動画編集の法人営業7ステップ|企業に直接営業する標準手順
動画編集の法人営業は、①アセットの書き出し→②サービス化→③説明資料→④アプローチリスト収集→⑤アプローチ→⑥商談→⑦案件獲得の7ステップで進めます。思いつきで営業メールを送っても、まず当たりません。この順番で準備してから当たる。それが企業案件獲得の標準手順です。
ここに書くのは、受講生2,400名を超える動画編集スクール「ブイプロ」を運営する株式会社ブイスト代表・山田一真(カズマル)として、僕が実際に教えている営業体系を7ステップに分けたものです。会社員時代はテレアポ1日100件と大量のメール営業という現場を通ってきて、独立後は法人向けの映像制作会社を経営してきました。その方法論を、実行手順・トーク例・つまずきポイントまで掘り下げます。
この記事でわかること
- 法人営業7ステップの全体像と、各ステップで具体的に何をやるか
- 営業先3種類(個人・エンド企業・代理店)の違いと狙う順番
- 営業メールの文面構成・返信率の目安・再送のタイミング
- 商談の事前準備と、そのまま使えるトーク例
- やりがちな失敗と、よくある質問への回答
なぜ今、法人営業なのか——実データで見る現在地
ブイプロ受講生の成果報告では、案件獲得経路の回答(延べ270件)のうち企業へのメール営業経由は12件。クラウドワークス(76件)や紹介(56件)に比べると、法人直営業はまだ圧倒的な少数派です。裏を返せば、ほとんどの編集者がクラウドソーシングやSNSという同じ場所で競争していて、企業へ直接アプローチする人は少ない。あなたは今、どこで戦っていますか。競合が薄い分、正しい手順で準備した人から順に成果が出やすい領域です。獲得経路ごとの全データと経路別の攻略法は動画編集の案件の取り方の記事にまとめています。
営業先は大きく3種類に分かれます。それぞれ性質が違うので、最初に整理しておきます。
| 営業先 | 獲得しやすさ | 単価の傾向 | 継続性 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 個人(YouTuber等) | 取りやすい | 低め | 案件単位 | 入口としては最短だが競合が多い |
| エンド企業 | 実績ゼロだと難しい | 高め | 1社1案件から | 直接取引なので提案の自由度が高い |
| 代理店・制作会社 | 実績が浅くても入りやすい | 中〜高 | 1社n案件 | 発注のプロで話が早く、継続案件が流れてくる |
代理店・制作会社は「受注したのに制作の人手がいない」が常に起きている業界で、動画が必要なことを前提に外注先を探しています。狙う順番は個人のフリーディレクター→SNS運用代行・マーケ会社→中堅の映像制作会社。いきなり大手を狙わないのが現実的です。
もうひとつ大事な前提があります。スキルが企業案件に耐える水準に達していないうちは売らないこと。営業は相手の悩みを解決するためにやるものなので、解決できる実力があって初めて「売り込み」ではなく「ありがたい提案」になります。
法人営業7ステップの早見表
| ステップ | やること | ゴール |
|---|---|---|
| ①アセットの書き出し | できること・経歴を紙に書き出す | 勝負する領域を1本に絞る |
| ②サービス化 | 何を・誰に・どんな課題解決かを定義 | 一行で言える商品を作る |
| ③説明資料 | 8ブロックの型で営業資料を作成 | 送れる状態の汎用資料 |
| ④リスト収集 | 送り先を集めて優先順位づけ | 100社のスコア付きリスト |
| ⑤アプローチ | メール中心に接触、再送まで設計 | 商談アポの獲得 |
| ⑥商談 | 事前準備4点+オーダーメイド提案 | 相手専用の提案で合意 |
| ⑦案件獲得 | 契約・請求を整え継続につなげる | 継続発注と紹介の獲得 |
ステップ1:アセットの書き出し——初営業は一点突破
最初にやるのは、紙に自分のできることを全部書き殴る作業です。編集ジャンル、使えるソフト、過去に作ったもの、詳しい業界、前職の知識、趣味で詳しい領域。全部が営業の材料(アセット)になります。動画編集のスキルだけがアセットではありません。前職が不動産なら不動産業界の商習慣が、医療系なら業界知識そのものが武器になります。
