動画編集の単価相場は?263件の実データ分布と中央値を公開
動画編集の案件単価は、単価を回答した263件の中央値が15,000円でした。ただし1万円未満が103件(39.2%)を占める一方、10万円以上も16件(6.1%)あります。平均は34,900円ですが、これは一部の高額案件に引っ張られた数字です。実感に近いのは中央値の15,000円のほう。分布は低単価側に大きく偏った、いわゆるロングテール型でした。
この記事で扱うのは、動画編集スクール「ブイプロ」の受講生・卒業生アンケート555件のうち、単価を記入した263件の実数だけです。集計したのは僕(株式会社ブイスト・山田一真)です。ネットでよく見る「動画編集の相場は1本5,000円〜」という数字が、どこまで実態を表しているのか。加工しない分布のまま確認していきます。
この記事でわかること
- 単価263件の実数分布(1万円未満から30万円以上まで、6つの帯ごとの件数と割合)
- 中央値15,000円と平均34,900円が3倍近くズレる理由
- 案件の種類(YouTube長尺・ショート・広告・企業PRなど9種)ごとの単価差
- 獲得経路(クラウドワークス・紹介・コミュニティなど8経路)ごとの単価差
- 受講開始からの期間と単価の関係
- 「動画編集の相場」という言葉が、なぜ発注側にも受注側にも危険なのか
- 発注を検討している企業が、この分布をどう予算組みに使えるか
データの出典と算出定義
数字の読み違いを防ぐため、先に算出のルールを明記します。ここを飛ばして数字だけ引用されるのが、単価データがねじ曲がる最大の原因だからです。
- 母集団:動画編集スクール「ブイプロ」受講生・卒業生による成果報告アンケート、全555件。
- 単価の抽出:設問「取れた仕事の単価を教えてください。」の回答から先頭の数値を抽出。1,000円以上300万円以下の値のみを有効としました(「まだ受注していません」等の非数値回答、桁の明らかな入力ミスを除外するため)。有効回答は263件です。
- 重複除去はしていません。同一人物が期間をおいて複数回報告しているケースがあり、これを1件ずつ数えた延べ263件として扱います。つまり「263人の単価」ではなく「263回報告された単価」です。
- 案件の種類・獲得経路は複数選択です。合計は回答者数を超えます。
- 割合はすべて四捨五入のため、合計が100%にならない場合があります。
- 自己申告であり、第三者による検証は行っていません。
特に3つ目の「重複除去なし」は重要です。単価が上がった人ほど報告回数が増える傾向があるとすれば、この263件は実際の受講生全体よりやや高めに出ている可能性があります。逆に、単価が低いうちは報告しにくいという心理もあり得ます。どちらに偏っているかは、このデータだけでは判定できません。「延べ件数の分布」以上のことは主張しない、というのがこの記事の立場です。
【表1】単価の全体分布 ― 263件の実数
まず、加工していない生の分布です。
| 単価帯 | 件数 | 割合 | 累積割合 |
|---|---|---|---|
| 1万円未満 | 103件 | 39.2% | 39.2% |
| 1万円〜3万円未満 | 97件 | 36.9% | 76.0% |
| 3万円〜5万円未満 | 28件 | 10.6% | 86.7% |
| 5万円〜10万円未満 | 19件 | 7.2% | 93.9% |
| 10万円〜30万円未満 | 11件 | 4.2% | 98.1% |
| 30万円以上 | 5件 | 1.9% | 100.0% |
| 合計 | 263件 | 100% | ― |
この表から読み取れることは、はっきりしています。全体の76.0%が3万円未満に収まっているということです。一方で、10万円以上の案件も16件(6.1%)確実に存在しており、最高額は132万円でした。
中央値15,000円と平均34,900円が2倍以上ズレる
この263件の代表値を並べると、次のようになります。
| 指標 | 金額 | 意味 |
|---|---|---|
| 最小値 | 1,000円 | 有効範囲の下限にあたる回答 |
| 下位25%(第1四分位) | 5,000円 | 4件に1件はこれ以下 |
| 中央値 | 15,000円 | 263件をちょうど半分に割る値 |
| 上位25%(第3四分位) | 25,000円 | 4件に1件はこれ以上 |
| 上位10% | 50,000円 | 10件に1件はこれ以上 |
| 上位5% | 100,000円 | 20件に1件はこれ以上 |
| 平均値 | 34,900円 | 合計を件数で割った値 |
| 最大値 | 1,320,000円 | 1件 |
平均34,900円は、実際には263件のうち47件(17.9%)しか到達していない金額です。これが「平均」を単価の目安に使ってはいけない理由です。分布が右に長く裾を引いているとき、平均は少数の高額案件に強く引っ張られます。132万円が1件混ざるだけで、平均は約5,000円押し上がる計算になります。
