き取れるか。自分がコントロールできる範囲だけです。
- 「勉強させてください」「格安で対応します」を入れない。安さで入ると安い人として固定されて、あとから動かせなくなります。
今日からやる手順
- 業種×用途で1マス選ぶ(例:不動産×物件紹介、士業×セミナーアーカイブ)。すでに1本でも実績がある業種、元いた業界、知り合いがいる業種から選ぶと早い。
- その業種の会社を10社リスト化する。50社で止めると数字が出ないので、慣れたら100社を目標にする。
- 上の一覧表から、その業種の悩み仮説を初期値として書き出す。
- 10社それぞれについて、チェック表の8項目を埋める。1社30分、合計5時間。
- 埋めた事実から、1社1行の「なぜ御社か」を書く。ここだけは絶対に使い回さない。
- 送る。返信が来なければ2〜3週間後に件名を変えて再送する。
- 10社送り終えたら、返信の有無と内容を並べて、どの仮説が反応されたかを見る。反応があった仮説の方向に、次の10社を寄せる。
1社目のリサーチは40分かかってかまいません。同じ業種を続けていれば、5社目には15分になります。同じ業種に絞る理由の半分は、このリサーチコストの逓減にあります。
まとめ
営業文の差は、文章を書き始める前についています。金太郎飴から抜けるために必要なのは、気の利いた言い回しでも心を動かすコピーでもなく、「この会社について、自分だけが知っていること」を一行作ることです。材料は、HP・プレスリリース・既存の動画・担当者のSNS・同業他社という、誰でもアクセスできる場所に全部置いてあります。誰でも見られるのに、ほとんどの人が見ていない。差はそこにしかありません。
そして、その一行が外れてもかまいません。外れたことが分かるように書いておけば、次の一行は必ず良くなります。
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よくある質問
Q1. リサーチに、1社あたりどれくらい時間をかけるべきですか?
目安は30分です。最初の数社は40分かかっても構いませんが、同じ業種を続けていれば15分程度まで下がります。逆に1社に2時間かけるのは、送る前に疲れて件数が出なくなるので避けてください。営業準備全体(リスト収集・サンプル・資料・営業文・商談)でおよそ30時間という試算が目安として使われています。時間は有限なので、どこにかけるかを決めるほうが大事です。
Q2. 仮説が的外れだったら、信用を失いませんか?
疑問形で書いていれば、失いません。「〜でお困りではないでしょうか」に対して「いや、そこは大丈夫です」と返ってくるのは、会話が始まった状態です。信用を失うのは、断定形で決めつけたときと、外れた後に自分の提案を押し通そうとしたときです。外れたら素直に引いて聞き役に回るのが正解です。
Q3. テンプレートは使ってはいけないのですか?
骨組みとしては使ってください。挨拶、自己紹介、実績の並べ方、締めの依頼といったブロック構造は、毎回ゼロから考える意味がありません。使い回してはいけないのは「なぜ御社か」の一行だけです。ここが空欄だったり、どの会社にも当てはまる文言だったりすると、一斉送信であることが即座に伝わります。テンプレの丸パクリが効かないのは、同じテンプレを使う人が大量にいるからです。
Q4. 相手の情報がほとんど公開されていない会社は、どうすればいいですか?
2つの選択肢があります。ひとつは、リストの優先順位を下げること。情報が少ない会社は、そもそも外部への発信に力を入れていない可能性が高く、動画の優先度も低い傾向があります。もうひとつは、アポの前に確認の連絡を入れることです。「よいご提案をしたいので、事前にいくつか伺えませんか」という連絡は、失礼どころか信頼を前に進めます。
Q5. 実績がない段階でも、リサーチだけで戦えますか?
実績の代わりになるのが「制作イメージ」です。相手の既存動画の現状と、自分が作った改善版を並べた1枚。これはリサーチをしていないと作れないものなので、実績がない人ほどリサーチの価値が相対的に大きくなります。ブイプロ受講生の成果報告データ(回答219名)で獲得経路を見ると、主要8経路で延べ270件のうち、クラウドワークス76件、知人・友人からの紹介56件、交流会やディレクターつながりなどのコミュニティ49件、Xの募集投稿・DM営業26件、ブイプロ内の案件募集部屋24件、ランサーズ18件、企業へのメール営業12件、Indeed・Wantedlyなどの求人媒体9件という分布でした。経路は複数あり、どの経路でも「相手を調べてから接触する」ことは共通して使えます。
※本記事の内容は、株式会社ブイストおよび受講生から得られた事例・データにもとづく情報提供を目的としたものであり、特定の成果や収入を保証するものではありません。案件の獲得可否・条件は、個人のスキル、稼働状況、市場環境等により異なります。記載しているデータは執筆時点のものです。
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P.S. 7年前の疲弊する前に欲しかった…
