AI時代に選ばれる動画編集者とは?これからの働き方を定義する
動画編集3.0とは、配布・販売されたAIツールを使うだけの段階を卒業し、自分の案件に合わせた編集ツールを自分で作り、顧客ごとに最適化した価値を提供できる動画編集者の働き方である。提唱しているのは僕、動画編集スクール「ブイプロ」を運営する株式会社ブイスト代表の山田一真(カズマル)です。本記事は提唱者本人が書く「動画編集3.0」の定義記事です。
この記事でわかること
- 「動画編集3.0」の定義と、提唱者が言葉に込めた意味
- 0.0/1.0/2.0/3.0という4段階の違い(仕事の取り方・スキル・単価構造・AIとの関係)
- 業界が繰り返してきた「有料販売→普及→無料配布→標準化」の歴史と、その先で起きること
- 3.0で自動化できる代表的な5工程(カット・テロップ・アニメーション・SE・書き出し)の具体像
- 3.0の編集者が身につける3つの力と、その習得順序
- 提唱の背景にある、僕自身の失敗と再起
- 「全自動化される」「AIに仕事を奪われる」という誤解への、事実ベースの回答
- 今日から3.0に移行するための手順とよくある質問
動画編集3.0の定義——AI活用の4段階
僕は、動画編集者のAI活用度を4つの段階に整理しています。ここが「動画編集3.0」を理解する出発点です。
- 0.0:AIを使えていない段階。実際の案件では活用できていない状態。「AIはすごそうだが現場では関係ない」という位置。
- 1.0:一部だけ自動化を試している段階。自動文字起こしを叩き台にする、テロップを少し自動化してみるなど。試したが精度が足りず手作業に戻っている状態も含みます。
- 2.0:配られたツール・購入したツールで時短している段階。他人が作った自動化を受け取って使っている状態。現在もっとも人口の多いゾーンです。
- 3.0:自分の案件に合わせたツールを自分で作れる段階。いわば「自給自足」。自分の顧客のことを一番わかっている自分自身が、その案件専用の自動化を設計する。
大事なのは、3.0が単なる「時短術」ではないことです。定義の核心はこうです。「お客様ごとに最適化して価値を提供できる、パートナー的労働ができる編集者が、当たり前に食べていける世界」——これが動画編集3.0です。動画編集がAIに食われるのではなく、価値を提供している人が引き続き選ばれる。当たり前のことが、当たり前に訪れるだけの話なんですよね。ちなみに「3.0」は僕が勝手に考えた造語です。業界の既存用語ではなく、AIツールが氾濫するなかで編集者の現在地を言い当てるために定義しました。
4段階の比較表
4つの段階は、AIの使い方だけでなく「仕事の取り方」「単価の決まり方」まで構造的に異なります。
| 段階 | AIとの関係 | 使うスキル | 仕事の取り方 | 単価が決まる要因 |
|---|---|---|---|---|
| 0.0 未活用 |
案件では使っていない | ソフト操作(カット・テロップ) | クラウドソーシングの募集に応募 | 相場と価格競争 |
| 1.0 部分的に試行 |
自動文字起こし等を叩き台に使う | ソフト操作+一部AI操作 | 同上(応募中心) | 相場と価格競争 |
| 2.0 ツール利用 |
配布・購入したツールで時短 | ツールの使いこなし | 「早い・安い」を訴求して応募 | 速さと価格。全員が同じツールを持つため差が消えていく |
| 3.0 ツール自作 |
案件専用のツールを自分で設計・改修 | AIエージェントの理解+プラグインの仕組み+良い編集の判断力 | 顧客の課題に対する提案・パートナー契約 | 顧客理解と提案内容。代替されにくさ |
セミナー会場で参加者に現在地を尋ねると、回答は0・1・2に集中して、「3」と答えられる人はほとんどいませんでした。「プラグインは購入しているが、自分用に作れないか試行錯誤している(2.5くらい)」という声も出ています。つまり3.0は、まだ競合がほとんどいない場所です。
1.0・2.0・3.0の変遷——業界が繰り返してきた「有料化→無料化→標準化」
なぜ2.0で止まると危ういのか。根拠は予測ではありません。動画編集業界がすでに何度も通ってきた歴史です。僕は2019年から業界を見てきましたが、毎回まったく同じことが起きています。
- レガシータイトル(テロップ)の有料販売が流行る → 普及して当たり前になる → 無料配布されるものになった。
- テロップ・アニメーションのテンプレート有料販売が流行る → 多くの人のPCに同じプリセットが入る → 無料配布が当たり前になった。
