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動画編集の企業案件の取り方|YouTube以外の4領域とは

公開日: 2026年9月1日 最終更新: 2026年9月12日 執筆: 山田一真(カズマル)|株式会社ブイスト代表
YouTube以外にも 4つの領域がある

はじめまして。この記事を書いた人です

山田一真(カズマル)動画編集スクール「ブイプロ」代表/株式会社ブイスト

  • 2019年12月、報酬500円の動画編集案件から個人で仕事を始める
  • 個人受注から法人・代理店の案件へ広げ、2022年に株式会社ブイストを設立
  • 2025年8月、同社の株式を株式会社エフ・コード(東証グロース・9211)へ譲渡。現在も福岡を拠点に運営を継続
  • 受講生から寄せられた成果報告 延べ555件・実人数380名を自社で集計し、内容を公開している

この記事を書ける理由:僕は編集者だった頃に企業と直接取引を持つようになって、仕事の性質が丸ごと変わるのを体験しました。いまは発注する側でもあります。この記事の単価データは、受講生の成果報告を自分で集計した一次データです。

動画編集で単価を上げたいなら、YouTube案件の外に出るのが近道です。受講生の集計では、企業向けの4領域——広告動画・企業PR(サービス紹介)・セミナー/ウェビナー動画・LP用動画——のいずれかを手がけている人は、手がけていない人にくらべて単価3万円以上の割合が2倍以上でした。

ただ、先に断っておきます。これは「企業案件をやれば単価が上がる」という因果の証明ではありません。企業案件を任される人は、その前提としてスキルや実績を積んでいることが多いからです。この記事では、どの領域に、どんな仕事があり、何を準備すれば入口に立てるのかを、実データと現場の型から整理します。

この記事でわかること

  • 受講生485人の回答から見た企業系案件の分布
  • 企業系ジャンルと単価のクロス集計(母数nを明記)
  • 採用動画・サービス紹介・セミナー/ウェビナー・広告動画・展示会/社内向けの中身
  • YouTube案件と企業案件で違う4点(納期・修正フロー・決裁者・請求書)
  • 必要なスキルと準備、アプローチ先の優先順位と実際の獲得経路
  • 実績なしでも受けられるか、請求書はどう出すか(よくある質問5問)

まずデータ:企業系の案件は、実際どれくらいあるのか

ブイプロ(株式会社ブイスト)受講生の成果報告のうち、案件の種類に回答があった485件の集計です。複数選択のため延べ件数です。

表1:手がけている案件の種類(回答485件・複数選択・延べ)

案件の種類 件数 割合(485件中)
YouTube長尺動画 287 約59%
YouTubeショート 181 約37%
Instagramリール 129 約27%
TikTok 103 約21%
サムネイル制作 79 約16%
広告動画 77 約16%
ディレクション・運用代行 65 約13%
企業PR動画 48 約10%
セミナー・ウェビナー動画 45 約9%
LP用動画 15 約3%

読み取れることは2つ。企業系の4ジャンルはいずれも少数派(広告動画で約16%、LP用動画は約3%)。そして、だからこそ競合が薄いということです。YouTube長尺は約59%が手がけているので、そこで戦えば比較対象が多くなります。案件の種類の全体像は動画編集の案件の種類で整理しています。

企業系ジャンルと単価のクロス集計

次に、単価の記入があった263件(1,000円以上300万円以下・重複除去なし)で単価との関係を見ます。

表2:単価分布の全体(n=263)

単価帯 件数 割合
1万円未満 103 約39%
1〜3万円 97 約37%
3〜5万円 28 約11%
5〜10万円 19 約7%
10〜30万円 11 約4%
30万円以上 5 約2%
合計 263 100%

全体では3万円以上が63件(約24%)。ここに企業系ジャンルの軸を入れると、分布が変わります。

表3:企業系ジャンル別の単価(各ジャンル経験者のうち単価記入があった人)

区分 母数n 3万円以上 5万円以上 10万円以上 中央値
広告動画 49 22件(約45%) 12件(約24%) 7件(約14%) 25,000円
企業PR動画 30 14件(約47%) 10件(約33%) 8件(約27%) 25,000円
セミナー・ウェビナー動画 30 15件(約50%) 10件(約33%) 7件(約23%) 27,500円
LP用動画 11 10件(約91%) 9件(約82%) 5件(約45%) 77,000円
企業系4ジャンルのいずれかを含む 83 33件(約40%) 20件(約24%) 13件(約16%) 20,000円
企業系4ジャンルを含まない 179 30件(約17%) 15件(約8%) 3件(約2%) 10,000円
参考:YT長尺 193 51件(約26%) 28件(約15%) 12件(約6%) 15,000円
参考:YTショート 128 27件(約21%) 13件(約10%) 10件(約8%) 11,500円