書き出したら、その中から勝負する領域をニッチに細分化します。初営業は一点突破が原則。あれもこれも並べると、相手が迷うだけなんですよね。
つまずきポイント:「絞ると仕事を逃す気がする」と全部載せたくなること。でも強みは核1本に絞ったほうが刺さります。絞るのは営業上の見せ方であって、実際に他の仕事を断る必要はありません。
ステップ2:サービス化——「動画編集代行」では売れない
「動画編集やってます」と言った瞬間、あなたは無数の編集者と比較される側になります。だから何を・誰に・どんな課題解決として提供するのかを一行で言える形に商品化する。「何でもできます」は、発注側には「特に何もできません」と同じ意味で届きます。
業種で尖らせた実例を挙げます。
- 不動産・賃貸管理:管理会社が撮った物件動画をルームツアーに編集。説明テロップと個人情報のぼかし込みで1本単位で受注
- クリニック・医療美容:YouTubeの編集代行。薬機法の知識が参入障壁になる
- セミナー・研修:長尺収録の編集・切り出しで教育コンテンツ化
サービスはオリジナルである必要はありません。他社サービスの2番煎じでいい。企業がすでにやっているということは、ニーズが実証されている証拠です。需要が伸びるほど大手が対応しきれない顧客が生まれるので、「企業より安いが企業と同品質」でそこを拾うのが個人の役割になります。
提示するメリットは6種類(時短・価格・やり取りのスムーズさ・売上向上・柔軟性・網羅性)から1つで十分です。たとえば時短なら「月8本×8時間=64時間ぶんの社内工数が浮きます」のように、相手の社内コストで数字にして見せると伝わります。
つまずきポイント:誠実さゆえの「何でもやります」。断りたくない気持ちが、かえって発注理由を説明できない状態を作ります。相手が社内で稟議を通せる「一行」を用意するのがサービス化です。
ステップ3:説明資料の作成——8ブロックの型で作る
営業用の説明資料は、次の8ブロックで構成します。
- 自己紹介
- 悩みの言語化(相手のあるあるを代弁する)
- 強み(核を1本に絞る)
- 制作イメージ
- 制作の流れ
- 料金プラン(松竹梅で、選んでほしいものを真ん中に)
- 料金比較
- FAQ・連絡先
フォントは1種類で十分です。注意点として、相手が広告代理店や制作会社の場合は「月◯本プラン」形式を避けて、作業内容×金額で書きます。発注のプロは作業単位で外注コストを考えるからです。
実績が少ない段階では「制作イメージ」が武器になります。相手のチャンネルや動画の現状と、自分が編集した改善版を並べたビフォーアフター画像を用意して、「右側のように変えられます」と提案する。飲食店の看板に美味しそうな写真を載せるのと同じで、任せた後の未来を具体的に見せることが実績の代わりになります。そもそも実績とは「この人に任せて大丈夫そうだ」と感じてもらうための材料であって、大規模チャンネルのテロップ入れを担当した経験も立派に「担当実績」です。実績を神格化しすぎないこと。
つまずきポイント:盛りだくさんの資料を作ってしまうこと。ページ数や情報量ではなく、「誰の・どんな悩みを・どう解決するか」が一読で伝わるかで判断します。
ステップ4:アプローチリストの収集——まず100社
送り先リストの集め方はいくつもあります。
- 検索:「業種+地名」「動画制作会社+地域」「映像制作 外注 募集」で探す
- YouTube:企業チャンネル概要欄の「メールアドレスを表示」、制作クレジット
- 求人媒体:IndeedやWantedlyで「動画編集 業務委託」。募集を出している=人が足りていない証拠なので打率が高い
- X(旧Twitter):「動画編集者 募集」で検索。外注枠が空いた瞬間を拾える
- 企業サイトの奥:プレスリリースや特商法表記のページから連絡先を発掘
- リストサービス:MusubuやBIZMAPSなどの企業データベース
目標はまず100社。50社で止めると統計的な手応えが出ず、改善のしようがありません。集めたリストには業種・従業員数・資本金などで点数をつけて、高い順に送ります(リードスコアリング)。たとえばTikTok縦型動画特化なら、制作会社・広告代理店・TikTok支援ベンチャーが高得点。従業員100人以下に絞るなど、個人が相手にできる規模に限定します。誰もが知る大企業への飛び込みは、最初から狙いません。