- AIツールの有料販売が流行る(現在地) → 多くの人が買う → 当たり前になり価値がなくなる → 無料で配られるようになる。
「有料化 → 一般化 → 標準化 → 無料化」。このサイクルが回るたび、市場の「当たり前のレベル」だけが引き上げられます。歴史の歯車を進めるイベント、みたいなものです。配布や販売そのものを否定するつもりはありません。僕自身、プリセットやツールを配ってきた側ですから。問題なのは、受け取ること自体が目的になっている「ツール中毒」のほうです。
全員が同じツールを持てば、速さは強みでなくなる
あなたが無料で受け取った、あるいは数万円で買ったツールを使っているのは、あなただけではありません。全員が同じツールで同じ速さで編集できるようになれば、発注側にとってそれは「当たり前」です。「プリセットでできるなら、このクオリティは当たり前だよね」「そのツールがあるなら自社で使えばいい」——こうして、あなたを選ぶ理由が消えていきます。僕はこれを「金太郎飴」と呼んでいます。全く同じラーメン屋が店名だけ違って10軒並んでいたら、客は安い店に入りますよね。その安売りバトルを繰り返してきた結果が、いまの相場です。
市場はすでに二極化している
2024年以降の市況を、僕は「二極化」と見ています。下位層の単価は下がり続け、上位層の単価は上がる。その差が開き続けている。下がる側にいるのは「単純作業労働者」——「えー」「あー」を消す、そのまま文字起こしする、なんとなくBGMを置く、配布テンプレをドラッグ&ドロップする、言われたことだけをやる人です。上がる側にいるのは、画面デザイン力・クライアントワーク力・営業力を備え、予算の大きいコンテンツを作れる人。
そして、間違った逃げ方も名指しします。ひとつはショート特化(作業時間が短くなるだけで、技術の成長がゼロになりやすい)。もうひとつがAI特化です。Premiereで単純作業しかできない人がAIを学んでも、AIを使った単純作業労働者になるだけなんですよね。2.0で止まる危うさは、ここに全部あります。
なぜ今「動画編集3.0」なのか——ツール依存が招く3つの行き止まり
1. 配られたツールは、あなたの案件に合わない
ツールは、作った人が想像できた範囲のことしかできません。ところがパソコン環境もソフトのバージョンも、撮影素材も話し手の癖も案件ごとに違います。結果、必要な部分までカットされる、テロップ起こしに時間がかかりすぎる、謎のエラーで止まる、やりたいことと微妙にずれる、といったことが日常的に起こります。
僕の場合はこうです。本当はマルチカメラまでカットしたい。自動テロップが話し言葉そのままなので、ある程度意訳したいし、クライアントの口癖も読み込ませたい。アニメーションとSEをセットで入れたい。この「痒いところ」こそが、顧客にとっての価値の正体です。そして中身がわからなければ、直すことも作り替えることもできません。
2. 追いかけるコストだけが増え続ける
AIの進化は速く、次のツール、次の技術が次々に出てきます。正直、僕が1ヶ月前に作ったツールでも、もう非効率だったりします。新しいツールが出るたびに支払い、無料配布に参加し続け、それでも自分の案件には合わないまま編集を続ける。稼ぐために始めた動画編集が、いつのまにか他人のツール販売を待ちわびる時間になっている。これ、完全に本末転倒です。しかも買って使うほど「ツールが当たり前の世界」に近づくので、自分で自分の価値を下げることに加担する構造にもなっています。
3. AIの実力を冷静に見ると、丸投げは成立しない
とはいえ、AI万能論に乗るつもりもありません。2026年時点の僕の見解は次の通りです。
「AIは作業の6割程度は自動でこなせる。ただしそのまま出せる品質ではなく、カットの間やテロップの細部など、大事なところはAIではできない」
残りの4割——どこでカットを切るか、なぜこのテロップにこの色を使うのか、この動画は誰に何を伝えるべきか——という判断は人間に残ります。そして、ここを引き受けられる編集者が足りていない。だから3.0を提唱しています。
動画編集3.0の中身——自動化できる5つの工程
3.0の実践は「作業はAIに、思考は人間に」という原則に集約されます。セミナーで実演された、Premiere Pro上で動く自作プラグインの代表的な工程は次の5つ。それぞれ「AIに任せる作業」と「自分で定義しなければならない部分」がはっきり分かれます。
| 工程 | AIに任せる作業 | 自分で定義する部分(3.0の核心) |
