動画編集の提案で「制作イメージ」を先に作る理由|発注者役の僕が「そのままアップしたい」と思った商談の中身
動画編集の提案って、何を持っていけばいいんだろう。
実績も少ないし、資料も何を入れたらいいか分からない。
この記事は、そんな動画編集者に向けて書いています。
先に結論を言うと、相手のチャンネルに合わせた「制作イメージ」を、提案の前に作っていくこと。
これがいちばん効きます。
上の動画は、僕がクライアント役になって、ブイプロの受講生の方に商談をしてもらった様子です。
設定は、受講生の方が営業メールを送ってアポを取り、最初の商談をする場面。
僕は、自分のYouTubeチャンネルの編集を外注している会社の代表として話を聞いています。
受講生の方は、営業を学んだことのない状態から始めた方です。
噛んだり、言い間違えたりするところもあります。
でも正直、途中で「これ、そのままアップしたいな」と思いました。
発注者側に座っていた僕が、なぜそう思ったのか。
商談の流れに沿って整理してみます。
最初の数分は「今どうしているか」の確認から
商談が始まって、受講生の方がまず聞いたのは提案ではありませんでした。
「これまで動画制作を外注した経験はありますか」
「今の動画も、全部外注で進んでいるという認識でよろしいでしょうか」
「演者は山田様で、編集や台本は外注されているという認識で合っていますか」
今、誰が何をやっているのか。
ここを最初に確かめています。
そのうえで、メールでやり取りした内容をスライド1枚にまとめて見せてくれました。
会社の事業内容、YouTubeをやっている目的、今の困りごと。
それを1つずつ読み上げて「こちら合ってますでしょうか」と聞いてくる。
困りごととして並んでいたのは、こんな内容です。
スライドで確認された「今の困りごと」
- YouTube経由の集客をもっと伸ばしたい
- 動画1本1本のクオリティを上げたい
- 視聴維持率を上げたい
- 制作費を抑えたい
そして「今日はこの中の下の3つに対して、解決策をご提案します」と、話す範囲を先に宣言していました。
これ、発注者からするとめちゃくちゃ安心するんですよね。
「この人はうちの話を聞いたうえで来ている」と分かるので。
いきなり自分の実績や料金の話から始める人、本当に多いです。
でも、相手の状況を確かめる前に出した提案は、どうしてもズレます。
アジェンダと、だいたいの所要時間を最初に伝えていたのも良かったです。
聞く側は、どこまで話が進んだのかが分かるので、落ち着いて聞けます。
頼む範囲を、相手の言葉で切り分ける
提案の結論はシンプルでした。
「YouTubeチャンネルの動画制作とサムネイル制作を、私たちのチームで代行します」
「台本や撮影は、引き続き御社でご担当いただく形です」
やることと、やらないこと。
この線引きが最初に出ているので、聞く側が迷いません。
そのあとで、さっき確認した困りごとに対して「それを解決できる強みが3つあります」とつないでいました。
視聴維持率を意識した編集、フリーランスのチームだから抑えられる価格、人手があるから短い納期で出せること。
困りごと→やる範囲→強み。
この順番になっているから、強みの話が自慢に聞こえないんですよね。
発注者が聞きたいのは「誰が編集して、誰が確認するのか」
途中で、僕からこんな質問をしました。
「実際の編集は、業務委託のフリーランスの方がやる感じですか」
「修正は、代表の方に伝えればいいんですか」
チームで受ける提案だと、発注者はここが一番気になります。
知らない人に任せて、品質がバラバラになったら困るので。
受講生の方の答えはこうでした。
提携しているフリーランスの方がいて、自分がマニュアルを作って、その通りに編集してもらっている。
納品の前に、すべての動画を自分が確認する。
だから、どの動画もクオリティは同じにそろえる。
体制の話は、聞かれてから慌てて答えると不安に見えます。
「誰が作って、誰が確認して、どこに連絡すればいいか」は、先に言えるようにしておく。
これだけで、チームでの受注はかなり通りやすくなる気がします。
ビフォーアフターの「制作イメージ」が、いちばん刺さった
ここが、この商談のいちばんのポイントです。
受講生の方は、僕のチャンネルを自分たちが担当したらどうなるか、という画面を実際に作ってきていました。
左が今の動画の画面。
右が、自分たちが作った場合の画面。
しかも、なぜ変えたのかの理由まで書いてありました。
「背景の黒と赤のコントラストが強くて、目が疲れてしまう」
「背景が濃い色なのに演者さんの服も黒いので、見えにくくなっている」
今の動画も十分クオリティは高い、と前置きしたうえで、直せるところを具体的に挙げる。
これ、言い方として本当に上手いなと。
