動画編集の「視聴者ファースト」とは|告知動画の添削で見えた、冒頭の数秒・情報の重複・ふわっとした言葉の直し方
編集はきれいにできている。
テロップもエフェクトも入れた。
でも、最後まで見てもらえない。
この記事は、そんな動画編集者に向けて書いています。
上の動画は、社内で作ったクリエイティブを僕が添削していく「クリエイティブ研修会」の回です。
今回の題材は、スタッフが短い納期で作ってくれた、X 用のプレゼント企画の告知動画でした。
添削しながら、何度も同じことを言っていました。
見てくれる人の時間を、どれだけ大切に思えているか。
これが、本当の意味での視聴者ファーストだと思っています。
見てもらう時間は「お金を払ってもらっている」のと同じ
動画は無料で見てもらえます。
でも、見る人は自分の時間を使っています。
だから、実質お金を払って見てもらっていると思った方がいいんです。
たとえば、本題に入るまでに7秒かかる動画があったとします。
100人が見たら、700秒。
10分以上の時間を、人からもらっていることになります。
その7秒の中で、ちゃんと価値を出せているか。
ここを考えずに作ると、どうしても「引っ張り」が長くなります。
今回の動画では、ドアが開く演出、白い画面が続く時間、暗転してから本編が始まるまでの2秒。
どれも、丁寧に作られてはいるんです。
でも、X はほかの動画やプロモーションとの時間の奪い合いの場所です。
映画館の映画なら、2秒くらい間を取っても見てもらえます。
席に座っているし、最初から見るつもりで来ているから。
すでにファンがたくさんいる人の動画なら、丁寧に引っ張った方が感動的になることもあります。
でも、タイムラインで流れてくる動画は違います。
「2秒くらいなら見てくれるだろう」と、相手を信じすぎない。
煽りの演出を入れるなら、最初からパッと出した方がスピード感が出ます。
冒頭の数秒で見直すところ
- 本題に入るまで、何秒かかっているか
- その秒数の中で、見る人は何を得られているか
- 暗転・余白・ゆっくりした登場など、なくても伝わる時間はないか
- その場所(X・YouTube・映画館)で、見る人はどれくらい待ってくれるか
同じ情報を2回書くと、1画面の価値が半分になる
ビジネス系の編集で、本当によくやってしまうミスがあります。
1つの画面に、同じことを2回書いてしまうことです。
今回の動画でも、画面の上に「時給労働脱却戦略」、下に「①動画編集者の時給労働脱却戦略」と書いてありました。
見る人は2か所を読む時間を使っているのに、得られる情報は1つだけ。
上を「時給労働脱却戦略」にするなら、下は「①動画編集者に必要なロードマップ」にする。
そうすれば、上でタイトルを回収しつつ、下で「ロードマップがもらえる」と伝えられます。
1画面に、複数の情報を仕込めるんです。
「2日目の特典」と「②」が並んでいるのも、同じことの繰り返しでした。
重複させるくらいなら、別の言葉を考えた方がいい動画になります。
細かいところでは、素材の切れ目も見つかりました。
光のフレア素材を合成しているところで、四角く区切られているのが分かってしまう。
実際の案件なら、確実に修正指示が来るところです。
みんな、よくやってしまうので気をつけてください。
ほかにも、縦長の動画なのにテロップが横から入ってくる、背景の泡は下から上に動いているのにテロップは右から左に動いている、という点も気になりました。
縦の画面なら縦を広く使う。
動きの向きを揃えると、統一感が出ます。
ビジネス系の動画で、解釈が分かれたらおかしい
今回いちばん大事だと思ったのが、ここです。
動画の冒頭で「動画編集者に新たなステージに上がってほしい」という思いを語っていました。
思いを最初に言うのは、ありです。
ただ、そのあと何度も「新たなステージ」と言うのに、
どこからどこへ上がるのかが、最後まで説明されていませんでした。
見る人は3分近く時間をくれたのに、結局その意味を自分で想像しないといけない。
ステージの上がり方は、いくらでも具体的に言えます。
「ステージが上がる」を具体的にする例
- 立場が変わる:動画編集者から、ディレクターになる
- 単価が変わる:1本3,000円の案件から、1本1万円の案件へ
- 作れるものが変わる:自己紹介動画だけだったのが、リッチな構成の動画も作れる
ドラマや映画なら、見る人の解釈に委ねるのはありです。
最後の戦いのあと、主人公の血が流れる描写だけで終わる。
生きたのか、死んだのか。
人によって解釈が分かれるから面白いんですよね。
でも、ビジネス系の動画で解釈が分かれたらおかしい。
ドラマでも小説でもないので、ふわっとさせない。
見た側に想像させるのではなく、具体的に説明してあげるのが親切です。
言葉の選び方で、同じ事実の伝わり方が変わる
ここからは、ライティングの話です。
聞き飽きた訴求は、切り口を変える
「求めている収入に届いていないのでは?」という問いかけは、もう山ほど見られています。
見る人からすると「そんなこと分かってるよ」という状態なんです。
スマホの「1台1円」や、車の「燃費がいい」と同じで、聞き飽きた言葉はもう刺さりません。
たとえば「動画編集をやればやるほど、不幸になっていませんか」
「1日8時間かけて、3,000円しかもらえない生活をしていませんか」
のように、言い方を変えたり、よりリアルに書いたりする必要があります。
見せすぎると、驚きが消える
「この動画から大きな売上が立った」と伝える場面で、その動画を画面に流していました。
動画編集者が見ると、すごく凝っていてクオリティが高く見えるんです。
でも、そうすると「このクオリティなら売れるよね」と思われてしまう。
驚きが生まれないんですよね。
「ある日ふと投稿した動画1本で、これだけの売上が立った」と言う方が、ギャップが生まれて興味を持ってもらえます。
何でも見せればいいわけでも、何でも隠せばいいわけでもない。
情報の押し引きのバランスです。
事実だけで終わらせず、相手にとっての変化まで言う
「制作意図から制作工程まで全部お見せします」は、事実を述べているだけです。
そこに、「それを知ると、次の日から自分の力で売れる動画を考えて作れるようになる」という、受け取った人の変化を足す。
事実とベネフィットをセットにするのは、セールストークの基礎中の基礎です。
感想の画像を「こんな感じで好評です」と一瞬流すのも、もったいない。
止めて読まないと分からないので、いちばん良い一言を抜き出して見せた方が伝わります。
視聴者ファーストは、相手の時間への想像力
今回の添削は、編集の技術というより、ほとんどが「見る人の時間をどう扱うか」の話でした。
この数秒は、相手からもらっている時間だと思えているか。
この画面を読んだ人は、何を持ち帰れるか。
この言葉で、見た人全員が同じ意味に受け取れるか。
ここを考えられるようになると、同じ素材でも、動画の伝わり方は大きく変わるなと。
ブイプロや運営について気になることは、ブイプロの評判・口コミに運営が答えるページにまとめています。
自戒も込めてまとめました。
見る人の時間を大切にできる編集者が、少しでも増えたら嬉しいです。
カズマル
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P.S. 7年前の疲弊する前に欲しかった…