|---|---|---|
| 1. 自動カット | 無音・不要部分の検出とカット実行 | 区切る無音の長さ/セリフ前後の余白/息の扱い/言い直し・言い換えを切るか/LLMの判断を使うか/実行前にバックアップを作るか |
| 2. 自動テロップ | 文字起こしから字幕生成、シーケンスへの一括挿入 | 話し言葉をどこまで意訳するか/専門用語・固有名詞の辞書/チャンネルごとのデザイン適用 |
| 3. アニメーション適用 | 登録した動きをテロップへ一括適用 | どの演出をどのタイミングで当てるか/チャンネルごとの演出セット |
| 4. SE(効果音)挿入 | 指定位置への効果音配置と音量バランス調整 | ポジティブ/ネガティブなど効果音の分類設計/案件ごとの音の世界観 |
| 5. ワンクリック書き出し | 書き出し設定・出力・完了通知 | 案件ごとの書き出し設定/納品先フォルダ構成/通知の受け取り方 |
自動カット
ボタンひとつでシーケンス全体の無音部分が順にカットされます。ポイントは実行前のチェック項目です。「無音カットの強さ」「区切る無音の長さ」「セリフ前後の余白」「エアー(息)を削る」「言い直し・言い換えも切る」「LLMの判断も使う」「実行前にバックアップ複製を作る」——このチェックボックス群こそが3.0です。なんとなくのカット自動化なら、いまは誰でも作れます。でも案件ごとに「ここは切らない、ここは切る」という要件は違うんですよね。その差分を自分で調整できることが価値になります。
自動テロップ
テロップ作成ボタンを押すと文字起こしが走り、数秒から十数秒でシーケンスにテロップが並びます。生成後はエッセンシャルグラフィックスでまとめてデザインを変更できるため、そのままチャンネル固有のデザインへ落とし込めます。話し言葉をどこまで整えるか、クライアントの口癖や専門用語をどう辞書登録するかは、その案件の担当者にしか決められません。
アニメーション適用とSE挿入
「フラッシュ+ブラー登場」「粒子集合」「高速残像スライドイン」「立体3D回転」といった演出をパネルに登録しておき、テロップを選んでボタンを押すだけで適用されます。効果音も同様に、フォルダ別・分野別(ポジティブ/ネガティブなど)に整理しておき、再生しながらタイミングよく押せばその位置に配置されます。これまでプリセットをドラッグ&ドロップしていた操作が、太鼓の達人のようにボタンを押す作業に変わります。
ワンクリック書き出しと、その先
通常は複数回のクリックが必要な書き出しを、フォルダを選んで実行するだけに縮め、完了時にメール通知を受け取る。この他にも、案件別のエフェクトとテロップのパターンを組み合わせたワンクリック演出、プロジェクトパネルの階層を一発で整理する機能、Premiere内でナレーション音声を作る機能、長尺動画から切り抜きショートを生成する機能など、発想次第で作れる範囲は広がります。マルチカメラ案件が多い人は、2カメ案件専用のプラグインを作ればいい。これが3.0の考え方です。各工程の自動化はAI動画編集で自動化できる5つの工程でさらに詳しく解説しています。
自作ツールの本質的な強みは「育てられる」こと
配布ツールは調教できません。対して自作ツールなら、指示を繰り返してカットの精度を上げ、専門用語を登録してテロップの精度を上げ、フレームのズレを直し、壊れたら修理し、要望が変われば作り替えられます。部下が間違えたらマニュアルを直しますよね。あれと同じで、ツールは育てられるんです。原理原則さえ理解していれば、Adobeのアップデートで機能が増えても、将来使うソフトがPremiere Proでなくなっても組み替えて対応できます。時代が進むほど、本質的なAI知識を持つ編集者が有利になる。そういう構造です。
動画編集3.0の編集者が身につける3つの力
3.0へ移行するために必要な要素は、3つに絞れます。この3つが揃って、やっとツールを作り始められます。
| 身につける力 | できるようになる状態 | なぜ必要か |
|---|---|---|
| 1. AIエージェントの理解 | AIが何をどう動かしているかを説明できる。プロンプト設計、指示書の構造化、ターミナル操作など、どのAIにも共通する概念を扱える | 特定ツールへの一点賭けを避けるため。ツールが変わっても持ち越せる知識になる |
| 2. プラグインの仕組みの理解 | なぜ自作ツールがPremiere Proを動かせるのか、どうすれば動かせるのかがわかる | エラーの原因を自分で切り分け、機能を追加・修正できるようになるため |
