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動画編集の案件の種類一覧|485件のデータで見る仕事の中身

公開日: 2026年9月1日 最終更新: 2026年9月12日 執筆: 山田一真(カズマル)|株式会社ブイスト代表
案件485件で見る、 仕事の中身

はじめまして。この記事を書いた人です

山田一真(カズマル)動画編集スクール「ブイプロ」代表/株式会社ブイスト

  • 2019年12月、報酬500円の動画編集案件から個人で仕事を始める
  • 個人受注から法人・代理店の案件へ広げ、2022年に株式会社ブイストを設立
  • 2025年8月、同社の株式を株式会社エフ・コード(東証グロース・9211)へ譲渡。現在も福岡を拠点に運営を継続
  • 受講生から寄せられた成果報告 延べ555件・実人数380名を自社で集計し、内容を公開している

この記事を書ける理由:案件の種類に回答があった485件を自分で集計し、種類×単価×獲得経路までクロス集計しました。発注する側としてYouTube長尺から広告動画まで出してきたので、表の数字が現場のどの感覚と一致するかも書いています。

動画編集の案件は、大きく10種類に分けられます。ブイプロ受講生485件の回答を集計すると、最も多いのはYouTube長尺動画(287件・59%)で、以下ショート、リール、TikTok、サムネイル、広告、ディレクション、企業PR、セミナー、LP用動画と続きます。そして種類ごとに、必要なスキルも単価の傾向も、はっきり違いました。

「動画編集の仕事」とひとことで言っても、YouTuberの雑談動画をカットする仕事と、企業の会社紹介ムービーを作る仕事と、運用型広告のクリエイティブを量産する仕事は、必要な力も納品の流れも金額もまるで別物なんですよね。ここを曖昧にしたまま動くと、自分に向いていない種類の案件に応募し続けて消耗することになります。

ここでは、動画編集スクール「ブイプロ」の受講生から集まった成果報告アンケート485件(案件の種類に回答があった件数)をもとに、案件の種類ごとの中身を実データで分解します。実際に案件を受注した人が「自分はこの種類をやった」と申告した記録の集計で、集計したのは僕です。

この記事でわかること

  • 動画編集の案件を分類した10種類と、それぞれが全体の何%を占めるか(485件の実データ)
  • 案件の種類ごとの単価の傾向(中央値・3万円以上の割合)
  • 種類ごとに必要なスキルと、1本あたりの工数の重さ
  • 初心者から入りやすい種類と、実務経験が前提になる種類の線引き
  • 実際に多い「掛け持ちの組み合わせ」トップ10と、種類数と単価の関係
  • 案件の種類ごとに、どの獲得経路から仕事が来ているか
  • 結論として、どの種類から始め、どう広げるかの指針

結論:動画編集の案件は10種類に分けられる

まず全体像です。ブイプロの成果報告アンケートでは「案件の種類(複数選択可)」を聞いており、485件から回答が集まりました。複数選択なので合計は485を超えます(延べ件数)。

表1:案件の種類の分布(回答485件・複数選択・延べ)

順位 案件の種類 件数 485件中の割合
1 YouTube長尺動画 287件 59%
2 YouTubeショート 181件 37%
3 Instagramリール 129件 27%
4 TikTok 103件 21%
5 サムネイル制作 79件 16%
6 広告動画 77件 16%
7 ディレクション・運用代行 65件 13%
8 企業PR動画 48件 10%
9 セミナー・ウェビナー動画 45件 9%
10 LP用動画 15件 3%
その他(上記に当てはまらないもの) 155件 32%

まず読み取れるのは、YouTube長尺動画が突出して多いことです。約6割が「YouTube長尺をやった」と答えています。縦型動画(ショート・リール・TikTok)を合わせると延べ413件。動画編集の仕事は、いまだにYouTubeを中心に回っていて、その周りに縦型SNSが広がっている構造です。

もう一つ見逃せないのが「その他」の155件(32%)です。結婚式のムービー、講座教材、ゲーム実況、音楽MV、店舗紹介など、上の10種類に収まらない案件が3件に1件の割合で発生しています。「動画編集の案件は10種類しかない」のではなく、「10種類に主要な仕事が集中している」という読み方が正確です。