単価の話をするときは、必ず中央値(15,000円)か、四分位(5,000円〜25,000円)を使ってください。この記事でも以降、案件種類別・経路別の比較はすべて中央値で行います。
【表2】1万円未満をさらに細かく刻む
最大の塊である「1万円未満」103件は、中身がかなり幅広いので分解します。
| 単価帯 | 件数 | 263件に占める割合 |
|---|---|---|
| 3,000円未満 | 33件 | 12.5% |
| 3,000円〜5,000円未満 | 24件 | 9.1% |
| 5,000円〜1万円未満 | 46件 | 17.5% |
| 1万円未満 計 | 103件 | 39.2% |
報告された金額のうち出現回数が多かったのは、多い順に5,000円(24件)、20,000円(23件)、15,000円(22件)、3,000円(17件)、10,000円(14件)でした。5,000円・1万円・1.5万円・2万円といった「キリのいい金額」に集中しており、これは市場に緩やかな慣習的価格帯が存在することを示唆します。ただしそれは「相場」と呼べるほど一本化されていません。次章で詳しく説明します。
ちなみに僕が2019年12月に初めて受けた動画編集の案件は、1本500円でした。この表の一番下の帯にすら入りません。当時の僕は、その500円が安いのか普通なのかを判断する材料をひとつも持っていませんでした。単価の分布を見せたいと思ったのは、その頃の自分に見せたかったからです。
「相場」という言葉の危うさ
検索すると「動画編集の相場は1本◯円」という断言をよく見かけます。でもこの263件を見た限り、単一の相場は存在しません。理由は3つあります。
理由1:「単価」が指しているものが人によって違う
アンケートの単価欄には、「動画1本あたりの編集単価」を書いた人もいれば、「月額の継続契約の総額」「案件全体の受注金額」「ディレクションを含むチーム運用の月額」を書いた人もいます。30万円以上の5件は、後者の性格が強いと考えるのが自然です。同じ「単価」という言葉が、1本単価・月額・案件総額の3つを指してしまっているのが、動画編集の単価情報が混乱する根本原因です。
だから発注側も受注側も、金額を口にする前に「それは1本あたりですか、月あたりですか、案件一式ですか」を確認する必要があります。この確認をしないまま「相場は1万円」と言い合うと、10倍の認識差が生まれます。
理由2:同じ「YouTube長尺」でも作業範囲が違いすぎる
YouTube長尺動画の編集といっても、素材カットと簡易テロップだけの案件と、構成の相談・全文テロップ・効果音・BGM・SE・アニメーション・サムネイル制作までを含む案件では、作業時間が数倍変わります。同じ商品名で中身が違うのに、値段だけを横並びで比べても意味がないんですよね。
理由3:分布の形が「相場」に向いていない
表1で見たとおり、この分布は山が1つに収束していません。1万円未満に39.2%、1〜3万円に36.9%と、ほぼ同じ大きさの塊が2つ並んでいます。統計的に言えば、代表値1つで要約するのに向かない形です。「相場は◯円です」という表現は、この2つの塊のどちらかを切り捨てないと成立しません。
実務的な結論としては、「相場」ではなく「自分の作業範囲・納期・獲得経路における分布のどこに立っているか」で考えるのが正確です。以下、その材料になる切り口を出していきます。
【表3】案件の種類別に見た単価
案件の種類は複数選択のため、1件の報告が複数の行にカウントされます。nはその種類を選択し、かつ単価を記入していた件数です。
| 案件の種類 | n(件) | 中央値 | 下位25% | 上位25% |
|---|---|---|---|---|
| セミナー・ウェビナー動画 | 30 | 27,500円 | 16,250円 | 77,000円 |
| 広告動画 | 49 | 25,000円 | 8,500円 | 40,000円 |
| 企業PR動画 | 30 | 25,000円 | 20,000円 | 87,500円 |
| ディレクション・運用代行 | 43 | 23,000円 | 11,000円 | 78,500円 |
| サムネイル制作 | 58 | 21,000円 | 12,000円 | 38,750円 |
| YouTube長尺動画 | 193 | 15,000円 | 7,000円 | 30,000円 |
| TikTok | 71 | 15,000円 | 5,000円 | 30,000円 |
| Instagramリール | 93 | 12,000円 | 5,000円 | 25,000円 |
| YouTubeショート | 128 | 11,500円 | 4,750円 | 23,125円 |