検算:企業系を含む83件+含まない179件=262件。残り1件は案件種類が未回答のためこの区分から外れます。ジャンル別の行は複数選択のため互いに重複します。

差ははっきりしています。企業系を含む人は3万円以上が約40%、含まない人は約17%。10万円以上は約16%対約2%で、含まない群からは30万円以上が1件も出ていません

この数字を、どう読むべきか

正直に書きます。この集計は「企業案件をやれば単価が上がる」ことを証明していません。理由は3つあります。

  • 逆の因果がありうる。実力がついた人が、結果として企業案件を任されている可能性が高い
  • 自己申告である。報告していない人は母数に入っていない
  • 母数が小さい行がある。LP用動画はn=11で、1件の増減で数字が大きく動く

それでも「高単価が実在する場所の地図」としては使えます。1万円未満が約39%を占める市場で、10万円以上がどこに偏っているかは示せているので。

領域1:採用動画

人事・採用担当が発注元です。社員インタビュー、社長メッセージ、1日の仕事の流れ、オフィス紹介が典型的な納品物になります。

なぜ予算が出やすいのか

「採用コストの削減」という数字に直結するからです。求人媒体への出稿費、面接に費やす社員の時間、入社後のミスマッチによる早期離職——これらはすべてコスト。動画で社風や仕事内容を事前に伝えられれば、応募段階でスクリーニングが効き、面接コストと離職率が下がります。

僕はこの構造を「部署別の変換表」として整理しています。人事には育成コストと退職防止総務には研修・オリエンの動画化。いずれも「動画がほしい」ではなく「人にまつわるコストを下げたい」という需要につながっています。

求められるのはインタビュー素材を成立させる編集力(言いよどみのカット、間の詰め方)、会議室録りの反響を消す整音、映り込みや名札のぼかし処理、コーポレートカラーやロゴを守るトンマナの統一です。

領域2:サービス紹介・企業PR動画

サービスや商品の説明動画、会社紹介、導入事例インタビュー。営業部・広報部・マーケが発注元です。企業PR動画n=30で10万円以上が8件(約27%)と、企業系でも高単価が出ている領域です。

この領域の本質

営業部にとってのサービス紹介動画は「アポ前に見せて無駄アポを削る」道具です。広報部の定番の悩みは予算不足。制作会社に数十万円は出せないがフリーランスなら手が届く——ここが個人編集者の入る余地です。

提案で効くのはメリットを1つに絞ること。時短・価格・レスの速さ・売上向上・柔軟性・網羅性から、相手の部署に刺さる1つを選ぶ。全部並べると、結局何も伝わりません。

求められるのは仕組みを見せる図解・モーショングラフィックス(この力がそのまま単価になります)、ナレーション前提の構成力事実確認の慎重さ。公式動画なので、数字や表現の誤りは信用問題に直結します。

領域3:セミナー・ウェビナー動画

主催セミナー、社内研修、オンライン講座のアーカイブ編集です。n=30で3万円以上が15件(約50%)と、企業系4ジャンルで3万円以上の比率が高い部類に入ります。

なぜ狙い目なのか

素材が相手側で継続的に生まれるからです。撮影に行く必要がなく、企業がZoom録画や会場収録の素材を持っている。毎月セミナーをやる会社なら、案件が尽きません。作業も型に落としやすい——冒頭カット、整音、テロップ、チャプター、スライド差し替え。型ができれば原価が下がり、外注にも出せます。

僕が業種特化を語るときの条件は(1)素材が相手側で量産される(2)型が決まっている(3)専門知識が参入障壁になるの3つです。この領域は(1)(2)を最初から満たしていて、(3)は業種を絞れば自分で作れます。

最大の差別化点は整音。長尺の音声品質は、そのまま視聴継続率になります。加えてチャプター設計やダイジェスト切り出しといった長尺の構造化、解像度不足をスライド原本の差し込みで補うスライドの扱い。2〜3時間素材のためPC環境がボトルネックになる点にも注意してください。

領域4:広告動画

YouTube広告、Meta広告、TikTok広告などの運用型クリエイティブ。n=49と企業系で母数が最大、3万円以上が22件(約45%)。入口としていちばん現実的な領域です。