| 3. 「良い編集とは何か」の判断力 | どこまでカットするか、どんな色味にするか、どのテロップをどのタイミングで入れるかを、理由とともに説明できる | 3つの中で最も重要。動画編集がわかっていない人が作るツールは、良いツールにならないため |
3つ目は料理に喩えるとわかりやすいです。三ツ星シェフの料理が美味しいのは、料理の知識や食材の理解があるからだけじゃない。お客さんのことを理解しているからです。良い編集とは何かがわかっている人が作るから、良いツールになる。ここが、動画編集者が3.0に取り組むときのいちばんの武器です。
逆に言えば、1と2は後から学べます。僕はHTMLとCSSで挫折した人間で、いまはAI(大規模言語モデル)に指示を出す形でツールを作っています。プログラミングのコードを一行も書かずに、自分専用のツールを作ることが前提の設計です。
提唱の背景——時給200円の失敗から生まれた概念
「良い方法があるなら自分の会社だけで独占すればいいのでは」。よく聞かれます。その答えが、この章です。
僕が動画編集を始めたのは2019年12月。オンライン講座を買ったのに、カリキュラムをほとんど進めないまま営業を始めてしまいました。営業だけは得意だったので仕事は取れます。単価の高い案件まで取れてしまう。でも実力が伴っていないので、納品したクオリティが低すぎて修正指示だらけになりました。ほぼ独学で挑んだ初めての案件は、時給換算で200〜300円です。さらにSNSで「依頼した編集者がひどかった」と晒され、1ヶ月ベッドから動けませんでした。
そこから講座を2周・3周とやり込み、渋谷の映像制作会社に就職して2年間、営業と制作の両方で下積みをしました。必要だったのは、お客様を満足させられる実力です。順番を間違えていました。同じ失敗をする人を減らしたくて、動画編集スクール「ブイプロ」を立ち上げます。株式会社ブイストはその後、上場企業グループ入りし、2025年8月に約3.5億円で株式を譲渡。僕は売却後も代表としてスクール運営を続けています。
この道のりがあるので、位置づけははっきりしています。「教えているのは、魚を与えることではなく釣り方です。ツールを配りますではない」。ツールを配れば一時的には喜ばれます。でもそれは市場の標準化を早めるだけで、受け取った側の状況は何も変わらない。だから概念ごと共有します。
「AIで楽して稼げる」への自己批判
動画編集3.0は、僕自身のAIとの向き合い方の変遷からも生まれています。2024年に「動画編集事業にAIが本格的に乗り込んでくる」とAI元年を宣言し、2025年には運営スクール内にAI×動画編集部門を設立しました。ところが2026年、「AIをとりあえず出しておけば数字が伸びる」という風潮に、自社の発信ごと流れかけました。事業部長からの直言を受けて、公開の場で自己批判して路線を戻しています。インプレッションは伸びても「ワンクリックで楽をしたい」という誤解を生むだけで、事業の実態から離れていったからです。結局、僕が悪かったんです。その反省の先で言語化したのが、ツールに依存せず思考で価値を出す「動画編集3.0」でした。
よくある3つの誤解
誤解1:「動画編集はいずれ全自動化される」
僕は「自動販売機型スキル」と「ドライバー必要型スキル」で分けて考えています。自動販売機は販売まで自動化されたので、店員がいらなくなりました。一方、自動車は自動で走っても運転手がいます。渋滞の回避や新しい道の判断は人間がやる。動画編集は後者です。ドライバーのセンスとテクニックに対価が払われる仕事なんですよね。だからAIが普及するほど、自動販売機型の副業は食われる一方で、動画編集者はむしろ輝いていくと見ています。
誤解2:「AIに動画編集の仕事を奪われる」
奪われるのは仕事ではなく、レベルの低い仕事です。単純な文字起こしや無音カットはAIに置き換わり、低単価案件が消えて高単価だけが残る。僕はそう予測しています。裏を返せば、そこに対応できる人にとっては市場が整理されるということでもあります。
また、AI編集サービスと編集者は市場が分かれるという見方も示されています。AI編集は自社発信の量産ゾーン、編集者は「お金を払ってでも良い動画にしたい」ニーズのゾーン。むしろAIをきっかけに動画発信を始めた人が、手応えのあった動画をお金をかけて作り直したくなり、編集者に発注が来る。AI側が、将来のお客様を育てているという構図です。
誤解3:「時短できれば3.0のゴール」
