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動画編集が速くならない本当の理由|12時間を10時間にする指導の粒度

公開日: 2026年9月8日 最終更新: 2026年10月18日 執筆: 山田一真(カズマル)|株式会社ブイスト代表
12時間が10時間に なった指導の粒度

はじめまして。この記事を書いた人です

山田一真(カズマル)動画編集スクール「ブイプロ」代表/株式会社ブイスト

  • 2019年12月、報酬500円の動画編集案件から個人で仕事を始める
  • 個人受注から法人・代理店の案件へ広げ、2022年に株式会社ブイストを設立
  • 2025年8月、同社の株式を株式会社エフ・コード(東証グロース・9211)へ譲渡。現在も福岡を拠点に運営を継続
  • 受講生から寄せられた成果報告 延べ555件・実人数380名を自社で集計し、内容を公開している

この記事を書ける理由:この記事は、2023年6月18日の個別相談で僕が実際にした指導をもとに書いています。「エフェクトの数値が0.3になっているので0.25にしましょう」という、操作1つ単位まで降りたやり取りを僕はそのとき実際にしていて、その粒度でないと編集時間は縮まないという話をそのまま書きます。

この記事でわかること

  • 「もっと速く編集しよう」という助言では、編集時間が1分も縮まない理由
  • エフェクトの数値を0.3から0.25に直す、というレベルまで降りた僕の指導の実例(2023年6月時点の個別相談より)
  • 12時間かかっている編集が10時間にならないとき、どこで止まっているのか
  • 独学でも、操作1つ単位まで粒度を下げて自分の編集を点検する手順
  • フィードバックをもらう側が、粒度の高い指摘を引き出すための聞き方

「もっと速くしよう」は、助言のかたちをした感想です

動画編集の相談でいちばん多く交わされていて、いちばん何も動かさない会話があります。「編集が遅くて困っています」「じゃあもっと速くしましょう」というやり取りです。

これは助言に見えますが、内容は感想です。遅い、という事実を言い換えて返しているだけで、明日の作業でどのキーを押すかは1つも変わっていません。言われた側は「そうですよね、頑張ります」と答え、翌日もまったく同じ手順で12時間の編集をします。

編集時間というのは、意識では縮みません。気合いを入れても、タイムラインの上で起きている操作の数は変わらないからです。逆に言えば、操作の数か、1操作あたりの時間か、そのどちらかが実際に減ったときだけ、編集時間は縮みます。当たり前のことですが、この当たり前が指導の現場で守られていないことがあります。

僕が2023年6月の個別相談で話したのは、まさにこの話でした。時間を縮めるには、抽象度の高い助言ではなく、操作1つの単位まで降りた指摘が要る、というのが僕の考えです。

0.3を0.25に。これが「粒度」という言葉の実物です

粒度、という言葉は抽象的なので、先に実物を出します。2023年6月18日の個別相談のなかで、僕は指導の具体例としてこう言いました。

「今エフェクトの数値0.3になっているので 0.25にしましょう これはこういう理由だからですとか」

ここで注目してほしいのは、数字そのものではありません。0.3が正しいか0.25が正しいかは、案件によっても、素材によっても変わります。重要なのは、指摘が「数値」という単位まで降りていること、そして「これはこういう理由だからです」と理由がセットになっていることです。

数値だけ直させると、その人はその案件でしか直せません。理由がついて初めて、次の案件で自分で判断できるようになります。逆に理由だけを語って数値に触れないと、聞いた時点では納得しているのに、タイムラインに戻ると何も変わりません。この2つは両方ないと機能しない、というのが僕の指導の実務です。

もう1つ僕が挙げたのが、ショートカットの例でした。毎回コピー&ペーストで処理していた範囲指定の作業を、キーボードショートカットで一括にする、という指摘です。このときは、範囲指定を一括化するショートカットとして「コマンドシフトX」を押す、という水準の話を例に出しました。

これも、数字の話と構造は同じです。「作業を効率化しよう」ではなく、「その操作は、そのキーで置き換えられます」まで降りている。降りているから、次の1本目から実際に手が変わります。操作そのものを覚え直したい場合は、Premiere Proの使い方で案件で使う順に整理しています。

12時間が10時間にならないのは、2時間分の操作を誰も見ていないからです

この個別相談で、僕はこの粒度の必要性をこう伝えました。

「そこまで入らないと12時間かかっている編集を10時間にするのは難しい」

2時間、という差を分解して考えてみると、この言葉の意味がはっきりします。12時間から10時間へ、というのは2時間の短縮です。1本の動画のなかで、たとえば1回あたり10秒余計にかかっている操作があったとすると、その操作が720回あれば2時間になります。テロップの配置、カット、エフェクトの調整、書き出し前の確認。編集という作業は、小さな操作の反復でできています。

