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動画編集の納品前チェックリスト|AIで修正依頼を減らす方法

公開日: 2026年9月1日 最終更新: 2026年9月12日 執筆: 山田一真(カズマル)|株式会社ブイスト代表
納品前のチェックで 修正依頼は減る

はじめまして。この記事を書いた人です

山田一真(カズマル)動画編集スクール「ブイプロ」代表/株式会社ブイスト

  • 2019年12月、報酬500円の動画編集案件から個人で仕事を始める
  • 個人受注から法人・代理店の案件へ広げ、2022年に株式会社ブイストを設立
  • 2025年8月、同社の株式を株式会社エフ・コード(東証グロース・9211)へ譲渡。現在も福岡を拠点に運営を継続
  • 受講生から寄せられた成果報告 延べ555件・実人数380名を自社で集計し、内容を公開している

この記事を書ける理由:納品前チェックの項目は、僕がディレクターとして実際に返してきた指摘をそのまま並べたものです。指示書が読めない編集者に怒って、結局自分が悪かったと気づいた側でもあります。AIでの検査も、実演セミナーで自分が動かしたものを書きました。

動画編集で修正依頼が多いのは、編集技術が低いからではありません。納品前に何をどの順番で確認するかが決まっていない、つまりチェック体制がないことが原因です。修正指示の大半は誤字脱字・1フレームのズレ・音量バランスといった、見れば気づける凡ミス。だからこそ検査を仕組みにすれば減らせます。

この記事でわかること

  • 修正依頼が発生する原因を4つに分類し、それぞれの減らし方を整理
  • 映像・音声・テロップ・尺・書き出し設定・ファイル名の納品前チェックリスト完全版
  • AIに任せられる検査と、人間が必ず自分の目で見るべき検査の線引き
  • AI品質チェックを自分の案件に実装する3ステップ
  • それでも修正が来たときの、パターン別の対処と返信の型
  • よくある質問5問(修正は何回まで普通か/チェックにかける時間/使うAIツール など)

結論:修正が減らないのは「技術」ではなく「チェックの設計」がないから

修正指示が10個、20個と返ってくると、多くの人は「自分の編集スキルが足りないんだ」と考えます。もっと凝った演出を覚えよう、もっとかっこいいテロップを作ろう、と。でも、クライアントから返ってくる指摘を実際に並べてみてください。演出の good/bad を問うような高度な指摘は、ごく一部しかありません。

圧倒的多数を占めるのは、「テロップが1文字間違っている」「クリップの先端が1フレームずれている」「BGMがうるさい」「指定した納品形式と違う」といった、確認すれば防げたはずのものです。これは技術力の話ではなく、注意力を仕組みで補えているかどうかの話です。

そして注意力は、意志では安定しません。徹夜明けの3本目に、人間の目は確実に精度を落とします。だから必要なのは「気をつけます」という決意ではなく、毎回まったく同じ順番で回る検査の手順と、それを機械に任せられるところは任せる設計です。

修正指示は大きく4種類に分かれる

修正依頼を減らすには、まず「どの種類の修正が自分に多いのか」を分けるところから始めます。種類ごとに、打ち手がまったく違うからです。

分類 具体例 根本原因 減らし方
①見落とし型 誤字脱字、クリップ先端の1フレームずれ、メディアオフライン、テロップの表示時間が1フレーム長い 人間の目の限界。疲労と本数で必ず発生する 機械的な検査に置き換える。目視をやめる
②ルール不理解型 マニュアルと違うテロップ設定、指定と違う書き出し設定、納品形式違い マニュアルを読んでいない/読んだが解釈がずれた 着手前にルールを自分の言葉で書き出し、着手前に質問して潰す
③品質基準未達型 カットのテンポが緩い、音量バランスが悪い、テロップに初心者感がある、動画後半で密度が落ちる 「現場レベル」の基準を知らない/基準はあるが再現できない 基準を数値と参考動画で持つ。完コピで再現力を鍛える
④好み・方針型 「ここはもっと引きたい」「この効果音は世界観に合わない」 クライアントの意図と編集者の解釈のズレ 初稿前に方針をすり合わせる。これは減らすより早める対象

このうち①と②は本来ゼロにできる種類の修正です。③は練習で減り、④は完全にゼロにはなりませんし、なる必要もありません。④はむしろ作品を良くするための対話だからです。