ここは読み方に注意が必要です。この表は「案件種類ごとの1本単価」ではありません。複数選択なので、たとえば「YouTube長尺+広告動画+ディレクション」を選んだ人の単価は3行すべてに入ります。上位の種類ほど、複数種類を手がける人が重なって高く出やすい構造があります。
その影響を除くため、その種類「だけ」を選んだ人に絞ると、様相が変わります。YouTube長尺のみ(n=40)の中央値は11,000円、YouTubeショートのみ(n=11)の中央値は3,000円でした。単一種類しか扱っていない場合、全体中央値の15,000円より低く出ています。
これを裏側から見たのが次の集計です。選択した案件種類の数と単価の関係を見ると、扱う種類が多い報告ほど単価の中央値が高いという関連が見えます。
| 選択した案件種類の数 | n(件) | 単価の中央値 |
|---|---|---|
| 1種類のみ | 76 | 10,000円 |
| 2〜3種類 | 113 | 12,000円 |
| 4種類以上 | 73 | 20,000円 |
ただしこれは相関であって、因果ではありません。「対応できる種類を増やせば単価が上がる」のか、「単価の高い案件に入ると自然に守備範囲が広がる」のか、このデータでは区別できません。
【表4】獲得経路別に見た単価
どこから案件を取ったかの設問(複数選択・主要8経路で延べ270件)と、単価をクロスした結果です。
| 獲得経路 | n(件) | 中央値 | 下位25% | 上位25% |
|---|---|---|---|---|
| Indeed・Wantedlyなど求人媒体 | 4 | 22,500円 | 18,250円 | 34,300円 |
| ブイプロ内コミュニティ・案件募集部屋 | 17 | 20,000円 | 10,000円 | 22,000円 |
| 知人・友人からの紹介 | 32 | 15,000円 | 3,000円 | 25,000円 |
| ランサーズ | 9 | 15,000円 | 6,600円 | 20,000円 |
| その他のコミュニティ(交流会・ディレクター繋がり等) | 26 | 12,000円 | 5,500円 | 21,500円 |
| X(Twitter)の募集投稿・DM営業 | 15 | 10,000円 | 6,650円 | 17,500円 |
| 企業へのメール営業 | 4 | 9,000円 | 2,937円 | 17,500円 |
| クラウドワークス | 44 | 6,500円 | 2,500円 | 12,750円 |
n が4件しかない経路は参考値です。統計的な比較に耐えるのは、n が十分ある上位経路に限られます。そこで経路を3グループにまとめ直しました。
| 経路グループ | n(件) | 中央値 | 1万円未満の件数 |
|---|---|---|---|
| 人・コミュニティ経由(紹介/各種コミュニティ) | 64 | 15,000円 | 23件(35.9%) |
| 直接営業・求人媒体(X・メール営業・求人) | 21 | 12,000円 | 7件(33.3%) |
| クラウドソーシング(クラウドワークス/ランサーズ) | 49 | 7,000円 | 29件(59.2%) |
ここは、263件のデータの中でもっとも差がはっきり出た切り口です。クラウドソーシング経由は中央値7,000円、約6割が1万円未満に集中していました。対して人・コミュニティ経由は中央値15,000円で、1万円未満は約36%にとどまります。
ただし解釈は慎重にすべきです。クラウドソーシングは実績ゼロからでも応募でき、経験の浅い段階で使われやすい経路です。つまり「経路が単価を決めている」というより「経験段階の違いが経路と単価の両方に現れている」可能性が高く、このデータだけでは切り分けられません。「クラウドワークスをやめれば単価が上がる」という読み方は、データが支持していない飛躍です。
【表5】受講開始からの期間別に見た単価
「受講開始から何ヶ月目で達成したか」の回答と単価をクロスしました。期間未記入・「覚えていない」は除外しています。
| 達成した期間 | n(件) | 中央値 | 上位25% | 3万円以上の件数 |
|---|---|---|---|---|
| 受講1〜3ヶ月目 | 52 | 11,000円 | 20,000円 | 8件 |
| 受講4〜6ヶ月目 | 54 | 15,000円 | 28,750円 | 14件 |
| 受講7〜12ヶ月目 | 76 | 12,000円 | 22,000円 | 13件 |
| 1年〜1年6ヶ月 | 30 | 30,000円 | 42,750円 | 16件 |
| 1年6ヶ月〜2年 | 9 | 20,000円 | 45,000円 | 4件 |
| 2年以上 | 7 | 20,000円 | 37,500円 | 2件 |
注目すべきは、期間と単価がきれいな右肩上がりになっていない点です。1〜3ヶ月目から7〜12ヶ月目までは中央値が11,000円〜15,000円の狭い範囲で行ったり来たりし、1年を超えたあたりで30,000円へ跳ねています。ただし1年6ヶ月以降は n が9件・7件と少なく、単なるばらつきの可能性が高いため比較には使えません。