この領域の特徴

発注元は広告代理店・マーケティング会社・事業会社の広報が中心。特徴は「数字責任は相手が持つ」点です。代理店が成果にコミットしているので、編集者は仕様を確実に返せばいい。実績が浅くても入りやすい一方、本数が多い・締切が短い・A/Bテスト用のバリエーションが発生するのが現場特性です。そして単発で終わらず継続で流れてくるのが最大の価値。エンド企業は1社1案件ですが、代理店は1社からn案件が来ます。

評価軸そのものが冒頭2秒の設計。離脱との勝負なので、フック作りがすべてです。加えて縦横・尺違いを出す一括書き出しの運用力、健康食品や化粧品なら薬機法・景表法の基礎理解、「明日までに3パターン」が起きる短納期対応も前提になります。

番外:展示会・社内向け動画

展示会向けはブースで無音ループ再生する動画が典型。テロップと図解だけで理解させる設計力が問われます。尺は30秒〜1分。日程が決まっているので納期は絶対ですが、逆にスケジュールが読める案件です。

社内向けは業務マニュアル、研修動画、社内広報。「新人研修という誰でもできる仕事に、キーマンの時間が奪われている」という仮説から入るのが型で、動画化して教育を自動化すればそのリソースが売上を作る仕事に戻る、というトークチェーンで提案が成立します。社外に出ないため、実績として公開できないことが多い点は注意してください。なおこの2領域は集計に独立した選択肢がないため、件数は提示できません。

表4:企業系5領域の一覧

領域 主な発注部署 求められるもの 単価傾向(本調査)
採用動画 人事・総務 インタビュー編集/整音/ぼかし処理/トンマナ遵守 企業PR動画としてn=30・中央値25,000円
サービス紹介・企業PR 営業・広報・マーケ 図解/モーション/ナレーション構成/事実確認 n=30・10万円以上が約27%
セミナー・ウェビナー マーケ・人材開発 整音/チャプター設計/長尺処理/スライド差し込み n=30・3万円以上が約50%
広告動画 広告代理店・マーケ 冒頭2秒の設計/複数フォーマット出し/法令表現/短納期 n=49・3万円以上が約45%
展示会・社内向け 営業・総務・人事 無音での可読性/マニュアル的な構造化/機密の取り扱い 本調査に独立項目なし

YouTube案件と企業案件は、仕事の性質が違う

単価だけを見て飛び込むと、つまずきます。企業案件は品質基準が別物だからです。

表5:YouTube案件と企業案件の違い

項目 YouTube案件(個人・チャンネル運営者) 企業案件(法人)
決裁者 依頼者=決裁者。その場で決まる 担当者は決裁者ではない。稟議・上長承認を経る
納期 投稿日基準。多少の前後は調整可能 公開日・展示会日・入社式など動かせない日程に紐づく
修正フロー 依頼者の主観で1〜2往復。「気になったところ」を都度 担当者→上長→法務/広報と複数人のチェック。回数と範囲を契約時に定義する
連絡 チャットツール中心・即時 メール中心・返信は営業日単位。遅いのが普通
請求と入金 納品後すぐ振込が多い 請求書提出→締め日→翌月末など支払サイトが存在
秘密保持 特になし NDA締結、実績公開の可否確認が必要

決裁者がいる、ということの意味

いちばん多い失敗は担当者に気に入られて満足してしまうことです。担当者は決裁者ではなく、提案を社内で説明する立場にいます。だから提案は「担当者に刺さる内容」ではなく「担当者が上長に説明できる形」で渡す。僕の型では「決裁会議はいつですか」と聞いて、会議翌日までの返答を約束してもらいます。

修正フローは「回数」ではなく「範囲」で決める

複数人のチェックが入るというのは、後から新しい人の意見が加わるということです。担当者がOKを出した後に上長から全面差し戻しが来るのは、珍しくありません。決めるべきは修正回数だけでなく「どの段階で、誰の承認をもって確定とするか」。完パケをいきなり出さず構成案→仮編集→本編集と段階を分けて承認をもらえば、差し戻しは構成段階で起きます。

請求書と支払サイト

法人は請求書がないと支払えません。口頭やチャットの合意では経理が処理できないからです。実務は次の流れです。

  1. 納品する
  2. 先方の検収(内容確認)を受ける
  3. 締め日までに請求書を提出する
  4. 契約した支払サイト(締め日の翌月末など)で入金される

つまり納品から入金まで1〜2ヶ月かかることがあるのが前提です。知らずに月の生活費を当て込むと、資金繰りで詰まります。宛名の会社名を正式表記にする、件名に社名と対象月を入れる、項目をざっくり書かない——この3点だけでも印象が変わります。企業側が何を求めているかは企業が動画編集者に求めることで整理しています。