にもかかわらず、多くの編集者は①と②の修正で信頼を削っています。誤字脱字、特に固有名詞のミスは重い。僕は以前、動画編集者がやりがちな凡ミスの一覧を作ったとき、リストの後半を全部「誤字脱字」で埋めたことがあります。それくらい多いし、それくらい効きます。名前を間違えられた側は、たった一文字で「この人は自分の会社に興味がないんだな」と受け取ります。初めての企業案件は、誤字ったら失注するくらいの意識で臨んでください。

②についても、僕は発注する側で痛い目を見ています。以前、まったく指示書が読めない編集者に出くわして、正直「はぁ?」という怒りの感情が湧きました。でも指示書のどこが悪いのか考えてアップデートしたら、途端に修正がほぼ無くなったんです。読めない編集者も悪いけど、結局僕が悪かったんです。②はルールを書く側と読む側の両方で潰せる、という話でもあります。

さらに厄介なのは、修正のやり取り自体が信頼を減らすことです。20個の修正を指示して、返ってきたものを確認したら6個が直っていない。発注側から見れば「直す気がない率30%」です。修正が多いこと以上に、修正の往復が増えること自体がクライアントの時間を奪っているという感覚を持てるかどうかが分かれ目になります。

「現場レベル」を通過する8項目が、チェックリストの土台になる

納品前チェックの中身を決めるには、そもそも何をもって「合格」とするかの定義が要ります。ブイプロでは、これをディレクターのチェックを一発で通過できるレベル=現場レベルと呼び、8項目で定義しています。

  1. 誤字脱字・表記統一:「いたします」は平仮名、「受ける/請ける」の使い分け、全角半角、表記揺れ(お見積り/お見積もり)。どちらでもいいときこそ統一する。名前を間違えない
  2. クリップの先端を揃える:1フレームのズレで動画の質はガツッと下がる。指摘として死ぬほど多い
  3. 適切なカットのテンポ:無音カットだけでは不十分。1フレーム単位、チャンネルごとのカット範囲ルールに従う
  4. テロップの意訳:テロップは文字起こしではない。分かりやすくするために入れる。「〜という風に思います」は言い切りに直す
  5. BGM・SEの音量バランス:目安は音声 -6〜0dB、SE -15〜-20dB、BGM -30〜-25dB。ただし数値で済ませず、この効果音・この音量でいいのかを視聴者目線で考える
  6. 場面にマッチした演出:色の印象を理解する。ポジティブな話に赤黒テロップはNG。「なんでここでこの演出?」と言われない根拠を持つ
  7. デザインの統一性:トンマナ崩れは、対企業納品では完全にNG
  8. マニュアル遵守:納品方法まで含めて守る

この8項目のうち、1・2・5・8は機械的に検査できるものです。逆に4・6・7は、最終的に人間の判断が要る。この線引きが、後述するAI品質チェックの設計図になります。

AIが得意な検査と、人間が必ず見る検査の線引き

ここが本記事のいちばん重要なところです。品質チェックを「全部AIに投げる」も「全部自分の目で見る」も、どちらも間違いです。

AIが圧倒的に強いのは、基準が一意に決まっていて、判定を延々と繰り返す作業です。クリップの境界が揃っているか。テロップの表示開始・終了が映像のカット点とずれていないか。オフラインになっている素材はないか。こういう検査は、人間がやったら必ず見落とします。目が疲れるからです。機械は疲れません。

実際、ブイプロのAI実演セミナーでは、Premiere Pro上で動作する検査プログラムに境界検出を実行させ、クリップ同士の1フレームのズレ、テロップが1フレームだけ長い箇所、テロップと挿入画像が1フレームずれている箇所、メディアがオフラインになっている箇所を、まとめて一覧で出しています。人間が目視で追いかけたら見落とす類のものが、ボタン1回で出てくる。これをやってから納品すれば、基本的なミスは起こり得ません。

誤字脱字も同じです。テロップのテキストを一括で読み込んで文脈判定にかけると、単純な変換ミスだけでなく文脈上おかしい言葉まで拾えます。たとえば「取れそうだなという方」を漢字の「言う」で書いてしまっている箇所や、「強調性を持って取り組み」という文が実際には「協調性」であるべき箇所などです。辞書照合だけの校正では拾えない指摘が出てきます。