ここがいちばん言いたいところです。時短はゴールではなく燃料。ツールで時間を浮かせただけでは、何も変わりません。浮いた時間を受注と提案の質を上げることに使い、実績を積み、その実績をもとに案件を選び、選んだ案件に合わせてツールを改善して、さらに時間を浮かせる。このループを回すのが3.0の働き方です。
動画編集3.0で何が変わるか——4つの変化
- 対応できる本数が増える。案件に最適化されたツールで制作時間が短縮されるため、まとめて依頼を受けられる体制を作りやすくなります。
- 発注者の手間を減らせる。誤字脱字チェックやフレームずれの確認まで自動化すれば、修正のやり取り自体を減らせます。お金を払って編集を依頼している発注者が誤字脱字チェックをしている状態はねじれた構造であり、ここを解消できる編集者は重宝されます。
- ツールが資産になる。チームや外注先にツールを共有すれば、品質を保ったまま体制を広げられます。ツール自体が、あなたの手を離れても働く資産になります。
- 顧客のパートナーになれる。ツールを作る力は動画編集にとどまりません。案件管理、請求書作成、リサーチ、スライド作成——動画編集はパソコン作業のなかでも専門的な領域なので、それができるならほかの業務も巻き取れます。サムネイル、タイトル選定、マーケティング業務の一端まで担う関係を築けます。
発注する側から見ると、この違いはもっとはっきりします。知識共有プラットフォーム「ブレイン」を運営する佐藤悠樹(サコ)氏は、セミナー内でこう語っていました。ツールを作れる編集者は「作業者」ではなく「仕組みを提供できる人」であり、仕組みを作れる人は結局のところ社長レイヤーだ、と。実際に、自分が出演した番組の該当箇所を自動で切り抜くツールを提案されたときの驚きを具体例として挙げ、ツールを作れる視点があると「発注者のリソースをまったく使わずにどんな価値を出せるか」という発想が自然と生まれる、と評価しています。
今日から動画編集3.0を始める手順
学び方の原則は3ステップです。そして明確な禁じ手があります。他人が作った自動化を受け取るだけでは、AIは1mmも学べない。ステップ1は絶対に飛ばさないでください。
- 自分の業務を洗い出す。自分の編集工程のどこに、どれだけ時間がかかっているかを言語化します。「10分で終わるはずの作業に4時間かけている」箇所の特定が目的で、ここが自分専用ツールの設計図になります。
- 何のツール・AIが使えるかを考える。特定ツールへの一点賭けは危険です。プロンプト設計、指示書の構造化、ターミナル操作といった、どのAIにも共通する概念から学びます。難しそうでやりたくないけれど、やったら絶対に力がつくもの。そこを先に勉強してほしいです。
- 小さく作って行動する。まずは無音カットやテロップなど一つの工程から自作し、実際の案件で使いながら育てます。最初から完璧を目指す必要はありません。
期間の目安ですが、独学でもたどり着けます。ただ、僕は1年かかりました。セミナーに参加した現役編集者からも「AI自体は使えていたが、プラグインを自作しようと独学で2〜3ヶ月やって、やっと1つ動くか動かないかだった」という声が出ています。概念の理解を飛ばして手を動かすと、だいたい遠回りになります。
将来展望——3.0が標準になった先に何が起きるか
業界の歴史が示す通り、有料販売されているAIツールもいずれ無料配布され、標準装備になります。そのとき、2.0にいる編集者の「速さ」はもう差別化になりません。3.0は特別な選択肢ではなく、これからスタンダードになっていくもの。いずれ前提条件になります。
その先で編集者に求められる役割は、作業者から「演出担当者」「動画を通じたブランディング担当者」へ移っていきます。発注者が言語化しきれていない意図を汲み取り、作品に落とし込む。この部分だけは、指示を出す側の人間にしか代替できません。逆に言えば、言語化できることはすべてツールにできるはずだ、というのが理論上の帰結です。
もうひとつの展望が「レイヤー上げ」です。従来、編集者がレイヤーを上げる手段はディレクターになることくらいで、人を束ね、面談を重ね、半年から1年かかるのが普通でした。ツールを作れるようになると、切り抜き作業をする人から、切り抜きを量産できる仕組みを提供する人へと短期間で移れます。作ったツール自体を商品として販売する道も開けます。クライアントワークが労働集約から抜けられなかった構造そのものが、変わり始めています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 動画編集3.0にプログラミングの知識は必要ですか?