企業案件に必要なスキルと準備

表6:領域に入る前に用意しておくもの

分類 準備するもの なぜ必要か
制作 該当領域のサンプル動画1本 提案書10枚より強い。依頼が来る前に作る
制作 整音の基礎と、図解・テロップだけで説明する構成力 会議室録りやZoom録画が素材の中心で、無音再生にも耐える必要があるため
提案 サービス名と納品物の「型」 「動画編集やります」は比較される。何を・誰に・どんな課題解決かを1行に
提案 スライド5枚(課題・納品物・サンプル・料金・流れ)と、内訳つきの見積もりイメージ 担当者が社内で回覧できる形が要る。「料金プラン」より検討が進む
事務 請求書のフォーマット、屋号・振込先の整理 法人は請求書がないと支払処理ができない
事務 修正範囲・納期・検収・支払期日の条件メモ、NDA対応 複数人チェックによる手戻りを防ぐため

優先順位の最上位は「サンプル動画1本」です。商談でもっとも多い質問は「実績はありますか」で、該当領域の完成物を1本出せるかどうかで会話が変わります。素材は公開されているものや、自分で撮ったもので構いません。

どこから当たるか:アプローチ先の優先順位

企業系4ジャンルのいずれかを手がけ、獲得経路の回答もあった55件の内訳です(複数選択・延べ76件)。

表7:企業系ジャンル経験者の獲得経路(n=55・延べ76件)

経路 件数 割合(55件中) 全体構成比(延べ270件)
知人・友人からの紹介 23 約42% 約21%
その他のコミュニティ(交流会等) 17 約31% 約18%
クラウドワークス 13 約24% 約28%
ブイプロ内の案件募集部屋 8 約15% 約9%
企業へのメール営業 6 約11% 約4%
ランサーズ 5 約9% 約7%
Xの募集投稿・DM営業 4 約7% 約7%

全体ではクラウドワークスが最多(延べ270件中76件・約28%)ですが、企業系経験者に限ると紹介とコミュニティが上位に来て、クラウドワークスの比率は下がります。企業へのメール営業も全体約4%に対し、企業系では約11%。つまり企業案件は公募より人づてで動いている傾向があります。因果を示すものではありませんが、「公募を眺めているだけでは企業系の案件に出会いにくい」という示唆は読み取れます。

当たる順番

僕が示す優先順位は、いきなり上を狙わないという一点に尽きます。

  1. 既存のクライアント。信用がある相手への別領域の提案が最短
  2. 個人のフリーディレクター。判断が早く、実績を作る場所に向く
  3. SNS運用代行・マーケ会社。動画制作機能が弱い会社が多い
  4. 中堅の映像制作会社。本命。「御社の案件の一部作業を私に」が通りやすい
  5. 企業への直接営業。単価は高いが、実績ゼロだと門前払いになりやすい

リスト作成では、Indeed・Wantedlyで「動画編集 業務委託」を探すのが有効です。募集は、仕事があって人が足りていない証拠だから。企業チャンネルの制作クレジットや、プレスリリースで「YouTubeを始めました」と出す会社も、営業を待っている状態と読めます。返信率は数%——100社送って数件の世界なので、10社で心が折れないように先に知っておいてください。手順は動画編集の法人営業7ステップで解説しています。

最初の1社を取るまでの現実的な手順

  1. 領域を1つ選ぶ。「全部やります」は「特に何もできません」と同じ意味で届く
  2. サンプルを1本作る。尺・構成・入るものを自分で決めて型にする
  3. 納品物をメニュー化し、スライド5枚にまとめる。課題・納品物の型・サンプル・料金・導入の流れ
  4. まず既存の繋がりから当たる。次にディレクター、制作会社、企業直
  5. 1社目は過剰品質で納める。修正ゼロを出せると2本目以降が自動で来る
  6. 納品後に聞く。「今回の仕上がりは100点中何点でしたか。足りない点を教えてください」——やる人がほとんどいません
  7. 事例が3件たまったら値上げを検討する。断られるまで上げる、が目安

前提として、基本的な編集品質が一定ラインに達している必要があります。企業が探しているのは「安いから頼む」相手ではなく「任せても確認しなくていいから頼む」相手です。売っているのは編集作業ではなく、発注側の手間を消すことだと考えてください。

僕が編集者だった頃からずっと聞いてきた質問があります。5,000円の動画×10本か、5万円の動画×1本、どちらが好きですか。同じ時間を使うなら、どちらに寄せるかは自分で選べます。

ブイプロでは、企業案件を含む動画編集の仕事の実態や営業の進め方を無料で公開しています。どの領域から入るか判断する材料として使ってください。

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よくある質問

Q1. 実績がなくても企業案件は受けられますか?