この形から言えるのは、「続けていれば毎月少しずつ上がっていく」という直線的なイメージが、少なくともこのデータでは確認できないということです。1年目までは単価がほぼ横ばいで、上振れした報告が出てくるのは1年前後から――という傾向にとどまります。もちろん、これは平均的な経過を保証するものではありません。
【表6】単価帯ごとの作業範囲の目安
ここまでの分布を実務に落とすため、単価帯ごとにどの程度の作業範囲が想定されるかを整理します。この表はアンケートの数値から算出したものではなく、案件種類の選択パターンと編集現場で一般的に語られる作業範囲を突き合わせて筆者が整理した目安です。金額を保証するものではありません。
| 単価帯 | 263件中の位置 | 想定される作業範囲の目安 |
|---|---|---|
| 5,000円未満 | 57件(21.7%) | カット編集中心。テロップは要点のみ、素材・構成は先方支給。ショート1本、あるいは長尺の一部工程の切り出し |
| 5,000円〜1万円未満 | 46件(17.5%) | カット+テロップ+BGM/SEの基本セット。テンプレートが用意されており、指示書どおりに仕上げる形 |
| 1万〜3万円 | 97件(36.9%) | 全文テロップ、画像・図解の挿入、簡易アニメーション、サムネイル込みなど。品質判断を編集者側に一部委ねる領域 |
| 3万〜10万円 | 47件(17.9%) | 構成への関与、モーショングラフィックス、企業案件の品質基準対応、複数媒体への横展開など |
| 10万円以上 | 16件(6.1%) | 月額の継続契約、チーム運用・ディレクション、企業PRやセミナー動画の一式受注など、1本編集とは別の性格の契約 |
この表の使い方は「この作業ならこの金額が取れる」ではありません。逆です。提示された金額に対して、求められている作業範囲が釣り合っているかを点検するためのものさしとして使ってください。5,000円で全文テロップとサムネイルと修正無制限を求められているなら、それは分布のどこと比べても割に合っていません。
【参考】単価帯と、報告された月商の関係
単価と「動画編集の月の最高売上」の両方を記入していた185件について、単価帯ごとの月商の中央値を出しました。
| 単価帯 | n(件) | 報告された月の最高売上の中央値 |
|---|---|---|
| 1万円未満 | 66 | 24,500円 |
| 1万〜3万円 | 69 | 65,000円 |
| 3万〜10万円 | 35 | 223,000円 |
| 10万円以上 | 15 | 500,000円 |
この表は因果関係を示すものではありません。単価を上げれば月商がこうなる、という意味ではなく、両方を回答した185件を単価帯で並べ替えた内訳にすぎません。月商には受注本数・稼働時間・継続契約の有無が大きく効いており、そちらの影響を分離していない点にご注意ください。また自己申告であり、成果を保証するものでもありません。
発注を検討している方へ:この分布の読み方
この記事は編集者向けに書いていますが、発注側にとっても予算組みの材料になります。3点だけ整理します。
- 予算を1本1万円台に置くと、応募母集団の大半にリーチできます。263件のうち76.0%が3万円未満です。ただし「安く出せる」という意味ではなく、その価格帯で来る提案には作業範囲の明示が必須になります。
- 金額だけを提示すると、想定と違うものが上がってきます。「相場の危うさ」で述べたとおり、同じ金額でも作業範囲の解釈が数倍ぶれます。尺、テロップの方針(要点のみか全文か)、素材支給の有無、修正回数、納期を先に書いてください。この5点を明記した募集は、価格交渉が驚くほど短くなります。
- クラウドソーシングと紹介・コミュニティでは、集まる層が違う可能性があります。表4のとおり、経路によって単価分布が大きく異なりました。安定した品質を求める案件は、募集経路そのものを見直す価値があります。
この記事の次に読むもの
単価だけを掘り下げたため、受講生の年齢構成・稼働時間・継続率・満足度といった項目はこの記事では扱っていません。同じ555件のアンケートを幅広く集計した結果は、動画編集者555人の実態調査にまとめています。
「なぜこの金額になるのか」という価格の内訳から理解したい方は、動画編集の料金体系の考え方を先に読むと、表6の作業範囲の目安が具体的に使えるようになります。
そして、いま提示されている金額と作業範囲が釣り合っていないと感じている方は、動画編集の単価を上げる方法で、交渉の準備の手順を解説しています。
動画編集を仕事にするうえで、単価の判断基準や案件の取り方を体系的に学びたい方は、無料の説明会でカリキュラムの中身を確認できます。ブイプロの無料説明会はこちら。
よくある質問
Q1. 結局、動画編集の相場はいくらですか?