案件の種類ごとの単価の傾向

次に単価です。まず全体の分布から確認します。単価の記入があったのは263件でした。

表2:単価帯の全体分布(記入263件)

単価帯 件数 割合
1万円未満 103件 39%
1万〜3万円 97件 37%
3万〜5万円 28件 11%
5万〜10万円 19件 7%
10万〜30万円 11件 4%
30万円以上 5件 2%

全体では1万円未満と1万〜3万円で76%を占めます。ここまでは、単価データを扱った動画編集の単価データ記事でも触れている通りです。問題は、この分布が案件の種類によってどう変わるかです。

表3:案件の種類別・単価の傾向

案件の種類 集計対象n 単価の中央値 3万円以上の割合 1万円未満の割合
LP用動画 9件 12.0万円 100% 0%
セミナー・ウェビナー動画 27件 4.0万円 63% 15%
企業PR動画 23件 3.5万円 57% 9%
ディレクション・運用代行 34件 3.0万円 56% 18%
広告動画 44件 3.0万円 52% 20%
サムネイル制作 42件 2.2万円 40% 12%
YouTube長尺動画 173件 2.0万円 35% 26%
YouTubeショート 110件 1.5万円 28% 39%
Instagramリール 76件 1.5万円 30% 41%
TikTok 62件 1.35万円 31% 40%

※この表の読み方には注意してください。アンケートの「案件の種類」は複数選択、「単価」は報告された案件1件分の金額です。したがってこの数字は「その種類の相場」ではなく、「その種類を手がけている人が報告した単価」を表します。母数nは、単価と種類の両方に回答があった件数です。LP用動画のn=9のように母数が小さい行は、参考値として扱ってください。

それでも、傾向ははっきり出ています。企業がお金を出す種類(LP用・セミナー・企業PR・広告)に関わっている人ほど、報告された単価の中央値が高い。逆に縦型SNS(ショート・リール・TikTok)に関わっている人は、1万円未満の割合が4割前後と高くなります。

これは発注元の予算規模がそのまま出ているだけです。縦型動画そのものが安い仕事だという意味ではなく、縦型は「個人の発注者・大量納品・短納期」という文脈で発注されることが多いため、1本あたりの金額が小さくなりやすいということです。企業の広告として作られる縦型動画は、上の広告動画やLP用動画の側に分類されています。縦型に絞った話はショート動画編集のガイド記事にまとめています。

案件の種類ごとの必要スキルと工数

単価の差の正体は、多くの場合スキルと工数の差です。次の表は、各種類で実際に求められることが多い要素を整理したものです。

表4:案件の種類別・必要スキルと工数の目安

案件の種類 中心となるスキル +αで求められがちなもの 1本あたりの工数
YouTube長尺動画 カット、テロップ、SE/BGM、構成理解 チャンネルのトンマナ完全再現、視聴維持率の意識 重い(素材が長い)
YouTubeショート 切り抜き選定、縦型リサイズ、テンポ設計 冒頭1秒の設計、長尺からの二次利用 軽い
Instagramリール 縦型構成、トレンド音源、文字組みデザイン フィード全体の世界観に合わせる感覚 軽い
TikTok テンポ、間の削り、字幕、トレンド追従 企画の当て感、量産スピード 軽い
サムネイル制作 Photoshop、切り抜き、文字組み、配色 クリック率視点、A/B案の提示 軽い〜中
広告動画 訴求設計、After Effects、モーション 数値による検証、複数パターンの量産 中〜重い
ディレクション・運用代行 進行管理、品質チェック、外注管理 クライアント折衝、分析・提案 重い(月単位)
企業PR動画 構成台本、撮影素材の扱い、カラー、音の整音 撮影同行、社内確認フローへの対応 重い
セミナー・ウェビナー動画 長尺の整音、スライド合成、テロップ精度 大量納品を回す体制、チャプター設計 中(本数が多い)
LP用動画 訴求設計、AE、デザイン、コピーの理解 成果への責任、マーケ担当との議論 重い

