Google Antigravity(アンチグラビティ)で動画編集のカットを自動化|音声解析からPremiere用XML書き出しまでの手順
カット作業に、毎回2〜3時間かかっている。
そんな動画編集者に向けて書いています。
今日の話は、Googleが出した「アンチグラビティ(Antigravity)」というAIで、カットの下処理を自動化した話です。
僕の会社では、社内でYouTubeチャンネルを3つ運営しています。
ちょっと前まで、編集者は2人だけでした。
3チャンネルあるのに、上げられるのは週に1本くらい。
もっと採用しなきゃな。
マニュアルも作らなきゃな。
そうやって頭を悩ませていました。
それが、アンチグラビティを制作の流れに取り入れて1ヶ月弱で、週3本のペースで回るようになりました。
スタッフも予算も増やしていません。
変わったのは、AIの使い方だけです。
上の動画で話した内容を、実際の手順に沿って文章で整理しました。
アンチグラビティとは?チャットのAIとの違い
正式に言うと、Googleが出した「エージェント型のAI開発環境」です。
……はい、意味が分からないですよね。
細かいことは詳しい人に任せて、初心者向けにざっくり言わせてください。
誰でも使えるプログラミングツールです。
「テトリス作って」と言えば、テトリスが作れる。
「自動カットの仕組みを作って」と言えば、作れる。
昔は英語だらけの画面で、ハッカーみたいなことをしないと無理だったことが、普段の言葉でできるようになりました。
ChatGPTやClaudeのようなチャットのAIは、頼むとやり方を教えてくれる。
いわば、優秀な相談相手でした。
アンチグラビティは、AIが自分でブラウザを開いて、ファイルを読み込んで、ターミナル(パソコンの中枢の部分)を動かして、作業を最後までやり切ります。
「このMP4の素材をカットして」と言えば、カットまで終わらせてくれる。
相談相手だったAIが、勝手に働いてくれるスタッフになった。
そんなイメージです。
動画編集者にとってこれが何を意味するかというと、人を雇わずに、編集の助手を1人持てるようになったということです。
これまでの副業のルールは、自分1人、1日24時間、自分のスキルがそのまま単価に影響する、でした。
これからは、全員に右腕の助手がいる前提で「助手と二人三脚で、いい動画をなるべく早く納品する」ルールに変わったと思っています。
うちのカット自動化フロー|音声解析からXML書き出しまで
ここからが本題です。
うちのAI担当のスタッフと一緒に作ったフローを、そのままお話しします。
ステップ1:動画から音声だけを抜き出す
まず、動画ファイルから音声だけを抜き出す処理をアンチグラビティにお願いします。
音声だけに集中して見てもらうためです。
ステップ2:音声を3つの観点で解析する
音声解析でやっている3つのこと
- VAD:喋っている部分と、喋っていない部分を判定する
- Whisper:喋っている内容を文字起こしする
- 環境音の判定:エアコンの音や、後ろで鳴っているBGMなどを見分ける
ステップ3:解析結果をもとに、いらない部分を消す
3つの結果を合わせて「ここはいらない部分なので消しておきますね」というところまでやってもらいます。
ステップ4:Premiere Proで読み込める形で書き出す
ここが、編集者としていちばん大事なところです。
カットされた動画がポンと出てきても、意味がないんですよね。
動画編集代行をやっている人は、Premiereに入れて、自分で細かく触りたいはずです。
なので、Premiere Proで読み込めるXML形式で書き出してもらいます。
Premiereに流し込めば、編集点が全部入った状態、カットが終わった状態から編集に入れます。
地味にうれしいのが、カットの尺とテロップの尺を、編集点をずらさずに書き出してくれるようになったこと。
編集者なら分かると思うんですけど、これ、地味に大きいんです。
手直しはどれくらい必要?正直な話
20分の素材のカットに、これまでは2〜4時間かかっていました。
それが、素材を渡して待つだけになりました。
ただ、「完全に手直しはいりません」とは言いません。
実際の案件では、やっぱり微調整は必要です。
だからこそ、Premiereで触れるXMLで書き出させています。
1年くらい前は、AIで文字起こしして自動でテロップやカットを入れても、人間が7割くらい直していました。
今は、1〜2割直せばOKというところまで来ています。
単純作業の8割くらいが減った分、残りの2割で、人間にしかできないこと。
クオリティの高い動画を作るところに力を使う。
今は、そんな状態です。
もう1つ、大事なことがあります。
素材を投げたら、いきなり完成品が出てくるわけではありません。
どんな間でカットしてほしいかは、案件ごとに全部違いますよね?
だから、案件ごとにアンチグラビティを調整する「AIマネジメント」の技術が、人間に求められています。
僕の場合も、1ヶ月くらいかけてAIを鍛えて、秘伝のタレみたいなものを仕込んできました。
巷でよく見る「動画編集の全自動化」とは、文脈が違うと思っています。
クライアントに納品する動画なので、ちゃんと調整した結果がいい動画になる。そこが大事です。
AIに任せていいこと、任せてはいけないこと
ここは、絶対に伝えておきたいところです。
AIに全部任せていいわけではありません。
線引きを間違えると、質の低い動画をAIでたくさん量産するだけの人になってしまう。
大事なのは、お客さんに価値を届けること。いい動画を作ることです。
AIは、まだいい動画を作れません。
あくまで編集の助手です。
任せていいこと/人がやること
- 任せていい:無言部分のカット、テロップの文字起こし、画像の自動挿入
- 任せていい:請求書や業務委託書などの事務作業、カレンダーからのタスク表づくり、Slackやチャットワークで返信が必要な連絡の洗い出し
- 人がやる:営業文の1通目、提案資料の中身、クライアントへの最初の連絡
- 人がやる:動画を面白くする演出
AIを使いこなしている編集者は、朝コーヒーを飲んでいる間にAIが下準備を進めていて、手が空いたころには単純作業が終わった状態で、動画のクリエイティブに向き合えます。
一方で、使っていない人は、朝から晩までショートカットキーを連打してカットして、音声を聞きながら一言ずつテロップを打つことになる。
同じ動画編集でも、ここまで違うんだなと。
僕は、AI時代に人間が出せる価値は、愛情と物語とぬくもりの3つだと思っています。
正しい情報は、AIが出してくれます。
でも、血の通ったコミュニケーションは、人間にしかできない。
この記事の要点
- アンチグラビティは、指示すると作業を最後までやり切る「編集の助手」になるAI
- カットは、音声抽出→VAD・Whisper・環境音の解析→不要部分の削除→Premiere用XMLで書き出し、の流れで自動化している
- 手直しはゼロではない。だからPremiereで触れる形で受け取る
- 案件ごとにAIを調整する技術が、これからの編集者に求められる
- 演出や営業の1通目など、ぬくもりが要るところは人がやる
動画編集は、ずっと労働集約で忙しい仕事でした。
それが、少しずつ変わり始めている気がします。
ブイプロでどんなふうにAIを教えているか、運営としての考えはブイプロの評判・口コミ|悪い評判にも運営が全部答えますにもまとめています。
僕自身もまだ、AIを鍛えている途中です。
助手をうまく使いこなして、いい動画を届ける編集者が1人でも増えたら嬉しいです。
カズマル
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P.S. 7年前の疲弊する前に欲しかった…