一方で、AIに任せてはいけない領域があります。

観点 AIが得意な検査 人間が必ず見る検査
判定の性質 基準が一意に決まる(合っている/ずれている) 程度の判断が要る(この間は気持ちいいか)
具体例 クリップ境界のズレ、テロップ表示時間の過不足、メディアオフライン、書き出し解像度・fps、ファイル名の命名規則 カットの余韻、テロップの強調配分、SEの世界観との相性、動画全体のテンポ設計
誤字脱字 変換ミス・表記揺れ・文脈上の違和感の抽出 固有名詞が事実として正しいか(社名・人名・商品名・数字)
音まわり ラウドネス・ピーク値が規定レンジに入っているか 実際に聞いて不快でないか、声が埋もれていないか
できること 抜け漏れの検出。網羅性で人間を上回る 「これで面白いか」の判断。ここは代替されない
限界 指示されていない観点は検出しない 集中力の持続。3本目で精度が落ちる

忘れてはいけない前提があります。自分にできないことを、AIにやらせる指示は書けません。「良いカットの定義」を自分が言語化できないなら、それを判定するプログラムも作れないし、出てきた結果の正しさも評価できない。AI品質チェックは、編集の基準を持っている人がそれを高速化する道具であって、基準そのものを外注する手段ではないんです。

だから工程はこう分かれます。AIが担当するのは品質管理・進行管理・営業まわりの定型作業。人間が担当するのは、面白い動画・魅力的な動画を作る部分。 単純作業をAIで時短しただけの成果物に、そのまま報酬を請求するのは筋が通りません。浮いた時間を、動画そのものを良くすることに使って初めて意味があります。

納品前チェックリスト完全版

ここからが保存版の本体です。映像・音声・テロップ・尺と構成・書き出し設定・ファイル名と納品形式の6ブロックに分けて、各項目の確認方法と、AIに任せられるかどうかを整理しました。

表内の「AI委任度」は、◎=ほぼ全面的に任せてよい/○=AIで検出し人間が最終判断/△=AIは補助、判断は人間/×=人間が見るしかない、を表します。

1. 映像のチェック

確認項目 確認方法 AI委任度
メディアオフラインがない プロジェクト全体を検査。書き出し後の動画も先頭から末尾まで通しで確認
クリップの先端・末尾が揃っている 境界検出で1フレーム単位のズレを一覧化
黒コマ・一瞬の素材抜けがない クリップ間の隙間を自動検出。目視だけに頼らない
カラーが全編で統一されている シーンごとの代表フレームを並べて比較
画角・ズーム演出が意図どおり 寄り/引きの箇所を再生して確認 ×
挿入画像・素材の権利と内容が適切 使用素材のライセンスと、映り込みの有無を確認 ×
動画後半で編集密度が落ちていない 前半と後半の同尺区間を並べ、演出数を比較

2. 音声のチェック

確認項目 確認方法 AI委任度
音声の音量レンジ 目安 -6〜0dB。全編のピークとラウドネスを計測
SEの音量レンジ 目安 -15〜-20dB。挿入した全SEを一括で確認
BGMの音量レンジ 目安 -30〜-25dB。声と重なる区間で特に確認
実際に聞いて不快でないか ヘッドホンとスピーカーの両方で通し聴き ×
ノイズ・リップノイズ・環境音 波形で目立つ箇所を抽出し、該当箇所だけ耳で確認
BGMの切り替わりが不自然でない 切り替え点でフェード処理があるかを確認
効果音が場面に合っている 再生して世界観との相性を判断 ×
音ズレ(映像と音声の同期) 口の動きと音の一致を数か所サンプリング

3. テロップのチェック

確認項目 確認方法 AI委任度
誤字脱字 全テロップをテキストで抽出し、文脈判定にかける
固有名詞(社名・人名・商品名・数字) 抽出したうえで、必ず一次資料と突き合わせる ×
表記統一 ひらがな/漢字、全角半角、送り仮名の揺れを機械的に検出
表示タイミングが映像とずれていない テロップ開始・終了とカット点の差分を1フレーム単位で検出
1フレームだけ長い/短いテロップがない 境界検出で一覧化
テロップと挿入画像がずれていない 両者の表示区間の差分を検出
位置・サイズがマニュアルどおり 指定座標・フォントサイズと実値を照合
改行位置が読みやすい 単語や固有名詞の途中で切れていないかを確認
意訳ができている 冗長な口語が言い切りに直されているかを読み返す
強調の配分が適切 強調が多すぎないか、必要な箇所に入っているかを判断 ×
トンマナの統一 フォント・色・縁取り・座布団が全編で同一かを検出