※この表のスキル・工数の欄はアンケートの設問ではなく、ブイプロの指導現場で実際に求められている内容を整理したものです。

ここで注意したいのは、「工数が軽い=おいしい」ではないという点です。僕はショート特化への横滑りを「作業時間が短くなるだけで技術成長ゼロ。時給の低い仕事を速くやるだけ」と言っています。表3でショート・リール・TikTokの1万円未満比率が4割前後になっているのは、この構造と一致します。

10種類の中身を1つずつ見る

1. YouTube長尺動画(287件・59%)

どんな仕事か:10〜30分程度のYouTube動画を、撮影素材から1本に仕上げます。カット、テロップ、効果音、BGM、画像や図解の挿入まで。ビジネス系、対談、Vlog、教育系などジャンルは多岐にわたります。動画編集の案件で最も母数が大きく、案件も編集者も最も多い領域です。

必要なスキル:Premiere Proの基本操作に加えて、既存チャンネルのテロップデザイン・色・タイミングを1フレーム単位で再現する力。ブイプロではこれを「完コピ」と呼び、ディレクターのチェックを一発で通過できる水準を「現場レベル」と定義しています。

単価の傾向:報告された単価の中央値は2.0万円(n=173)。3万円以上が35%ある一方、1万円未満も26%あり、同じ種類の中で最も単価の幅が広いのが特徴です。

向いている人:まず1件目を取りたい人。案件数が最も多く、求人の入口として機能します。ただし競争相手も最多です。ちなみに僕の初案件も、2019年12月に受けた1本500円の編集でした。ここから始めていない人のほうが少ないと思います。

2. YouTubeショート(181件・37%)

どんな仕事か:60秒以内の縦型動画。長尺からの切り抜き型と、ショート専用に撮った素材を編集する型があります。1件で10本・20本とまとめて発注されることが多く、継続案件になりやすい種類です。

必要なスキル:「どこを切り抜くか」の選定眼と、冒頭1秒で離脱させない構成。編集技術そのものより、素材のどこが面白いかを見抜く力が効きます。

単価の傾向:中央値1.5万円(n=110)、1万円未満が39%。本数で積み上げる構造です。

向いている人:作業スピードに自信がある人、長尺編集と組み合わせて受注量を増やしたい人。実際、ショートを選んだ人の78%はYouTube長尺も選んでいます。

3. Instagramリール(129件・27%)

どんな仕事か:Instagram向けの縦型動画。美容、飲食、アパレル、士業など、実店舗・BtoC事業者からの発注が多い領域です。アカウント全体の世界観に合わせる必要があるため、単発ではなく月○本の運用契約になりやすいのが特徴です。

必要なスキル:縦型の文字組みデザイン、トレンド音源への理解、そしてフィードに並んだときの統一感。デザイン寄りの感覚が求められます。

単価の傾向:中央値1.5万円(n=76)、1万円未満が41%。ただし3万円以上も30%あり、運用単位でまとめて受注できるかで景色が変わります。

向いている人:デザインが好きな人、事業者と直接やり取りしたい人。

4. TikTok(103件・21%)

どんな仕事か:TikTok向けの短尺動画。テンポ、間の削り方、字幕の出し方に独自の作法があり、トレンドの入れ替わりが最も速い領域です。

必要なスキル:プラットフォーム特有のテンポ感。他の種類の編集がうまくても、TikTokの間の詰め方は別途キャッチアップが必要です。

単価の傾向:中央値1.35万円(n=62)で、10種類の中では最も低い水準。1万円未満が40%です。

向いている人:普段からTikTokを見ていて、伸びる型が体感でわかる人。TikTokを選んだ人の75%はYouTubeショートも選んでおり、縦型はセットで受けるのが実態です。

5. サムネイル制作(79件・16%)

どんな仕事か:YouTubeのサムネイル画像を作る仕事。動画編集ではなく静止画デザインですが、動画編集者に一緒に発注されることが非常に多く、実質的にセット業務になっています。