単一の相場は存在しない、というのがこの263件から得られる答えです。あえて基準を1つ挙げるなら中央値の15,000円ですが、この分布は1万円未満(39.2%)と1〜3万円(36.9%)に山が2つあり、1つの数字で代表させるのに向いていません。作業範囲・尺・納期・獲得経路を固定して初めて、比較可能な金額が出てきます。相場を1つ知りたい気持ちは分かりますが、その1つを覚えることが交渉で不利に働く場面のほうが多い、というのが実感です。
Q2. 安すぎる案件かどうかは、どこで判断すればいいですか?
金額単体では判断できません。金額を作業時間で割った時間あたりの金額で見てください。5,000円の案件でも1時間で終わるなら時給5,000円ですが、全文テロップと修正3回で8時間かかるなら時給625円です。表6を使って「この金額で求められている範囲は、分布のどのあたりの範囲か」を照合するのが実務的です。加えて、修正回数の上限が書かれていない案件、素材の支給形式が不明な案件は、想定作業時間が読めないという意味で単価以前のリスクがあります。
Q3. 1本5,000円の案件は受けるべきではないですか?
そうとは言えません。263件のうち21.7%が5,000円以下で、これは市場に確実に存在する層です。実績づくりや、特定ジャンルの経験を得る目的で意図的に受けるなら合理的な判断です。問題になるのは、金額ではなくその金額のまま作業範囲だけが増えていく状態です。受ける前に範囲を書面で確定させておけば、5,000円の案件でも消耗しません。
Q4. 単価を上げる交渉は、いつ持ちかけるのが適切ですか?
データが交渉の時期を示しているわけではありませんが、表5では受講1年目までの中央値が11,000〜15,000円で横ばいだったのに対し、1年〜1年6ヶ月のグループ(n=30)で中央値30,000円と上振れしていました。時間の経過そのものより、作業範囲が当初の合意より広がったタイミングを交渉の起点にするのが現実的です。テロップの量が増えた、サムネイルも頼まれるようになった、構成の相談に乗るようになった――こうした変化は、単価改定を切り出す具体的な根拠になります。具体的な進め方は単価を上げる方法で解説しています。
Q5. クラウドワークスは使わないほうがいいのでしょうか?
そこまでは言えません。表4でクラウドワークス経由の中央値は6,500円と、人・コミュニティ経由の15,000円より低く出ました。ただし、クラウドソーシングは実績がない段階でも応募できる経路であり、経験の浅い時期に集中して使われている可能性が高いと考えられます。経路が単価を下げているのか、経験段階が両方に現れているだけなのかは、このデータでは区別できません。「経路を変えれば単価が上がる」と読むのは飛躍です。
Q6. このデータをそのまま自分の単価の根拠にしていいですか?
参考にはできますが、根拠としては弱いと考えてください。理由は3つあります。第一に、母集団は特定スクールの受講生・卒業生であり、動画編集者全体の代表サンプルではありません。第二に、同一人物の複数回報告を含む延べ263件です。第三に、すべて自己申告で検証を経ていません。交渉で使うなら、この分布ではなくあなた自身の作業時間の実測と、納品してきた成果物の実績のほうがはるかに強い材料になります。この記事の分布は、その材料を組み立てるときの地図として使ってください。
まとめ
263件の実数が示したのは、次のことです。
- 中央値は15,000円。平均34,900円に到達しているのは47件(17.9%)にとどまり、目安として使えない
- 76.0%が3万円未満に収まる一方、10万円以上も16件(6.1%)存在する
- 1万円未満と1〜3万円にほぼ同じ大きさの山が2つあり、単一の「相場」で要約できる形をしていない
- 案件種類・獲得経路・期間のいずれで切っても、中央値は6,500円〜30,000円の幅でばらつく
- 単価を語る前に、それが1本単価か月額か案件総額かを揃える必要がある
「動画編集の相場」を探して検索した方が、この記事を読み終えたときに「相場という1つの数字を探すのをやめた」となっていれば、この記事の目的は達成です。比べるべきは他人の金額ではなく、提示された金額と求められている作業範囲の釣り合いです。あなたがいま受けている案件は、どちらの物差しで測っていますか。
執筆:山田一真
※本記事で紹介したデータは受講生の自己申告アンケートに基づくものであり、成果を保証するものではありません。
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P.S. 7年前の疲弊する前に欲しかった…