つまずきポイント:10社送って返事がなく心が折れるパターン。母数が足りていないだけで、サービスの良し悪しすらまだ判定できない段階です。
ステップ5:アプローチ——メール営業の設計図
アプローチの主兵装はメールです。一度準備すれば低コストで多くのリストに当たれるし、改善サイクルを最速で回せます。文面は5ブロックで構成します。
- 誰か(名乗りとサービスの一行)
- なぜ御社か(ここだけは必ず1社ごとに個別に書く。空欄だと定型文だと即バレます)
- 何ができるか(3つまで)
- 実績・ポートフォリオのURL
- ハードルの低い依頼(「一度10分だけ情報交換のお時間をいただけませんか」など、いきなり発注を求めない)
書いてはいけない言葉は「勉強させてください」「未経験ですが」「格安で対応します」。学ばせてもらう場ではなく課題解決の提案なので、へりくだった瞬間に提案の価値が消えます。
数字の目安も知っておいてください。100通送って開封されるのは30通程度。新規への返信率は0.5〜1%、業種を絞った狙い撃ちなら3〜20%が目安です。この数字を知らないと「自分には向いていない」と誤診します。逆に返信率が0.5%を切り続けるなら、仮説かサービスに原因がある。営業メールの反応は、自分のサービスの質を映す鏡です。
返信がなくても、2〜3週間後に件名を変えて再送します。トーク例は「ご多忙で埋もれているかもしれないと思い、再送いたします」。実際に「1通目は無反応、3〜4週間後の再送で返信が来て取引につながった」という受講生の報告もあります。迷惑がる相手はそもそも客ではなく、動画の作り手がいなくて困っている相手が客です。
送信前チェックリスト:アイコンはビジネスに耐えるもの(アニメアイコンは不可)/アカウント名は本名+サービス名/件名は必ず入れる(件名なしは迷惑メール判定)/相手の社名・前株後株・大文字小文字/誤字脱字/リンクの動作と重さ/署名。細部の粗さは、そのまま熱意のなさとして伝わります。偉そうに書いていますが、僕は会社員時代、誤字が入ったまま6,000社にメールを送って怒られたことがあります。送る前に読み直していれば防げた話でした。
つまずきポイント:配布テンプレの丸パクリ。同じ文面は相手に何通も届いています。型は使いつつ「なぜ御社か」を自分の言葉で書く。ここが返信率を分ける一手間です。
ステップ6:商談——事前準備で9割決まる
アポが取れたら、事前準備を4点やります。
- 相手のホームページ:事業内容と規模感の把握
- プレスリリース:注力領域(=予算が動いている場所)と話題づくり
- 担当者個人のSNS:人柄と関心事
- 課題の仮説:「この会社はここで困っているはず」を言語化
不明点があれば、アポ前に「良いご提案をしたいので、事前に2点だけ確認させてください」と連絡します。この一手間自体が信頼を進めます。説明資料は、アポが取れた企業にだけ相手専用のオーダーメイド版にリメイクする。全社ぶんを事前に作る必要はありません。
商談当日の型はこうです。冒頭でアジェンダと所要時間を宣言して、いきなり資料を開かずに先にヒアリングする。相手の悩みを聞き切ってから、その悩みへの答えとしてサービスを説明します。伝えるべき軸はQCD——品質(Quality)・費用(Cost)・納期(Delivery)。この3点が伝われば、提案としては成立します。
価格の話になったら、自分から安値を言わないこと。「他社さんだと、いくらくらいで出されていますか」と相手の予算感を先に聞きます。見積もりは「動画編集一式」ではなく、カット・テロップ・演出など作業内訳×工数まで書くと納得感が出ます。数字の見通しを聞かれたときに誠実に答えるトーク例も置いておきます。「率直に申し上げると、その通りに進むとは限りません。下回る月も上回る月もあります。ただ、毎月のレポートと振り返りで改善を続けます」。誇張しない姿勢そのものが信頼になります。
つまずきポイント:初回の顔合わせでクロージングまでやろうとすること。提案は2回目・3回目の仕事です。初回は信頼の獲得と情報のヒアリングに徹します。
ステップ7:案件獲得と継続——受注してからが本番