必要なスキル:Photoshopでの人物切り抜き、文字組み、配色。加えて「クリックされるかどうか」の視点。いまはシンプルで視聴抵抗が低いサムネのほうが伸びていて、ここ数年でトレンドが変わりました。

単価の傾向:中央値2.2万円(n=42)。ただしこれはサムネイル1枚の値段ではありません。サムネイル制作を選んだ人の96%はYouTube長尺も選んでおり、動画とサムネをまとめて請けた案件の単価が反映されています。

向いている人:既存クライアントの発注額を増やしたい人。動画だけを納品している人が、サムネも巻き取ることで1案件あたりの金額を上げる。ブイプロでは「巻き取り提案」と呼んでいる型です。

6. 広告動画(77件・16%)

どんな仕事か:Web広告として配信されるクリエイティブ。YouTube広告、Meta広告、TikTok広告など。「面白い動画」ではなく「売れる動画」を作る仕事で、数字で評価されます。

必要なスキル:訴求の設計(誰に何を言うか)、After Effectsによるモーション、複数パターンの量産。効果検証に付き合える姿勢も求められます。

単価の傾向:中央値3.0万円(n=44)、3万円以上が52%と過半数。企業予算の案件に入っていく最初の階段になりやすい種類です。

向いている人:マーケティングに興味がある人、成果で語られることを嫌がらない人。

7. ディレクション・運用代行(65件・13%)

どんな仕事か:自分が編集するのではなく、案件を受けて編集者に振り、品質を担保して納品する仕事。さらに進むと、チャンネル運用そのものを代行します。

必要なスキル:進行管理、品質チェック、外注採用、クライアント折衝。編集スキルは前提であって主役ではありません。ブイプロでは、品質管理をせず案件を右から左に流すだけの状態を明確に否定しています。僕自身、指示書がまったく読めない編集者に出くわして「はぁ?」と腹を立てたことがありますが、指示書のどこが悪いのかを考えて書き直したら修正がほぼ無くなりました。読めない編集者も悪いけど、結局僕が悪かったんです。

単価の傾向:中央値3.0万円(n=34)、3万円以上が56%。月単位の契約になることも多い領域です。

向いている人:編集の手を動かす時間に限界を感じ始めた人。すでに継続クライアントを持っている人。

8. 企業PR動画(48件・10%)

どんな仕事か:会社紹介、採用ムービー、商品紹介、社長メッセージなど、企業が対外的に使う映像。撮影素材から作ることが多く、社内の確認フローを何往復もします。

必要なスキル:構成台本、撮影素材の扱い、カラーグレーディング、整音。加えて、修正指示が複数人から飛んでくる状況をさばくビジネスコミュニケーション。

単価の傾向:中央値3.5万円(n=23)、3万円以上が57%、1万円未満は9%。低単価帯がほとんど出てこないのが特徴です。

向いている人:法人とのやり取りが苦にならない人。獲得経路の集計でも、企業PR動画は紹介や企業へのメール営業からの獲得が目立ちます。

9. セミナー・ウェビナー動画(45件・9%)

どんな仕事か:セミナー収録、オンライン講座、社内研修動画の編集。1本が長く、スライド合成やテロップの正確性が問われます。そして「50本まとめて」のような大量発注が発生しやすいのが最大の特徴です。

必要なスキル:長尺の整音、聞き取りづらい音声のリカバリ、テロップの精度。本数が多いため、自分ひとりで抱えず体制を組む発想も必要になります。

単価の傾向:中央値4.0万円(n=27)、3万円以上が63%。10種類の中でLP用動画に次いで高い水準でした。

向いている人:派手な演出より正確さで勝負したい人。地味な作業を大量に回せる人。

10. LP用動画(15件・3%)

どんな仕事か:ランディングページに埋め込む動画、商品説明動画、ローンチ動画。ページのコンバージョンに直結するため、動画単体ではなく施策の一部として設計されます。件数は最も少なく、狭き門です。