企業への直接営業は厳しいことが多いですが、代理店・映像制作会社・フリーディレクター経由なら実績ゼロでも入口があります。彼らが探しているのは編集ができる人ではなく、任せても確認の手間がかからない人だからです。実績の代わりになるのが該当領域のサンプル動画。「この領域向けにこういうものを作りました。1本だけ実際の素材で作らせてもらえませんか」と提案してください。なお「未経験ですが」「格安で対応します」は避けたほうがよいとされます。安さで入ると安い人として固定され、値上げできなくなるためです。

Q2. 法人相手は個人相手より難しいですか?

難易度の種類が違う、というのが正確です。編集の要求水準そのものが極端に高いわけではありません——広告動画のように「仕様どおり返せばいい」領域もあります。難しいのは進行管理の側で、決裁者が別にいる、複数人のチェックが入る、返信が営業日単位、支払サイトがある。慣れれば手順の問題で、最初の1社を丁寧にやり切れば2社目以降は楽になります。むしろ継続性と支払いの確実性は法人のほうが高い側面もあります。

Q3. 請求書はどう出せばいいですか?

流れは本文の「請求書と支払サイト」のとおり。書面の基本項目は、宛先の会社名(正式表記)、氏名または屋号・住所・連絡先、請求日、支払期日、品目・数量・単価、小計/消費税/合計、振込先口座です。品目は「動画編集一式」とせず、何本のどの作業かを分けて書いてください。ただし、消費税の取り扱い(インボイス制度の登録の要否)、源泉徴収の対象になるか、開業届や確定申告の扱いは個々の状況で結論が変わります。税理士または所轄の税務署にご確認ください。この記事は税務上の助言を行うものではありません。

Q4. 撮影ができなくても企業案件は取れますか?

取れます。データが出ている領域の多くは素材を相手が持っている前提で成立します。セミナー・ウェビナーはZoom録画や会場収録、採用動画は企業が撮ったインタビュー素材、広告動画は代理店支給の素材が典型です。撮影に行かずに成立する仕事のほうが、むしろ案件が尽きにくい利点もあります。撮影は必須条件ではありません。

Q5. 企業案件だけに絞ったほうがいいですか?

いきなり絞るのは勧めません。企業系4ジャンルの経験者は単価記入263件中83件と少数派で、検討期間もリードタイムも長い。収入の土台をYouTube案件などで確保しながら、並行して企業系を1領域育てるのが現実的です。表3のとおり企業系を含む群でも1万円未満が22件(約27%)あり、自動的に高単価になるわけではありません。一方で含まない群からは10万円以上が3件のみ——「平均が上がる」ではなく「上限が変わる」という読み方が実態に近いと考えます。

まとめ

  • 企業系の4領域はいずれも485件中3〜16%の少数派。だからこそ競合が薄い
  • 単価記入263件のうち、企業系を含む群は3万円以上が約40%(33/83件)、含まない群は約17%(30/179件)。中央値20,000円対10,000円
  • ただし因果は逆かもしれない。「高単価が実在する場所」として読む
  • 企業案件は品質基準が別物。決裁者が別にいる/納期が動かせない/複数人チェック/支払サイト。手戻り対策は段階承認
  • 入口は企業直ではなく既存クライアント→フリーディレクター→運用代行→制作会社の順。企業系経験者の経路は紹介(約42%)とコミュニティ(約31%)が上位
  • 最優先の準備は該当領域のサンプル動画1本。提案書10枚より強い

単価は編集の腕だけで決まるものではなく、誰に向けて何を売っているかでも変わります。この記事の5領域からひとつだけ選んで、サンプルを1本作るところから始めてください。

執筆:山田一真(株式会社ブイスト)

免責事項
本記事の数値は、ブイプロ受講生の自己申告による成果報告の集計であり(案件の種類n=485、単価n=263、獲得経路n=219/うち企業系ジャンル経験者n=55)、収入や成果を保証するものではありません。単価データは1,000円以上300万円以下の記入を対象とし、人物の重複除去は行っていません。複数選択項目は延べ件数で、割合は四捨五入。成果には個人差があり、報告していない方は母数に含まれません。請求・税務・契約の個別判断は税理士・税務署・弁護士など専門家にご確認ください。記載内容にもとづく判断はご自身の責任において行ってください。

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