必要ありません。僕自身、HTMLとCSSで挫折しています。いまはAIに指示を出す形でツールを作っており、コードを一行も書かずに自分専用のツールを作ることが前提の考え方です。ただし、AIエージェントやプラグインの仕組みといった「概念」の理解は必要になります。
Q2. 初心者でも動画編集3.0を目指せますか?
順序に注意が必要です。3要素のうち最も重要なのは「良い編集とは何かを知る」ことであり、動画編集がわかっていない人が作るツールは良いツールになりません。まずは案件を通じて編集の判断力を養い、そのうえで自分の工程を自動化していくのが自然な流れです。逆に、すでに案件を持っている編集者は、その時点で最大の優位性(顧客理解)を持っていることになります。
Q3. 販売・配布されているAIツールを買うのは無駄ですか?
無駄ではありませんし、僕はツールの販売や配布そのものを否定していません。自分も配ってきた側です。問題は、ツールを手に入れること自体が目的になり、脳死で使うだけになっている状態です。買ったツールを「自分の案件ならこうしたい」という視点で観察すれば、それは3.0への入り口になります。
Q4. AIで動画編集の仕事はなくなりますか?
なくなるのは、AIで代替できる単純作業の仕事です。僕の見解では、AIは作業の6割程度を自動でこなせるものの、そのまま納品できる品質ではなく、カットの間やテロップの細部といった大事なところは人間が判断する必要があります。動画編集は「ドライバーが必要な仕事」であり、AIが普及するほど、判断できる編集者の価値は際立つという整理です。
Q5. 動画編集3.0になるまで、どれくらい時間がかかりますか?
僕自身は独学で約1年かかりました。セミナー参加者からも「独学で2〜3ヶ月やって、ようやく1つ動くか動かないか」という声が出ています。ただし必要なのは「AIエージェントの理解」「プラグインの仕組み」「良い編集の判断力」の3点に絞られているため、順序を間違えなければ短縮できる領域でもあります。
Q6. 編集者ではなくディレクターやチャンネル運営者ですが、関係ありますか?
関係あります。ツールを作る力は動画編集の工程に限定されず、案件管理・請求書作成・リサーチ・スライド作成など業務全般に応用できます。ディレクターであれば、作ったツールを外注メンバーに共有することで品質を保ったままチームの生産性を上げられます。チャンネル運営者であれば、運営フローそのものを自動化できます。
まとめ——AI時代の動画編集者の現在地
動画編集3.0とは、AIに仕事を奪われる未来でも、AIで楽をする未来でもなく、自分の案件に合わせたツールを自分で作り、思考で選ばれる編集者になるという働き方の定義です。0.0はAIを使えていない状態、1.0は部分的に試している状態、2.0は配られたツールを使っている状態、3.0は自分の案件に合わせたツールを自分で作れる状態。そして3.0の本質は自動化それ自体ではなく、お客様ごとに最適化して価値を提供できるパートナーになることにあります。
提唱者である僕・山田一真(カズマル)は、受講生2,400名を超える動画編集スクール「ブイプロ」で、この考え方に基づくカリキュラムを提供しています。ブイプロのサービス内容はサービス紹介ページをご覧ください。
あなたは今、0.0〜2.0のどの段階にいますか。3.0へ移行するには何から始めるべきか。現在地を整理したい方は、無料カウンセリングでご相談いただけます。
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サムネ・テロップベース・右上テロップ、実際にクライアントワークで使っているプロンプトをそのまま渡します。
受け取り方法は、以下のリンクからLINE登録を行なうと、配布されます。
P.S. 7年前の疲弊する前に欲しかった…