必要なスキル:訴求設計、After Effects、デザイン、コピーへの理解。マーケティング担当と議論できる語彙が要ります。

単価の傾向:中央値12.0万円(n=9)で、集計対象9件すべてが3万円以上でした。ただし母数が9件しかないため、これは「LP用動画をやると高くなる」ではなく「高単価で動いている層がLP用動画に到達している」と読むのが妥当です。実際、LP用動画を選んだ人の80%は広告動画も選んでいます。

向いている人:すでに広告動画で成果を出していて、次の段に進みたい人。

初心者向き・上級者向きの分類

ここまでを踏まえて、参入のしやすさで整理します。

表5:参入難易度による分類

段階 案件の種類 参入しやすい理由/難しい理由 必要な前提
入口 YouTube長尺動画 案件数が最多。募集が常に出ている Premiere Proの基本+完コピできる再現力
入口 YouTubeショート/TikTok 1本が短く、実績の本数を作りやすい テンポ感、切り抜きの選定眼
入口 Instagramリール 事業者からの発注が多く、運用で継続しやすい 縦型のデザイン感覚
2段目 サムネイル制作 単体より「動画とセット」で入る形が自然 Photoshop、既存クライアント
2段目 セミナー・ウェビナー動画 演出より正確さ。ただし大量納品への耐性が要る 整音、進行管理の初歩
3段目 広告動画 企業予算だが、成果で評価される After Effects、訴求の設計
3段目 企業PR動画 法人の確認フローと撮影素材が前提 撮影・整音・カラー、法人対応力
4段目 ディレクション・運用代行 自分が作らない。品質担保の責任を負う 編集の現場レベル+外注管理
4段目 LP用動画 件数が最も少なく、成果責任が重い 広告動画での実績、マーケ理解

ただし、この段が期間で自動的に上がるわけではありません。受講開始から1〜3ヶ月目に成果を報告した157件と7ヶ月目以降の100件を比べると、ディレクション・運用代行は1〜3ヶ月目群で19%、7ヶ月目以降群で10%と、むしろ初期の群に受注報告が集まっていました。上の段に早く届く人は早く届く。これが実態です。

掛け持ちの実態:どの種類が一緒に受注されているか

485件のうち、10種類のいずれかを1つだけ選んだのは115件(24%)。2種類が93件(19%)、3種類が76件(16%)、4種類が31件(6%)、5種類以上が62件(13%)でした(残り108件は「その他」のみを選択)。複数の種類を掛け持ちしているほうが多数派です。

表6:一緒に選ばれた組み合わせ トップ10(485件中の同時選択数)

組み合わせ 同時選択 読み取れること
YouTube長尺 × YouTubeショート 141件 最も標準的な組み合わせ。長尺の切り抜きがショートになる
YouTube長尺 × Instagramリール 98件 1本の素材を複数プラットフォームに横展開
YouTubeショート × Instagramリール 78件 縦型のスキルはそのまま転用できる
YouTubeショート × TikTok 77件 同上。縦型3種はほぼセット
YouTube長尺 × サムネイル制作 76件 動画+サムネの巻き取り型
YouTube長尺 × TikTok 73件 横展開パターン
Instagramリール × TikTok 70件 縦型の同時運用
YouTube長尺 × 広告動画 58件 編集案件から企業案件へ広がる導線
YouTube長尺 × ディレクション 56件 自分で編集しつつ人にも振る過渡期
YouTubeショート × サムネイル制作 53件 制作物の周辺業務を取り込む型

象徴的なのは次の2つです。サムネイル制作を選んだ79件のうち96%(76件)、ディレクション・運用代行を選んだ65件のうち86%(56件)が、YouTube長尺も選んでいました。サムネイルもディレクションも「独立した入口」ではなく、YouTube長尺という土台の上に積まれる業務だということです。

では、種類を増やすほど単価は上がるのか。ここも集計しました。

表7:手がけた種類の数と、報告された単価の関係

手がけた種類の数 集計対象n 単価の中央値 3万円以上の割合
1種類のみ 76件 1.0万円 26%
2種類 53件 1.5万円 34%
3種類 47件 1.5万円 30%
4種類 16件 1.5万円 25%
5種類以上 35件 2.2万円 49%