4. 尺・構成のチェック

確認項目 確認方法 AI委任度
指定尺に収まっている 納品規定の尺と実尺を照合。ショートの上限は特に厳密に
冒頭・末尾の余白が指定どおり 先頭と末尾のフレーム数を確認
OP・ED・提供表記などの必須要素 マニュアルの必須要素リストと突き合わせ
カットのテンポが緩くない 無音区間の残存を検出したうえで、通し再生で体感を確認
意図的に残した間が消えていない 残すと決めた箇所を再生して確認 ×
構成が台本・指示書どおり 台本の各セクションが映像内に存在するかを照合

5. 書き出し設定のチェック

確認項目 確認方法 AI委任度
解像度・アスペクト比 納品規定(1920×1080/1080×1920 など)と実ファイルを照合
フレームレート 素材と書き出しのfpsが一致しているか
コーデック・コンテナ 指定形式(H.264/MP4 など)と一致しているか
ビットレート・ファイルサイズ 指定上限を超えていないか
音声チャンネル・サンプルレート ステレオ/モノラルの指定、48kHz などを確認
書き出し範囲(イン・アウト点) ワークエリアの取り残しがないか
書き出したファイルを最後まで再生した プレビューではなく書き出し後のファイルを通しで確認 ×

最後の1項目は、AI委任度を意図的に×にしています。書き出し後のファイルには、タイムライン上では起きなかったエンコード起因の不具合が出ることがあるからです。納品するのはタイムラインではなくファイルである以上、ファイルそのものを見る工程は外せません。

6. ファイル名・納品形式のチェック

確認項目 確認方法 AI委任度
ファイル名が命名規則どおり 指定フォーマット(日付_案件名_話数_ver など)と照合
バージョン番号が正しい 前回納品との連番を確認
納品先が指定どおり Drive/ストレージ/指定URLのどれかをマニュアルで再確認
共有リンクの権限設定 先方が開ける権限になっているか、別アカウントで検証
アップロードの処理が完了している 処理中のリンクを送らない。提出前に一度深呼吸して処理完了を確認
プロジェクトファイル・素材の同梱要否 マニュアルの納品物一覧と照合
連絡文に確認してほしい箇所を明記 「確認お願いします」だけで送らない。秒数を添えて該当箇所を示す ×

納品形式違いと、処理中のリンク送付。この2つは、内容の良し悪し以前に相手の時間を奪う失点です。1分で潰せるのに放置している人が、正直めちゃくちゃ多い。

AI品質チェックを自分の案件に実装する3ステップ

ステップ1:指摘された修正をすべてストックする

まず、自分がこれまでに受けた修正指示を、案件をまたいで1か所に集めます。マニュアルがある案件はマニュアルに従えばいいんですが、実際はマニュアルのない案件のほうが多いですよね。だから自分専用のセルフマニュアルを作ります。

ここで重要なのは、指摘を「言われたこと」ではなく「検査項目」の形に書き換えることです。「テロップの位置が高いと言われた」ではなく「テロップの縦位置は下から○px、全カットで同一か」と書く。前者は反省文ですが、後者はチェックリストの1行になります。前回と同じミスを繰り返す人は、この書き換えをしていないだけです。

ステップ2:合格基準を数値と言葉で言語化する

次に、案件ごとの合格基準を定義します。ここが最も重要で、最も飛ばされがちな工程です。

たとえばカットひとつ取っても、基準は案件ごとに違います。ビジネス系の解説動画なら「0.3秒以上の無音は切る」でうまくいく。でも複数人が話すエンタメ系で0.3秒の無音を全部切ると、会話のリズムが壊れて不自然になります。同じ「無音カット」でも、案件によって1秒以上を切る/3秒以上を切る/5秒以上は絶対に切ると、しきい値を変える必要があるんです。この案件はこういう発言のあとは必ず切る、といったルールまで決められると、検査の精度は一段上がります。

この言語化ができていれば、AIに指示を出せます。できていないなら、まず言語化が先です。口で説明できないことは、プログラムにもできません。

ステップ3:検査を毎回同じ順番で回す仕組みにする

最後に、ステップ2で決めた基準を検査手順に落とし込みます。実装の形は問いません。チェックリストを印刷して手で潰すのでも、スプレッドシートでも、編集ソフト上で動くスクリプトでも構いません。

