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動画編集の「伝わる編集」とは|意味のある間を残すカットと、AIより先に身につけたい判断力

公開日: 2026年10月6日 最終更新: 2026年10月9日 執筆: 山田一真(カズマル)|株式会社ブイスト代表

「話したいことがあります」
社長をやっていて、いちばんドキッとするメッセージがこれです。

先日、うちのスタッフのリーダーから、このLINEが来ました。
しかも呼び出されたのは、オフィスじゃなくて本人の家。

辞めますって話だったらどうしよう。
正直、そんな気持ちで自転車をこいで向かいました。

結果、辞める話ではありませんでした。
5年くらい一緒に仕事をしてきて、初めての「物申す」だったんです。

中身はこうでした。

「最近のカズマルさんの発信、AIすぎませんか」

この記事は、動画編集の単価を上げたいと思っている人に向けて書いています。
上の動画で、そのリーダーと話した内容を文章で整理しました。

先に結論を言うと、
単価を決めるのはAIの使い方ではなく「伝わる編集」ができるかどうか。
そして、AIはその後でいい。

「AIで1クリックで全部終わる」は事実と違う

言われたのは、こういうことです。

AIを使ってワンクリックでカットが全部終わりました。
テロップが全部できました。
そういう見せ方のポストが、最近めちゃくちゃ増えている。

数字は伸びる。
でも、数字を伸ばすためだけにやっているように見える。
作っている側として、ちょっと気持ち悪い。

……確かに、身に覚えがありました。

事実はどうかというと、
AIで自動化できる作業は、全体のうち6割くらいはあります。
ここは本当に便利です。

ただ、そのまま出すとダメなんです。クオリティ的に。
カットの間が絶妙に微妙だったり、テロップがとにかく微妙だったり。

1本1万円、2万円、3万円、4万円、5万円。
こういう単価の仕事で大事になるところは、AIではできません。

それなのに「AIだけで全部終わる」という見せ方をしていた。
これは、発信する側として反省しないといけないなと。

指示どおりに作る案件は、単価が低い

単価の話を、もう少しだけ掘ります。

「こういうテロップを入れてください」
「こういうデザインにしてください」
「こういうふうにカットしてください」

ここまで指示がある案件って、考える部分を全部お客さん側がやっているんですよね。
だから、こちらが出せる価値は少ない。単価も低くなります。

逆に、単価が高い動画は「任せます」になります。
演出も色も、細かくは言われない。
言うくらいなら、単価を下げさせてくださいってなりますよね。

任されたときに何で応えるか。
お客さんが伝えたいこと、その先にいる視聴者が見たいもの。
それがちゃんと伝わる演出と編集ができるか、です。

これを僕たちは「伝わる編集」と呼んでいます。

カットで伝わる編集=意味のある「間」を残す

じゃあ伝わる編集って、具体的に何なのか。
動画の後半で、リハビリだと思ってリーダーと一緒に復習しました。

まずはカットです。

無音の部分を切る。もちろんそれも大事です。
でも素材の中には、意味のある間があります。

たとえば、真剣な空気の中で
「あなたの稼ぎはいくらですか?」と聞かれたとします。

聞かれた人が、うーん…と黙る。
この間は、たぶん言いたくない金額なんだろうなと伝わる間です。

逆に、聞かれた人がニヤニヤしながら「うーん」となったら。
これは、言いたくて仕方がない間ですよね。
ここはズームにした方がいいかな、という判断にもつながります。

こういう間を、無音だからと全部切ってしまう人が多いなと感じています。
意味を切っちゃう。感情を切っちゃう。

この動画自体も、実はそうやって編集してもらっています。
パッと見はシンプルな編集なんですが、
社長に怒られるかもしれないことを言う表情を、何フレームか残していたりする。

もし動画を見てもらえるなら、
「ここ、あえて残してるな」という目線で見てもらえると嬉しいです。

テロップも色も配置も、全部「判断」

次はテロップです。

話した言葉をそのまま文字にすると、
「ええと」「まあ」「なんとかなんですけどね」みたいな、言葉のヒゲまで出てしまいます。

見る人にとっては、いらない情報ですよね。
だから削って、分かりやすくしてあげる。

一方で、意味のある間や言葉は、あえて残した方が臨場感が伝わることもある。
削るのか、残すのか。
この判断ができるようになるのが、すごく大事だと思っています。

色やデザインも同じです。

ひとつの発言に対して考えること

  • この発言は、どの色にするか(カラーコードまで)
  • どの位置に置くか、文字サイズはどうするか
  • どのタイミングで、どの音で出すか
  • どのエフェクトで出すか

これを全部、考えて決めないといけない。
面倒に見えるかもしれませんが、ここが仕事の中心なんですよね。

お金が払われるのは、作業じゃなく「判断した脳みそ」

動画編集者の中には、作業にお金が払われていると思っている人がいます。
そういう人は、時給で計算しがちです。

でも実際に払われているのは、
この間を残そうと判断した脳みそ。
このテロップを、このタイミングで、この色で、このサイズでここに出そうと決めた脳みそ。

動画編集は、本当は知識労働なんです。

それを単純作業に落とし込もうとしてしまう。
業界がうまくいっていない理由のひとつは、ここにある気がします。

伝わる編集ができている人の動画は、とにかく見やすい。
言いたいことが、そのまま伝わる。
収録している現場を横で聞いていた人と同じくらい、見た人が理解できる。

発注者が伝えたいことを、ちゃんと動画にして届ける。
動画編集って、そういう翻訳の仕事なんだと思います。

AIは、単価が上がった後に自分を楽にするもの

単価を上げたい。
そう思ったときに「じゃあAIをやろう」となる人、多いと思います。

でも、順番が違うんですよね。

AIは、成果が出て単価が上がりきった後に、自分を楽にするためのもの。
まだ成果が出ていない段階でAIを選ぶのは、順番が逆です。

AIの方が、楽しそうだし、すごそうだし、決めやすい。
その気持ちは分かります。
僕自身、気づいたらAIにとらわれていたので。

それでも、ここで「伝わる編集にもう少し向き合おう」と思ってくれる人がいたら。
それが業界を救うと、本気で思っています。

動画編集者が足りない、という話は、
もう何年も前から、ずっと言われ続けています。
優秀な人は、すぐに予定がいっぱいになってしまう。

つまり、発注者が本当に困っているのは、
伝わる編集ができる人が足りないことなんです。

楽して稼げる、のような発信で人を集めても、
この穴は埋まらない。
スクールをやっている立場として、ここはちゃんと向き合わないといけないなと思いました。

この記事の要点

  • AIで自動化できるのは作業の一部。そのまま出すとクオリティが足りない
  • 指示どおりに作る案件は単価が低い。高い案件は「任せます」になる
  • カットでは、意味のある間・感情の見える間を残す
  • テロップは言葉のヒゲを削り、残すべきものは残す。色・配置・音まで判断する
  • お金が払われるのは作業ではなく、判断した脳みそ。動画編集は知識労働
  • AIは単価が上がった後に自分を楽にするもの。順番を間違えない

伸びなくてもいいから、本当に役に立つ発信をする。
最初にXを始めたときの考えに、今回あらためて立ち返らせてもらいました。

AIの発信はこれからも続けます。
ただ、それだけじゃなくて、伝わる編集の話ももっと増やしていきたいと思っています。

ブイプロの運営の考え方は、こちらのページで本人が答えています。

勇気を出して言ってくれたリーダーの言葉が、
この記事を通して、伝わる編集に向き合う人が1人でも増えることで報われたら嬉しいです。

カズマル

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