ここは慎重に読む必要があります。1種類のみの群(中央値1.0万円)と5種類以上の群(2.2万円)には差がありますが、2〜4種類の間はほぼ横ばいです。「種類を2つ3つ増やせば単価が上がる」という関係は、このデータからは見えません。むしろ自然な解釈は「単価が上がった結果として、対応できる種類が増えている」のほうです。順番は「種類を増やす→単価が上がる」ではなく「1つを深める→信頼される→周辺を任される→種類が増える」。

案件の種類と獲得経路の関係

種類ごとに、仕事が来る場所も違います。獲得経路の全体分布は、主要8経路で延べ270件でした。

表8:獲得経路の全体分布(主要8経路・延べ270件)

経路 件数 割合
クラウドワークス 76件 28%
知人・友人からの紹介 56件 21%
その他のコミュニティ(交流会・ディレクター繋がり等) 49件 18%
X(Twitter)の募集投稿・DM営業 26件 10%
ブイプロ内コミュニティ・案件募集部屋 24件 9%
ランサーズ 18件 7%
企業へのメール営業 12件 4%
Indeed・Wantedlyなど求人媒体 9件 3%

これを種類別に見ると、きれいに分かれます。YouTube長尺・ショート・リール・TikTokは、いずれもクラウドワークスが最多経路でした(長尺は該当134件中53件、ショートは83件中40件)。一方、企業PR動画は紹介(17件中10件)、ディレクション・運用代行は紹介(26件中14件)と企業へのメール営業(8件)、セミナー・ウェビナー動画はコミュニティ経由(21件中11件)が最多で、クラウドソーシングはほとんど登場しません。

ここに、この記事で最も実用的な示唆があります。クラウドソーシングを見て「動画編集の案件はYouTube編集ばかりで単価が低い」と感じるのは、当然なんです。単価の高い種類は、そもそもその場所に募集が出ていません。案件の種類を変えたいなら、探す場所から変える必要があります。獲得経路の詳細は動画編集者アンケート調査で扱っています。

結論:どの種類から始めるべきか

ここまでのデータを、行動に落とします。

ステップ1:YouTube長尺動画で「現場レベル」を作る。485件中287件(59%)と案件数が最も多く、募集が常に存在します。ただし競争相手も最多なので、勝負は「募集を見つける速さ」ではなく「既存チャンネルのトンマナをずらさず再現できるか」です。ここが崩れていると、どの種類に移っても同じ結果になります。

ステップ2:縦型(ショート・リール・TikTok)を横に足す。長尺を受けている人の49%はショートも受けています。縦型はスキルの転用が効き、同じクライアントの中で本数を増やせます。ただし1万円未満の比率が高いので、縦型を主軸にせず長尺の付随として持つのが実データに沿った形です。

ステップ3:サムネイル制作かセミナー動画で「周辺」を巻き取る。サムネイル制作者の96%が長尺も手がけている事実は、サムネイルが単独の入口ではなく巻き取り業務であることを示します。既存クライアントに「サムネもやります」と提案するのが、最も摩擦の少ない単価の上げ方です。

ステップ4:広告動画・企業PR動画へ移る。ただし探す場所を変える。この2種類は3万円以上の比率が5割を超える一方、クラウドソーシングにはほぼ流れていません。スキルを磨くより先に「探す場所」を変えないと、この段には届きません

ステップ5:ディレクション・LP用動画。ここは自分が作る仕事ではなくなります。品質担保の責任を負える段階に来てから検討する領域です。

そして、この5ステップ全体を貫く注意点が一つ。表7が示した通り、種類を増やすこと自体は単価と結びついていません。2種類でも4種類でも中央値は1.5万円で横ばいでした。増やすべきは種類の数ではなく、1社あたりで任される範囲です。

案件の種類ごとの実務と、企業案件へ移るための営業手順については、ブイプロの無料講座で体系的に扱っています。ブイプロの無料講座はこちらから確認できます。

よくある質問

Q1. 未経験ですが、どの種類から始めるべきですか?