ただ、編集ソフトの中で完結させられると効きます。誤字脱字チェックのために別のツールへテキストを貼り、指摘を見て編集ソフトに戻る——この往復が消えるだけで、検査を回す心理的コストが大きく下がるからです。実演セミナーでは、テロップ生成から検査までをPremiere Pro内で完結させ、誤字脱字の検出が数秒で終わる状態を作っていました。

そして絶対に守るべき原則がひとつ。完全自動化にはしないことです。無音カットひとつ取っても、ここは間を残したい、ここは逆に伸ばしたい、という判断は残ります。AIには「絶対に切っていい部分」だけを処理させて、判断が要る部分は人間が最後に通す。お客様が「あなたに」依頼している以上、最終判断を人間が持つのは筋の話でもあります。

AI編集の他の工程(営業・カット・テロップ・進行管理)をどう組み立てるかは、AI動画編集の5工程で全体像を整理しています。本記事は、そのうち品質チェック工程だけを深掘りしたものです。

それでも修正が来たときの、パターン別対処

チェック体制を作っても、修正はゼロにはなりません。問題は、修正が来たあとの振る舞いです。ここで信頼を落とす人と、むしろ上げる人に分かれます。

修正のパターン やってはいけない対応 正しい対処
誤字・固有名詞のミス 「以後気をつけます」だけで済ませる 次のアクションを具体化する。「今後は書き出し前2回・後1回の見直しを徹底します」のように手順で答える
1フレームのズレを複数指摘された 指摘された箇所だけ直して返す 同種のズレが他にないか全編を検査してから返す。再発の芽を同時に潰す
マニュアルと違う仕上がり 自己流のほうが良いと説明する まずマニュアルどおりに直す。提案は納品後に別枠で行う
前回と同じミスを繰り返した 謝罪だけ セルフマニュアルに項目として追加し、追加したこと自体を報告する
修正指示の意図がわからない 推測で直して外す 着手前に確認する。該当秒数を示して「この認識で合っていますか」と聞く
好み・方針のズレによる大きな作り直し 黙って全部やり直す/不満を出す 方向性を先にすり合わせ、合意してから手を動かす。以後は初稿前に方針確認を挟む
修正が20個以上来た 急いで直して取りこぼす 指示を番号付きの一覧にし、1件ずつ対応状況を書いて返す。取りこぼしゼロを可視化する

最後の行は特に効きます。20個の修正のうち6個が直っていない状態で返すと、発注側には「直す気がない」と映ります。逆に、番号付きで全件の対応状況を返せば、確認する側の手間が消える。修正対応は、相手の確認時間をどれだけ短くできるかの勝負です。

再生位置を指定できるプラットフォームなら、秒数付きのURLで該当シーンに飛ばすところまでやる。「確認お願いします」だけのメッセージと比べて、相手の負荷は桁で変わります。こうしたやり取りの設計は、動画編集のクライアントコミュニケーションで詳しく扱っています。

チェック体制は、単価と継続に直結する

品質チェックは地味な工程です。派手な演出を覚えるほうが、上達している実感は得られます。それでもここに投資すべき理由は、発注側から見た評価軸が「一発で通るかどうか」だからです。

発注側の内訳を考えるとわかりやすくなります。1本1万円の案件を受けて外注に出し、自分は品質チェックに1時間かける。この構造が成立するのは、チェックという工程に確かな価値があるからです。逆に言えば、編集者側がチェックを済ませて納品してくれれば、発注側の負担はそのぶん減る。この差が、次も頼まれるかどうかを決めます。

基礎的な修正が多い状態で単価だけ上げてほしいと言っても、通りません。実力のない新人が昇給を要求してきたら、誰だって困りますよね。順番は逆で、修正が返らない納品を続けた結果として、単価や継続の話が出てきます。

ブイプロが受講生から受け取っている成果報告は、延べ555件(実人数380名)。内訳は、単発・スポット案件の受注が149件、継続契約が取れたという報告が99件、単価が上がったという報告が93件、新ジャンルへの進出が64件です。これらは受講生本人による自己申告の集計であり、成果を保証するものではありませんが、継続と単価の報告が一定数を占めていることは、品質を安定させることが次の依頼につながっている実態を示しています。継続案件の作り方は動画編集で継続案件を獲得する方法にまとめています。

AIを使った品質チェックの仕組みを、自分の案件に合わせてどう組むか。実際のワークフローを見ながら整理したい方は、動画編集のAI活用に関する無料相談をご利用ください。

よくある質問

Q1. 修正は何回まで普通ですか?