つまり2時間という塊は、どこか1か所に落ちているのではなく、数百回の小さな操作に薄く広がって存在しています。だから「編集全体を速くしよう」という視点では見つかりません。1回あたり10秒の無駄は、全体を眺めている限り絶対に見えないサイズだからです。

見つけるには、その人が実際に画面上でやっている操作を、操作の単位で見るしかありません。どのタイミングでマウスに手を伸ばしているか。どのメニューを毎回たどっているか。同じ操作を何回繰り返しているか。ここまで降りて初めて、2時間の在りかが特定できます。

助言の粒度 言われた側に起きること
「もっと速く編集しよう」 翌日も同じ手順で作業する。何も変わらない
「ショートカットを覚えよう」 覚えるべき対象が多すぎて、自分の作業に紐づかない
「毎回コピペしている範囲指定を、このキーに置き換えましょう」 次の1本目から手が変わる
「この数値を0.3から0.25に。理由はこうです」 次の案件では自分で判断できるようになる

なぜ、そこまで降りた指導は起きにくいのか

この粒度が必要だという話には、続きがあります。同じ個別相談で、僕はこうも言いました。

「普通の動画編集スクールってそこできない」

これは他社の批判として読むと、意味が反転します。僕が言いたかったのは、構造の話です。

操作1つ単位の指摘をするには、その人が実際に編集している画面を、時間をかけて見る必要があります。完成した動画を見て「テロップのタイミングが少し遅い」と言うのは、完成物へのフィードバックです。それは品質には効きますが、時間には効きません。時間に効く指摘は、完成物からは取り出せないからです。0.3という数値がどこにあったかは、書き出されたmp4を見ても分かりません。

だから、時間を縮める指導は、プロセスを見る指導になります。1人の受講生の作業画面に、まとまった時間を使う。これは動画教材でも、一斉配信の講義でも、数百人が入っているチャットでも実行しづらい構造です。仕組みとして、その粒度に入れるかどうかで差がつく、というのが僕の言った「そこできない」の中身です。

ここは誤解されやすいので、はっきり書いておきます。動画教材が悪い、という話ではありません。操作の手順や機能の使い方を学ぶには、動画教材のほうが向いています。何度でも止められて、何度でも戻せるからです。効かないのは、「あなたの編集の、あなた固有の無駄」を見つける工程だけです。ここだけは、誰かがあなたの画面を見る必要があります。

独学で粒度を上げる:自分の画面を、自分で他人として見る

では、いま誰にも見てもらえない環境にいる人は打つ手がないのかというと、そうではありません。やることは決まっていて、「自分の作業画面を記録して、後から見る」です。他人の目がないなら、時間差を使って自分を他人にします。

手順としては、次のように進めます。

  • 1本分の作業画面を録画する。画面収録で、編集開始から書き出しまでを記録します。音声は要りません。ファイルサイズが気になる場合は、低解像度で構いません。
  • 倍速で見返し、手が止まっている場所に印をつける。4倍速くらいで流すと、迷っている時間が「動きのない区間」として見えます。ここが判断のコストがかかっている場所です。
  • 同じ操作を3回以上繰り返している箇所を数える。反復は自動化できる候補です。ショートカット、プリセット、テンプレート、どれで置き換えられるかを考えます。
  • マウスに手を伸ばした回数を数える。キーボードから手が離れる回数は、そのままロスの回数です。特に多いメニュー操作から順に、ショートカットを割り当てます。
  • 置き換えを、1週間に1つだけにする。ここが重要です。10個まとめて変えると、どれも定着せず、しかも編集品質が一時的に落ちます。1つずつ入れて、手が覚えてから次に進みます。

この作業をすると、たいてい自分でも意外な場所に時間が落ちていることが分かります。多いのは、素材を探している時間、書き出し設定を毎回確認している時間、テロップの位置を微調整している時間です。どれも「編集の腕」とは無関係な場所で、しかも合計すると無視できない量になっています。この種の時間をツール側で削る方法はカットとテロップをAIで半減させる方法にまとめています。

見てもらえる環境にいる人は、聞き方で粒度が変わります

指導を受けられる環境にいる場合でも、聞き方によって返ってくる粒度は変わります。抽象的に聞けば抽象的な答えが返り、具体的に聞けば具体的な答えが返る、というだけの話ですが、これを意識している人は多くありません。

「編集が遅いんですが、どうしたらいいですか」と聞くと、答える側は情報を持っていないので、一般論を返すしかありません。返ってくるのは「ショートカットを覚えるといいですよ」です。これは間違いではないけれど、あなたの2時間には届きません。

粒度を上げるには、こちらから材料を渡します。具体的には、次のように聞きます。

  • 「この1本に11時間かかりました。作業画面を録画したので、無駄な操作があれば指摘してください」
  • 「テロップ作業だけで4時間使っています。この工程の私のやり方を見て、削れる操作を教えてください」
  • 「このエフェクトの数値をいつも感覚で決めています。この素材の場合、いくつが適切で、それはなぜですか」

