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人の心を動かす動画の作り方|盛らない・撮りすぎない・感情から・テロップは「なぜ」で

公開日: 2026年10月9日 執筆: 山田一真(カズマル)|株式会社ブイスト代表

動画を作っている人、これから作りたい人に向けて書きます。
映像制作と動画編集を教える、株式会社ブイストの山田一真(カズマル)です。

先日、僕の1日に密着してもらう撮影がありました。
その中で「人の心を動かす動画って、どう作るんですか」という話を何度もしたので、話したことをまとめておきます。

先に結論を言うと、AIがどれだけ伸びても、人の心を動かすものは求められ続けます。
そして、それを作るのに必要なのは、特別な才能ではありません。
鍛錬と、思考です。

1. 盛らない。等身大を切り抜く

密着の最後に、こう話しました。

素敵な動画っていうのは、僕の人生を誇張して加工したものではない。
等身大の自分をちゃんと切り抜いて、それをどうやって見る人に伝えるのか。
そこに、ものすごい鍛錬と思考が積み重なって届いている。

人の心が動くのは、作り物だと感じなかったときです。
すごく見せようと盛った瞬間に、見ている人はそれに気づきます。

僕自身、Xでは言葉を間違えたり、ちょっと言い過ぎたりして、実際の僕とは違って見えていることがあると思います。
密着の動画を見て「Xとギャップがある」と思った人が多かったら、それは僕がXが下手ってことです。
それくらい、切り取り方ひとつで人の見え方は変わります。

大事なのは、加工することではなく、切り抜き方と伝え方です。
同じ素材でも、どこを切り取って、どの順番で見せるかで、届き方はまったく変わります。
きれいなところだけを並べるより、その人らしさが残っている方が、見る人は自分ごととして受け取ってくれます。

2. 「撮らない」という選択

撮影の合間に、カメラマンさんと「長時間カメラを回すことが正義じゃない」という話になりました。

頭の中で完成形を想像できているから、「撮らない」という選択ができる。
不安だからとりあえず回し続けると、素材は増えるけれど、編集する人が扱いにくくなる。

今回の密着で感動したのが、まさにそこでした。
無駄なものを撮らないのに、撮りながら画角を縦横無尽に変えていく。
素材は短いのに、必要なものは全部そろっている。
これは本当に素敵だと思いました。

編集も同じです。
何を入れるかより、何を入れないかを決められる人が、伝わる動画を作れます。

3. 機能より先に、感情を置く

動画の冒頭を考えるとき、よくやってしまうのが「これはこんな機能です」から始めることです。

でも人は、機能の説明だけでは動きません。
僕は「この機能は、こういう気持ちのために作りました」という順番の方がいいと思っています。
見る人の感情や悩みにつながって、はじめてその説明が自分ごとになるからです。

順番の力で心が動いた経験もあります。
サカナクションのライブで、最初の3曲にひっくり返ったことがありました。
たくさんの人に知られた後のツアーで、あえて渋い3曲を最初に並べていたんです。
その並びに、作り手の意図がはっきり見えた。
順番ひとつで、人の気持ちはここまで動く。動画も同じです。

そして、相手が違えば正解も変わります。
そのチャンネルが何を大事にしているのか、出てくる人がどんな人なのかを理解した上で、演出やカットの間を考える。
機械的につなぐのではなく、パートナーとして一緒に考えることが、心を動かす動画の前提です。

4. テロップは「なぜ」で作る

テロップも、感覚で付けると伝わりません。

白いフチを付けるのは、背景と文字を分けて読みやすくするため。
緑の画面を使うのは、難しい話をやさしく見せるため。
色も、フチも、動きも、全部に理由があると、止めた1枚でも強いテロップになります。

プリセットを貼っただけのテロップも同じです。
発注する側から見ると、プリセットのままの人は全員同じに見えます。
例えるなら、冷凍ラーメンを解凍して出すラーメン屋。
安いなら頼むけど、高いお金は払わない。
高く払うなら、そのプリセットを作った人に頼みます。

「なんとなく」で付けたテロップは、一時停止した瞬間にバレます。
動画は静止画の集まりなので、止めた1枚に実力が出るんです。
テロップの1枚1枚に「なぜ」を言えるかどうかで、見る人の受け取り方は大きく変わります。

これは仕事を取るときも同じです。
ポートフォリオは、一時停止した1枚で判断されています。
一番差が出るのがテロップ。
色、フチ、動きの全部に理由がある人の1枚は、止めても強いんです。

実は僕も、最初はまったくできていませんでした。
動画編集を始めたばかりの頃、操作方法を覚えただけで単価の高い仕事を取って、お客さんをめちゃくちゃ怒らせたんです。
「こいつは使えない」とネットにさらされて、その投稿がかなり広まったこともあります。2019年のことです。

いちばん辛かったのは、お客さんが満足していないのに、お金はもらえてしまうことでした。
そこから新卒で映像制作の会社に入り、現場で学び直しました。
操作ができることと、人に伝わる動画を作れることは、まったく別物です。
だからブイプロは、実は「動画編集でさらされた男」が運営しているスクールなんです。

5. 「自分が好きなこと」より「見る人が好きなこと」

前にXにも書いたんですが、15個くらいのYouTubeチャンネルを分析してアドバイスしたとき、いきなり自分の好きなことをやっても、なかなか刺さらないと感じました。
「好きなことで生きていく」は、「視聴者が好きなこと」を意識することなんですよね。

自分が作りたいものより、見る人が見たいもの。
そこから始めると、企画も、撮り方も、テロップも、全部の判断がぶれなくなります。

道具はこれからも変わります。
Claudeで関わるのか、Premiereで関わるのか、カメラを持って関わるのか。関わり方は何でもいい。
人の心を動かすコンテンツを生み出すこと自体は、これからも素敵な仕事で、めちゃくちゃ夢のある仕事だと思っています。

盛らずに、撮りすぎずに、感情から考えて、テロップに理由を持つ。
そして、自分が好きなことより、見る人が好きなことから始める。
どれも、才能より鍛錬と思考で身につくことです。
使う道具がAIに変わっても、この5つは変わりません。

一緒に、いいものを作っていきましょう。

カズマル

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