視聴維持率の話も、考え方とセットで説明していました。
制作イメージで説明された「維持率を上げる考え方」
- 普通に話している画面に対して、画面の変化を大きくして、見る人の感情を動かす
- 画面全体を別の画像にする、画面の大部分に画像を入れる、項目をまとめるパートで演出を入れる
- テロップのデザイン、集中線やモノクロのような演出、BGMや効果音でも変化をつける
- 演出は参考にしているチャンネルから、テロップはテレビ番組からトレースして、良いところを取り入れる
説明のあと、僕は思わず「すいません、よく見ていただいていて」と言っていました。
発注者からすると、自分のチャンネルをここまで見てくれた人には頼みたくなります。
実績の数字より、目の前の「自分の動画がこう変わる」の方が、ずっと判断しやすいんですよね。
サムネイルは「伸びているチャンネル」から要素を取ってくる
サムネイルも同じように、左に今のもの、右に作り直したものが並んでいました。
作り方の考え方はこうです。
YouTubeからLINEに集客している、ジャンル違いのチャンネルをいくつか選ぶ。
そこで伸びているサムネイルから、デザインと文言の要素を抜き出して取り入れる。
デザインはグラデーションやキラキラした素材でリッチに。
文言は「完全攻略」のような網羅感のある言葉や、危機感を感じる言葉に。
僕は正直に聞きました。
「今のサムネイルは、ちょっとチープだけど親近感もあるかなと思ってたんですけど、リッチな方がいいんですかね」
受講生の方は、リッチにすることで権威性が出ること、最近伸びているチャンネルにはその傾向があることを、挙げたチャンネルとつなげて答えていました。
好みの話にせず、「伸びているところがこうしている」という根拠で答える。
発注者に迷いがあるときほど、これが効きます。
ちなみに、事前に見せてくれたサムネイルの実績の中には、市場にあるものを再現して作ったものも入っていました。
僕がそれに気づいて聞くと「制作力を示すために作りました」とそのまま答えてくれた。
隠さずに言ってくれたので、むしろ「ベンチマークのサムネイルを再現して」と頼めば対応できる、と安心できました。
答えにくい質問には、根拠を添えて「所感」で返す
商談の中で、僕はわざと答えにくい質問もしています。
「今の外注さんに任せた場合と比べて、成果はどれくらい違うんですか」
「うちのチャンネルだと、維持率はどれくらいまで行きそうですか。所感で構わないので」
受講生の方は、自分たちのクライアントの数字の平均を根拠にしながら「私の感覚で申し訳ないのですが」と前置きして答えていました。
言い切れないことを、言い切らない。
でも、黙らずに根拠を添えて見立てを出す。
このバランスが取れていると、発注者は話を前に進められます。
最後に「次に何が起きるか」まで見せる
料金の説明のあと、受講生の方は「最終的に依頼するにあたって、解消しておきたい点はありますか」と聞いてくれました。
僕が「今後の流れはどうすればいいですか」と聞くと、すぐに答えが返ってきます。
社内で確認してもらう、承認が出たら業務委託契約を結ぶ、具体的な進め方を決めるキックオフミーティングを開く。
契約書のひな形はどちらが送るのか、という質問にも「こちらから送ります」と即答。
最後は、次にいつ連絡するかまで日付で伝えて終わっていました。
商談が終わったあと、発注者が「で、次どうするんだっけ」とならない。
地味ですけど、ここまでやって初めて、提案が仕事に変わるんだと思います。
この記事の要点
- 商談の最初は、今の外注状況・目的・困りごとを、資料にまとめて相手に確認する
- やる範囲とやらない範囲を最初に言い切り、困りごと→範囲→強みの順でつなぐ
- チームで受けるなら「誰が作って、誰が確認するか」を先に言えるようにしておく
- 相手のチャンネルに合わせたビフォーアフターの制作イメージを、理由つきで作っていく
- 答えにくい質問は、根拠を添えた所感で返す。最後は次の流れと連絡日まで伝える
この商談を見て、あらためて思いました。
営業がうまい人って、話がうまい人じゃないんですよね。
相手のために、どれだけ手を動かしてから会いに行ったか。
それが、言葉の拙さを全部上回っていました。
受講生の方が営業を学ぶ中で、運営としてどう伴走しているかは、ブイプロの評判・口コミ|悪い評判にも運営が全部答えますにまとめています。
僕自身も、提案の準備で手を抜いていないか、この商談を見て背筋が伸びました。
この記事が、初めての提案で何を持っていけばいいか迷っている人の、手がかりになったら嬉しいです。
カズマル
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