3つ目の聞き方は、そのまま「0.3を0.25に、理由はこうです」という答えを引き出す形になっています。答える側が具体的に答えられる質問を、こちらから設計する。これは指導を受ける側の技術です。

あわせて、指摘を受けたあとにやることも決めておきます。受けた指摘を、そのまま自分用のショートカット表やチェックリストに書き足す。書かなければ、3日で忘れます。せっかく操作単位まで降りてもらった指摘を、記憶だけに置いておくのはもったいない扱いです。

速さは、品質を落とさない範囲でだけ意味を持ちます

最後に、方向を間違えないために1つ書いておきます。ここまでの話は「雑に早く終わらせる」ことではありません。0.3を0.25にする、という指摘に僕が理由をつけたのは、その数値のほうが仕上がりとして適切だからです。速さと品質が同じ方向を向いているときにだけ、この最適化には意味があります。

操作を減らすことで確認工程まで削ってしまうと、修正依頼が増えて、結局トータルの時間は伸びます。削っていいのは、成果物に影響しない操作だけです。素材を探す時間、メニューをたどる時間、同じ作業を手でやり直す時間。これらは削っても、納品物は1ミリも変わりません。

逆に、見直しの回数や、書き出し後の全編確認は、削る対象ではありません。ここを混ぜないことが、時短を「品質低下」に変えないための線引きです。工程ごとに何を速くしてよくて何を削ってはいけないかは、動画編集が遅い人へでも整理しています。

よくある質問

ショートカットを一覧で覚えるのは効率的ですか

一覧を丸暗記する方法は、定着しにくいやり方です。覚えた100個のうち、実際に自分の案件で使うのは十数個ということが起こります。僕がおすすめするのは逆順で、自分の作業録画を見て「回数が多い操作」から順にショートカットを割り当てていく進め方です。使う頻度が高い順に入るので、覚える前に手が覚えます。

編集時間はどれくらいまで縮められますか

ここは、人と案件によって幅が大きく、一律の数字は出せません。2023年6月時点の個別相談で僕が例として出したのは、12時間かかっている編集を10時間にする、という水準の話でした。これはあくまで会話のなかで挙げた例で、誰でもこの短縮になるという意味ではありません。到達点よりも、「どの操作が何秒減ったか」を自分で計測できる状態にするほうが先です。

まだ案件を持っていない段階でも、速さを気にすべきですか

優先順位としては後ろです。最初は、納品物として通用する品質を出せることが先で、速さはその次に来ます。ただ、練習の段階から作業画面を録画する習慣だけはつけておくと、後から効きます。自分の癖は、初期に固まって、後から直しにくくなるからです。

個別に見てもらう機会がない場合、どこから手をつけますか

作業画面の録画と、その見返しからです。この記事の「独学で粒度を上げる」の手順は、1人でも実行できるように組んであります。それでも自分では判断がつかない箇所が残った場合に、その箇所だけを持って人に聞くと、質問が具体的になっているぶん、返ってくる答えの粒度も上がります。

ソフトを変えれば速くなりますか

ソフトの乗り換えは、短期的にはほぼ確実に遅くなります。操作を覚え直す時間がかかるからです。乗り換えを検討する価値があるのは、いま使っているソフトの操作をひととおり最適化したうえで、それでも構造的に足りない機能がある場合です。順序としては、まず手元の環境で削れる操作を削り切ってからになります。

まとめ

編集時間が縮まないとき、原因は編集している人の意識ではなく、指摘の粒度にあることがあります。「もっと速く」という助言は、遅いという事実を言い換えているだけで、翌日の操作を1つも変えません。

2023年6月の個別相談で僕が話したのは、エフェクトの数値を0.3から0.25に直す、毎回コピー&ペーストしていた範囲指定をショートカットで一括にする、という水準の指摘でした。ここまで降りないと12時間の編集が10時間にはならない、というのが僕の考えの骨です。そして、この粒度に入るには誰かがその人の作業画面をまとまった時間見る必要があり、それは仕組みとして実行しづらい、ということもそのとき伝えました。

時間の無駄は、数百回の小さな操作に薄く広がって存在しています。だから全体を眺めても見つかりません。人に見てもらえる環境なら、材料を渡して具体的に聞く。1人なら、自分の作業画面を録画して、時間差をつくって他人の目で見る。どちらの道でも、やることは同じです。操作1つの単位まで降りること。編集時間は、その単位でしか縮みません。

免責事項

本記事は、株式会社ブイストが運営する動画編集スクール「ブイプロ」の代表である僕(山田一真)の講義と個別相談の内容をもとに書いています。記載した編集時間は当時の個別相談で例として挙げた水準であり、実際にどれだけ短縮できるかは案件の内容と本人の習熟度によって異なります。特定の収入・成果・案件獲得を保証するものではありません。

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