データ上はYouTube長尺動画です。485件中287件(59%)と案件数が最も多く、募集が継続的に出ているためです。ただし「案件が多い=取りやすい」ではなく、同じ場所に編集者も最も集まっています。応募数を増やすより、応募先チャンネルのテロップデザインや色をそのまま再現したサンプルを提出するほうが結果につながりやすい、というのがブイプロの指導方針です。1本が短いショートやTikTokで実績の本数を稼ぐ入り方も有効ですが、表3の通り1万円未満の比率が高い点は理解しておいてください。

Q2. 複数の種類を掛け持ちすべきですか?

掛け持ちしている人のほうが多数派です(10種類のいずれかを2つ以上選んだのは289件、1つのみは115件)。ただし表7の通り、2種類・3種類・4種類の間で単価の中央値は1.5万円で横ばいでした。種類を増やすこと自体が単価を押し上げるという関係は、このデータからは確認できません。実務的に意味があるのは、無関係な種類を並べることではなく、同じクライアントの中で扱える範囲を広げること(長尺+ショート+サムネイルなど)です。表6の上位が全て「同じ素材・同じクライアントから派生する組み合わせ」であることが、その裏づけです。

Q3. 特化型と何でも屋、どちらが有利ですか?

データからは「どちらが有利」とは言えません。1種類のみの群は中央値1.0万円、5種類以上の群は2.2万円ですが、これは因果ではなく相関で、5種類以上の群にはすでに複数クライアントを持つ人が含まれています。実務的な順番としては、まず1種類で発注者のチェックを一発で通せる水準に到達し、その信頼を土台に周辺業務を巻き取っていく形が、表6の組み合わせ実態とも整合します。

Q4. ショート動画専門でやっていくのはどうですか?

YouTubeショートは181件(37%)と案件自体は多く、成立する選択肢です。ただし報告単価は中央値1.5万円、1万円未満が39%と低単価帯の比率が高く、ショートを選んだ人の78%は長尺も選んでいるためショート単体で完結している人は少数です。僕は、長尺で伸び悩んだ人がショートに移ることを「作業時間が短くなるだけで技術成長ゼロ」と言っています。専門にするなら、大量納品を回せる体制を作るか、企業の広告としての縦型に寄せるかの設計が必要です。

Q5. 企業案件(企業PR・セミナー・広告)はどうすれば受けられますか?

スキルよりも先に、探す場所の問題です。獲得経路の集計では、企業PR動画は紹介(該当17件中10件)、セミナー・ウェビナー動画はコミュニティ経由(21件中11件)、ディレクション・運用代行は紹介14件と企業へのメール営業8件が中心で、クラウドソーシング経由はほとんどありませんでした。クラウドワークスをいくら見ても、これらの案件はそこに出ていません。紹介が生まれる関係を作る、制作会社や編集者が集まるコミュニティに入る、企業に直接営業する。このいずれかが必要です。なお、ブイプロでは「スキルが企業案件に耐えないうちは売るな」という前提を明確に置いています。

まとめ

動画編集の案件は10種類に大きく分けられ、485件のデータではYouTube長尺が59%と突出し、縦型3種がそれを取り囲む構造でした。単価は企業予算の案件(LP用・セミナー・企業PR・広告)に関わる人ほど高く、縦型SNS中心の人ほど1万円未満の比率が高くなります。

「どの種類をやるか」を考えるとき、多くの人は種類の名前だけを比べます。でもデータが示しているのは、種類の差以上に、その種類がどこで流通しているかの差が大きいということです。1つの種類を深め、周辺を巻き取り、探す場所を変える。この順番が、485件の集計から読み取れる現実的な道筋でした。

本記事の集計は、株式会社ブイストが運営するブイプロの受講生成果報告アンケートに基づきます。監修:山田一真(株式会社ブイスト代表取締役)。

※本記事で紹介したデータは受講生の自己申告アンケートに基づくものであり、成果を保証するものではありません。

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