案件や座組みによって幅がありますが、目安として初稿で数個、2稿目でゼロを目標にするのが健全です。回数そのものより、内容の質が問われます。誤字や1フレームずれのような凡ミスがゼロで、残っているのが「ここはもう少し引きたい」といった方針の指摘だけなら、回数が2〜3往復あっても評価は下がりません。逆に、凡ミスが1個でも混ざると、往復が1回でも印象は悪くなります。まずは①見落とし型と②ルール不理解型をゼロにすることに集中してください。

Q2. チェックにどれくらい時間をかけるべきですか?

編集にかかった時間の1〜2割を目安に確保するのが現実的です。10時間の案件なら1〜2時間。ただし、この時間の大半を目視に使うのは効率が悪い。機械的な検査で1回パスさせてから、人間は「聞く」「観る」に時間を使うという配分にすると、同じ時間でも精度が上がります。実装が進めば、誤字脱字と境界検出は合わせて数分で終わるようになり、人間の時間は通し再生と音の確認に振り向けられます。

Q3. AIツールは何を使えばいいですか?

特定のサービスを選ぶより先に、役割で分けて考えるのがおすすめです。①テキスト系の検査(誤字脱字・表記統一・意訳の確認)は生成AIのチャット系ツール、②タイムライン上の構造検査(クリップ境界・テロップ表示区間・オフライン素材)は編集ソフトのスクリプト機能をAIコーディング環境で組む、③音量やラウドネスの計測は編集ソフト標準の解析機能、という三層構成です。既製の自動編集サービスも便利ですが、案件ごとのしきい値を細かく変えたい場合は、自分の基準を反映できる仕組みを持つほうが結果的に速くなります。どのツールでも、最終判断は人間が持つ前提は変わりません。

Q4. AIに全部任せてしまってはダメですか?

ダメです。理由は2つあります。ひとつは技術的な理由で、AIは指示されていない観点を検出しません。「良いカットとは何か」を自分が定義できていなければ、AIの出力が正しいかどうかも判断できません。もうひとつは仕事としての理由で、クライアントはあなたに依頼しています。単純作業を自動化しただけの成果物をそのまま出すのではなく、浮いた時間を動画の質を上げることに使う——この順序が守れているかどうかが、AIを使う人と使われる人の分かれ目になります。

Q5. すでに「修正が多い」と言われています。何から直せばいいですか?

まず、これまでに受けた修正指示をすべて書き出して、本記事の4分類に振り分けてください。おそらく①見落とし型と②ルール不理解型で大半が埋まります。そのうえで、頻度の高い上位3項目だけをチェックリストにして、次の納品から必ず通す。最初から全項目を回そうとすると続きません。3項目が習慣になったら、また3項目足す。この積み上げが、いちばん確実です。そして「以後気をつけます」ではなく、「書き出し前に誤字チェックと境界検出を必ず通します」と、手順として宣言してください。相手が見ているのは反省ではなく、再発しない根拠です。

まとめ

修正依頼を減らす鍵は、編集技術の上乗せではなく、検査の設計です。

  • 修正は4分類に分かれ、①見落とし型と②ルール不理解型は仕組みでゼロにできる
  • 基準は「現場レベル8項目」に置く。うち誤字脱字・クリップ先端・音量・マニュアル遵守は機械検査に向く
  • AIは網羅性で人間を上回るが、「これで面白いか」は人間にしか判断できない
  • 納品前チェックリストを6ブロックで固定し、毎回同じ順番で回す
  • 書き出し後のファイルを通しで見る工程だけは、絶対に省略しない
  • 修正が来たときは、番号付き全件対応と具体的な再発防止手順で返す

チェック体制は、一度作れば全案件で効き続ける資産です。今日の納品から、3項目だけでも始めてみてください。

執筆:山田一真(株式会社ブイスト代表取締役)

免責事項:本記事の内容は情報提供を目的としたものであり、特定の成果や収入を保証するものではありません。記載している数値・設定値は目安であり、実際の運用は案件ごとの規定やクライアントの指示を優先してください。成果報告の件数は受講生本人による自己申告を集計したものです。AIツールの仕様や機能は変更される場合がありますので、利用時は各サービスの最新情報をご確認ください。

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