受注したら、契約は電子契約サービス、見積・請求はクラウド請求書サービスで整えます。そして1社目の初回納品は、採算を度外視してでも過剰品質で仕上げます。ここで「修正がほぼ要らない人だ」と認識されると、2本目以降の依頼が続きやすくなる。テスト価格で受ける場合は「今回はテスト価格で、次回から通常価格です」と必ず明示します。
納品後に使えるトーク例が「今回の仕上がりは100点中何点でしたか。足りなかった点を教えてください」。これを聞く編集者はほとんどいないので、それだけで印象に残ります。案件が終わる前には「他にお困りの案件はありませんか」と一声かけるルート営業も忘れずに。関係が深まれば、サムネイルやLPなどのデザイン制作物、他の外注管理、運用レポートまで仕事の範囲を広げる「巻き取り提案」もできます。すでに信頼関係がある相手への追加提案に、新たな実績は要りません。
やりがちな失敗5つ
- ターゲットのねじれ。発注者から問い合わせが欲しいのに、動画編集者向けに発信・営業してしまう。商品が編集代行なら、届ける相手は経営者や担当者です。
- スキルが足りないまま売る。企業案件に耐えない品質で受注するのは信頼の前借りです。まず制作力、それから営業。
- 安さで入る。価格で選ばれると「安い人」として固定され、後から上げにくくなります。訴求の順番は、修正の少なさ→納期厳守→緊急対応→最後に価格。
- 劣化コピーのポートフォリオ。「完コピです」と言って完コピできていないと、技術不足を自ら証明する逆効果になります。見せるなら、完成度で勝負できるものだけ。
- フォローしない。商談後の「検討します」は高確率で忘れられます。忘れられた頃にこちらから再度連絡するところまでが営業です。
よくある質問
Q1. 実績ゼロでも法人営業していいですか?
制作スキルが企業案件に耐える水準なら問題ありません。実績の代わりに、相手の動画のビフォーアフターを並べた「制作イメージ」を作って提案します。逆にスキルが不足している段階では、営業より先に制作力を上げるべきです。
Q2. 営業メールの返信率はどのくらいが普通ですか?
100通送って開封が30通程度、新規への返信率は0.5〜1%が目安です。業種を絞った狙い撃ちなら3〜20%まで上がります。この前提を知らずに10社で判断しないことが大切です。
Q3. 営業メールは迷惑ではありませんか?
相手の悩みを解決できる提案なら、それは相手にとって有益な情報です。迷惑がる相手は客ではなく、作り手がいなくて困っている企業が客。ただし、課題解決になっていない一斉送信はただの迷惑メールなので、「なぜ御社か」を書ける相手にだけ送ります。
Q4. 最初はどんな企業を狙えばいいですか?
個人が相手にできる規模(目安として従業員100人以下)に絞り、業種・従業員数などで優先順位をつけます。代理店ルートなら、個人のフリーディレクター→SNS運用代行・マーケ会社→中堅の映像制作会社の順が入りやすい流れです。
Q5. 営業の準備にはどれくらい時間がかかりますか?
リスト収集・サンプル制作・資料・営業文・商談準備まで含めて約30時間が目安です。数日で終わる作業ではありませんが、一度作った資産は繰り返し使えます。
Q6. 断られ続けて心が折れそうです。
営業は失敗するのが標準で、プロでも10回中9回は決まりません。失敗の原因を仮説にして改善を繰り返すことが営業力そのものです。また、営業は永遠に続けるものではなく、最初の短期集中で1〜2社と取引が始まれば、あとは継続と紹介で仕事が回り始めます。
まとめ——営業は準備が9割
動画編集の法人営業は、①アセットの書き出し②サービス化③説明資料④リスト収集⑤アプローチ⑥商談⑦案件獲得の7ステップ。要素を分解すると、やるべきことは結局2つに収束します。クリエイターとしての質を高めること(編集スキル)と、自分を知ってくれる人を増やすこと(営業)です。
ブイプロでは、この7ステップに沿った営業教材・資料テンプレート・添削を用意しています。自分のサービス化や営業文の作り方から相談したい方は、無料カウンセリングをご利用ください。
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P.S. 7年前の疲弊する前に欲しかった…
